4:3.求める愛
その時、僕も、きっと彼女も、口にしていた「愛」は、ただ「欲しい」「自分の物にしたい」。
そんな欲求に突き動かされての事であった。
もっと知りたい、
もっと触れ合いたい、
もっと近づきたい
もっと一つになりたい
もっと、もっと・・・。
遠い距離と、障害が、お互いの憧れをより一層燃え立たせていた。
この憧れは、
きっとこの世界への真実、
最も美しい本質へ到達する事にも似ていた。
そうだ、
僕たちの魂は、かつてあの何も哀しみのないただ愛だけが溢れる場所に生きていたのだ。
あの場所に還りたい、
再びあの愛だけが支配する甘美な世界へと到達したい。
何一つ穢れや混じりけのない、
完全に純粋な美しい世界が、確かに僕たちのこころのなかには存在していた。
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