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系統用蓄電池|系統連系について

社内教育用

経済産業省 2022年9月14日 資源エネルギー庁

系統連系運転

一般に電力会社の配電線網のことを系統といい、その系統に発電設備などをつなぐことを系統連系といいます。

太陽光発電システムの場合、パワーコンディショナの出力電力が家庭内の住宅用分電盤に接続され、電力会社の配電線網につながることになり、これを系統連系と呼びます。

系統用蓄電池の仕組みと可能性

再生可能エネルギー業界において最近よく耳にする「系統用蓄電池」。

系統用蓄電池とは、電力系統や再生可能エネルギー発電所などに接続する蓄電池で、太陽光発電や風力発電などを利用して蓄えた電力を、家庭や建物の電力需要を補完するために使用する蓄電池のことです。

一般的には家庭や商業施設、産業用施設などで利用されており、電力需要が高い時間帯や停電時に備えて、安定した電力供給を実現するために導入されています。

再生可能エネルギーの出力変動を平滑化したり、需給バランスを調整したり、周波数や電圧の制御を行ったりすることで、電力系統の品質や信頼性を向上させることができるのも特徴です。

さらに10MW以上のものは「発電所」として扱われ、これにより系統用蓄電池事業者は発電事業者と同様に、系統利用料や調達価格等に関する契約を締結することが可能になります。

蓄電池の他に必要な設備(パワコン、EMSなど)がコンテナ内に全て収納された一括型の系統用蓄電池システムなど、便利な製品も各メーカーから発表されています。

系統用蓄電池の仕組みと可能性

再生可能エネルギー業界において最近よく耳にする「系統用蓄電池」。

系統用蓄電池とは、電力系統や再生可能エネルギー発電所などに接続する蓄電池で、太陽光発電や風力発電などを利用して蓄えた電力を、家庭や建物の電力需要を補完するために使用する蓄電池のことです。

一般的には家庭や商業施設、産業用施設などで利用されており、電力需要が高い時間帯や停電時に備えて、安定した電力供給を実現するために導入されています。

再生可能エネルギーの出力変動を平滑化したり、需給バランスを調整したり、周波数や電圧の制御を行ったりすることで、電力系統の品質や信頼性を向上させることができるのも特徴です。

 

さらに10MW以上のものは「発電所」として扱われ、これにより系統用蓄電池事業者は発電事業者と同様に、系統利用料や調達価格等に関する契約を締結することが可能になります。

蓄電池の他に必要な設備(パワコン、EMSなど)がコンテナ内に全て収納された一括型の系統用蓄電池システムなど、便利な製品も各メーカーから発表されています。



既存の再エネ設備(太陽光・風力発電)との併用

太陽光発電システムや風力発電と系統用蓄電池は相性がよく、これまでせっかく発電しても捨てていた電力を、蓄電池に貯めておくという新たな方法が重要視されています。

さらに旧FIT制度に代わって国が推進しているFIP制度(再生可能エネルギーの発電事業者に対して、市場価格に一定のプレミアムを上乗せした価格で電力を買い取る制度)を利用して電力を売り買いする、新たなビジネスモデルも注目されています。

このFIP制度では、発電事業者は市場価格の変動に応じて発電量を調整する必要がありますが、大容量蓄電池を併用することで、余剰電力を蓄えたり不足分を補ったりすることができます。

なぜ系統用蓄電池システムを導入するのか?


メリット

・電力需要のピークカット

系統用蓄電池は、再生可能エネルギーで生成された電力を蓄えておき、需要の高い時間帯に使用することができます。これにより、電力需要のピークをカットし、電気料金の削減を図ることができます。

・電力市場で収益を得る:

系統用蓄電池システムを導入することで、需給バランス市場や周波数調整市場などの電力市場に参加し、需要や価格に応じて電力を買ったり売ったりすることができます。

・非常時の備え:

系統用蓄電池は停電時にも備えることができます。蓄えられた電力を利用することで、停電時にも電気を使用することができます。

・環境への配慮:

再生可能エネルギーを利用して蓄えた電力を使用することで、化石燃料の使用を削減し、二酸化炭素の排出削減に貢献することができます。


デメリット

・導入コスト:

系統用蓄電池システムの導入には、比較的高い初期投資が必要です。系統用蓄電池は大容量かつ高性能なものが必要であり設置費用や蓄電池の価格など、導入コストの負担があることが考えられます。

ただ、国や自治体は普及を支援しており、系統用蓄電池は補助金制度の対象となっています(*条件あり)。これらの補助金を上手く活用すれば、導入コストを抑えることができます。

・メンテナンス費用:

系統用蓄電池は、効率や寿命を最大化するために、最適な制御や運転技術を確立する必要があります。また、故障や劣化を防ぐために、定期的な保守点検も必要になってきます。


補助金制度

系統用蓄電池の導入には、国や地方公共団体などから補助金が交付される場合があります。

【2023年最新】令和5年度の系統用蓄電池等導入支援および実証支援事業の公募が開始されました。

太陽光・風力等変動再エネのさらなる導入加速化のため、調整力等を供出する下記のいずれかの設備を新規で導入する事業が補助金対象となります。

1)電力系統に直接接続する蓄電システム

2)水電解装置

令和5年度 系統用蓄電池等導入支援および実証支援事業

公募情報(系統用蓄電池等導入支援事業)


一般社団法人 環境共創イニシアチブ

https://sii.or.jp/chikudenchi05/public_dounyu.html

【2次公募】

2023年8月9日(水)~2023年9月29日(金) 12:00 必着

交付決定予定日: 随時  ※交付申請受付後、1 カ月程度の審査期間を予定

※2次公募は、水電解装置のみを対象とする。


系統用蓄電池事業ビジネスモデル

 最近、かつての太陽光発電事業に代わって、系統用蓄電池事業が注目されるようになってきた。太陽光発電事業は固定価格買取制度(FIT)が実質的に終了しているため、新たな開発案件が減少している。それに代わって増えているのが、系統用蓄電池事業なのだ。

 固定価格買取制度による太陽光発電事業は、太陽光発電が作った電気を20年間にわたって決まった価格で買い取ってもらえるしくみを利用したものなので、見た目にもわかりやすい。その点、系統用蓄電池事業は発電するわけではなく、電気の売買で利益を出していくため、わかりにくい事業だ。この記事では、この系統用蓄電池事業のビジネスモデルを解説する。



 系統用蓄電池事業は、3つの事業者で成り立っている。

 1つは、系統用蓄電池事業者だ。案件を組成し、土地の確保から送電線との系統連系までさまざまな事務処理を行い、設備を保有する。

 もう1つはアグリゲーターとよばれる事業で、電気の売買や需給管理を担当する。

 そしてあとの1つが、蓄電池メーカーだ。低コストで高性能な産業用蓄電池はこの事業に欠かせない。

 この3つの事業が組み合わされて、系統用蓄電池事業全体が成功する。その上で、ではどのようにして利益を出すビジネスモデルなのか、以下で紹介していく。


市場で売買される電気

 一般にはなじみがないが、実は電気も市場で取引されている。日本で使われている電気のおよそ3割が、日本卸電力取引所(JEPX)というところで取引されている。主に新電力とよばれている、新規参入の電力会社は、このJEPXで電気を買ってきて、お客様に届けているのだ。そして、メインとなるのが前日に取引を確定させる「スポット市場」である。

 ところで電気という商品は、常に発電と需要が一致していることが必要だ。そのため、発電が多くなる時間帯や需要が少ない時間帯は安くなり、発電が少ない時間帯や需要が多い時間帯は高くなる。実際に、JEPXの取引価格は30分ごとに変化している。

 最近では、太陽光発電が活発な日中の電気は安くなり、夕方になると高くなるという傾向にある。もちろん、冷房需要の多い夏や暖房需要の多い冬は電気の市場価格は高くなるし、電気の需要が少ない休日は安くなる、という傾向も見られる。

 さらに、発電所の燃料である石炭やLNG(液化天然ガス)が大幅に値上がりした近年は、電気の市場価格が大幅に値上がりしているのだ。


電気の市場での価格差から利益

そこで、電気の安い時間帯に電気を仕入れて蓄電池にためておき、電気の高い時間帯に電気を売ることができれば、その価格差が利益となる。

 系統用蓄電池事業の基本的なしくみはこれだけである。およそ7割の利益は、この電気の取引から発生するのだ。では残りの3割はといえば、後ほど解説するが、容量市場と需給調整市場という別の市場で得られる。でも、基本はあくまでも、市場の価格差だ。

 例えば、0.01円/kWhの電気を1万kWh買って蓄電したとする。夕方には15円/kWhで9,000kWhを販売したとしよう(1,000kWhは充放電時のロスや蓄電池の空調の電力と考える)。このときの利益は、

  15×9,000-0.01×10,000=134,900円

 となる。夏や冬は夕方の電気の市場価格が、30円/kWhにも40円/kWhにもなる。さらにそれ以上に高騰することもある。

 逆に雨天だと日中に太陽光発電が電気をつくらないので、1日の間の価格差は小さくなる。

 株式市場や為替市場と同じく、「安く買って高く売る」ことが基本だが、系統用蓄電池事業の場合はそれを毎日行うことになる。また、価格差が小さいときは、取引しないという判断をすることになる。


精度の高い予測があって高い利益を確保

電気の市場での値段があらかじめわかっているのであれば、利益を出しやすい。しかし、どんな市場でもそうだが、将来の市場での値段はわからない。

 電気の場合は、前日の午前10時までに、市場参加者が電気をいくらで売るのか、いくらで買うのか、24時間48コマのそれぞれの価格と電気の量を入札する。そして、締め切られたあと、48コマのそれぞれの価格が決まるというしくみだ。

 価格は、電気を売る側と買う側で、価格と量が一致したところで決まる。シングルプライスオークションというしくみで、取引する価格は1つの値段となる。

 例えば、午後1時から1時半までの30分間の電気5,000kWhを5円/kWhで買うという札を入れたときに、約定価格が5円/kWh以下であれば買うことができる。例えば、2円/kWhが約定価格だとしたら、この価格で買うことになるわけだ。


一方、午後5時から5時半までの30分間の電気5,000kWhを30円/kWhで売るという札を入れたとき、約定価格が30円/kWh未満であれば売ることはできない。

 蓄電池の場合、注意しなくてはいけないのは、電気を買うことができなかったら、売ることができないということだ。売る方だけ落札し、買うことができなかったら、売る約束がまもれなくなり、ペナルティを払うことになるか、後述する時間前市場での調達が必要になる。

 そして、価格より高い精度が求められるのは、どの時間帯が高いのか、どの時間帯が安いのか、という予想だ。充電や放電にはだいたい3時間くらいかかる。では、日中のどの3時間に電気を買って充電し、夕方以降のどの3時間に電気を売るのか、その判断によって、利益が変わってくる。

 また、蓄電池は劣化するので、取引をしても大きな利益が得られないときは、蓄電池の運用を休むことも大切だ。不要な取引を回避し、蓄電池の劣化を防ぐのだ。


拡大が期待されている時間前市場

 実は電気の市場には、前日に取引を確定する市場だけではなく、時間前市場もある。

 前日に電気の需給を予測しても、気温が上がれば冷房需要は増えるし、晴れの予報がくもりになれば太陽光発電の発電量は下がる。そのため、直前にも電気を売買することができる。これが時間前市場だ。


取引量こそ多くないが、電気の需要と供給を一致させるためには欠かせない市場である。再エネが増えることで、今後、この市場の拡大が期待されている。

 現状では、日中の取引量が多く、価格は前日よりも高い傾向にあるので、系統用蓄電池事業にとっては、利益を出しにくいのが現状だが、市場が拡大し、より夕方以降の需給調整が必要となってくれば、系統用蓄電池が活躍する機会もまた拡大するだろう。


容量市場と需給調整市場でも利益を確保

系統用蓄電池は、容量市場と需給調整市場という2つの市場でも、利益を出すことができる。

 容量市場というのは、4年後に電気が不足しないように、あらかじめ電源を確保しておくためのしくみ。系統用蓄電池の場合、たとえば1万kWの出力があれば、4年後に「市場が必要としているときに、出力1万kWで電気を売ります」という約束をする代わりに、決まった金額が受け取れるというしくみだ。

 市場なので、約定価格は毎年変わるし、系統用蓄電池の場合は電気を送るための稼働時間が一般の発電所よりも短いので、受け取れる金額は安くなることもある。それでも過去のオークションの傾向をみると、1kWあたり、3,000円以上になりそうだ。

 需給調整市場というのは、電気の需給のバランスをとるためのしくみだ。前日に、天気予報がしにくいような状況だと、需給の予測が大きく外れることがある。そのため、調整するための電源をあらかじめ確保しておくということだ。これも実際に取引される電気の量は少ないが、電気を売る場合の価格は、スポット市場よりもはるかに高い。需給調整のために確保されることで支払われる上に、販売した電気からも支払われるので、利益率は高い。

 この他に、今年度の秋以降に、長期脱炭素電源オークションというしくみも導入される。これは、20年間の蓄電事業(発電事業)の固定費の回収を確実にするためのしくみで、容量市場の一部となっている。今年度から、系統用蓄電池の事業者は、一般の容量市場か、長期脱炭素電源オークションのどちらかを選ぶことになりそうだ。

 さらに将来は、狭い地域内の電力システムを安定させるために、蓄電池を利用していくための仕組みが導入されるかもしれない。これもあらたな利益につながる。

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