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SalesforceのAI感を聞いて、わたしが感じたこと

Salesforceの考えるAIの今と未来についての講演を聴く機会を得た。

AI、ディープラーニング、ビッグデータ、マーケティングオートメーション。
「クラウド」って何かを知らずにクラウドがマジカルボックスかのように皮肉って表現したCMのオマージュがそろそろ出てきそうなほどに、バズワードが飛び交っている。

Salesforceのプロダクトマーケティングマネージャーの話と、私の感じ方をまとめておこう。

この世は相似象

いろいろなコトバあるがまぁわたしは、「この世は相似的」とおもっているため「脳の構造と同じことをさせるってことだけでしょ?」と思っていた。

人体を小宇宙と言ったり、飛ぶ鳥の群れがまるで生き物のように見えたり、人間は腸内細菌にコントロールされていたりと、この世の全ては相似的なのだ。

結論から言うと、正しかった、というか、Salesforceのプロダクト部の天才的若手さんも同じような解をだしていた。
「人間の脳の仕組みを真似すれば真似するほど、機械学習精度は上がることが証明されています。」

機械学習では、シナプスのニューラルネットワーク的なことを実行させ、「区別」(違いのパターン化)をする。

おもしろい事例がある。
猫に関するデータを学習させていったら、シナプスのデータパターンの中に、まるで猫の顔のようなパターンが浮き上がって出てきた、というのだ。これすなわち、「相似象」でしょ。

AIに人類が支配される?

だから、脳の構造が完全にわかるまでは、AIによって人類が支配されることはないとおもう。
ただし、バカな学習や、悪用、イタズラ、で使うことで、AIによって戦争などが引き起こされ、人類が滅亡することは多いにあり得る時代に突入している。

画像認識からの自動生成で、どこかのキチガイが話す画像を、動画学習させたホンモノの政治家の動画から自動生成してすり替えることもできている。口だけでなく、身振り手振りのモーションまでをも。

イーロン・マスクの傘下の企業が開発した、自然言語の文章を生成する「GPT-2」は、あまりにすごすぎて(人が書いたものと見分けが付かない)、悪用される懸念からオープンソース化をせず、縮小版モデルと論文のみ公開した。

AIと倫理感

Salesforceも、
倫理=企業価値として、
AIは信頼性、透明性、倫理を重視すべきであり、社会第一、手助け、のために使われるべきであるとしている。

AI時代の社会には、拝金的AIを徹底的に排除し、企業フィロソフィーがしっかりしているもののみ、用心しながら受け入れるリテラシーが必要だ。

日本のAI市場は宗教論争

こわいはなしはこのへんにして。

さすがCRM、SFA会社だけあり、つかみが素晴らしい。
「日本のAI市場は「AIとはかくあるべし」ブームでノウハウ合戦。もはや宗教論争じみてきた。」
全くその通りである。

日本のファッションのブームは1年以上前に決まっている。
「来年は緑のパンツが来る!」
この天使の粉を雑誌がばらまく前に業界護送船団方式で、
・アパレルは緑のパンツデザインを取りそろえ、
・繊維メーカーは緑の生地を大量生産、
・雑誌はモデルに緑のパンツを掃かせ、
・各分野のファッションリーダーにプレゼントして来てもらい、
・テレビのドラマ、バラエティで芸能人にはかせる、
という段取りを整えている。

2018からのビジネスの寄り付きワードとしてAIが盛り上がらなければ、「将来性」を感じさせる役者がほかにいないのだ。だから猫も杓子もAI関連ワードをつけて、「これぞ真のAI!」と思わせるような、言葉イジり合戦を繰り広げる。

ノウハウ > データ の本末転倒 

データをより吟味しなければならないのは当面人間側だ。
たとえば、データが偏りがあると倫理を越える場合がある。(白人データが多いから、採用AIが白人ばかり高スコアリングしてしまう、など。)

テクノロジーに善悪はない。
使うのは人間。人間の浅はかさと下心は、蓄積したデータから産まれるアルゴリズムの性質にそのまま投影される。
子育のころから銃を持たされ当たり前に兵隊にされた子供が、人を殺してと何も感じないように。
これ、AIを洗脳しているのは人間側、と言うことに等しい。

思い込みノウハウ < 洗練したデータ

でなければならない。

ビジネスで成果を出すAIとは?

さて、では社会性から次元を下げて、ビジネスとしてAI活用で効果を出すにはどうすれば良いか?Salesforceの提言で、同意できたこと。

■ビックデータよりファストデータ
使えないデータの海で溺れるより、価値を生み出す早さのほうが大事ってこと。

■成功を測る
ベースラインを測定してその後の変化との相関を見ると言うこと。
余談だが、某インターナショナルなビジネスのマシーンな会社の営業マンの発言にひっくり返ったことがある。
「導入について稟議通すのに悩まれてるなら、このテストキャンペーン、12月にやりましょう!クリスマスはほっといたってアクセス上がります。効果出たように言えるじゃないですか。」←地球から出て行けこの拝金主義者め。

■常に道徳心を
バイアスを考慮した道徳あるAIを目指し更改し続ける努力を怠らない。これ最もむずかしいだろうな。「そうはいっても、しかたない」そんな声は想像にたやすい。人類の倫理観が試される。

■ビジネスニーズ優先
「実験室」ではなくビジネスニーズ優先。「クラウド」のときから言われていたことと全く変わらない。コンサルのカモはPoC貧乏になることが約束されている。
※PoC:Proof of Concept「概念実証」 新しい概念や理論、原理、アイディアの実証を目的とした、試作開発の前段階におけるデモ、実験。

AIは、(少なくとも現段階では)
プロセスを簡単にしているだけで、ビジネス判断は人間なのである。
それにはなにより、知識が必要。

AIの発展には人間の精神性の成熟が不可欠

ということで、わたしの印象としては、
AIが高度化すればするほど、人間は、哲学への造形を深めたり、よく内観して自分の思考と感情の動きを観察するなど、超スピリチュアルな世界を探求する必要があるな、と、感じている。

フォースと共にあらんことを、だわな。

最後に、最も興味深かったこと。
講演者のかたがプレゼン資料のAIを「彼」と呼んでいたこと。これ、擬人化した目線で付き合うことで、まるで育児のように、愛をもって丁寧に扱おうという気持ちになれるといった理由なのかもしれないと思った。


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