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官民連携で空き家課題に取り組む

昨日の記事にも書いた通り、一般社団法人全国空き家アドバイザー協議会 柏崎支部の設立総会へ出席してきました。
一般社団法人全国空き家アドバイザー協議会のHP↓


柏崎支部の会員の皆様と

支部局長を務めるのは、新潟市に拠点を置くライブデザイン㈱という設計事務所を営む長谷川敏栄さん。(写真2列目中央)
自身の地元である柏崎で長くまちおこしや地域振興の活動を行ってきた馴染みのメンバーと共に、支部を設立されました。

新潟県内では、いち早く設立された阿賀町支部、一昨日の長岡市支部に続き、3支部目となります。

あくまでも支部の設立が目的ではなく、その後の自治体との官民連携による空き家対策を目的としています。

何故、わざわざ支部を設立して空き家対策を推し進める必要があるのかは昨日も書いた通りですが、建築事業者を中心としながら不動産業、司法書士や弁護士等の士業といった様々な業種を横断した専門家が加入する団体としてワンストップで空き家の課題解決へ向けて取り組む、という意義が大きいと考えております。

そして、昨年12月に施行されました「空家等対策の推進に関する特別措置法」の改正により、国が目指す方針がより明確になってきました。
今回はそれらを踏まえて、我々の団体がどのような役割を担っていけるのか、解説していきます。


空家等管理活用支援法人とは

(空家等管理活用支援法人の指定)

第二十三条 市町村長は、特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人、一般社団法人若しくは一般財団法人又は空家等の管理若しくは活用を図る活動を行うことを目的とする会社であって、次条各号に掲げる業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、空家等管理活用支援法人(以下「支援法人」という。)として指定することができる。

 市町村長は、前項の規定による指定をしたときは、当該支援法人の名称又は商号、住所及び事務所又は営業所の所在地を公示しなければならない。

 支援法人は、その名称若しくは商号、住所又は事務所若しくは営業所の所在地を変更するときは、あらかじめ、その旨を市町村長に届け出なければならない。

 市町村長は、前項の規定による届出があったときは、当該届出に係る事項を公示しなければならない。

空家等対策の推進に関する特別措置法より
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=426AC1000000127

昨年の法改正により、これまでなかった「空家等管理活用支援法人」を自治体が指定する事ができるようになりました。
現状ではまだ申請受付の準備中という自治体が多い中、一般社団法人全国空き家アドバイザー協議会(福島県石川支部)が全国に先駆けて第一号として指定を受けました。

空家等管理活用支援法人が担う業務とは

では、指定を受けたこの支援法人とは実際にどのような業務を行うのか見ていきましょう。

(支援法人の業務)

第二十四条 支援法人は、次に掲げる業務を行うものとする。

 空家等の所有者等その他空家等の管理又は活用を行おうとする者に対し、当該空家等の管理又は活用の方法に関する情報の提供又は相談その他の当該空家等の適切な管理又はその活用を図るために必要な援助を行うこと。

 委託に基づき、定期的な空家等の状態の確認、空家等の活用のために行う改修その他の空家等の管理又は活用のため必要な事業又は事務を行うこと。

 委託に基づき、空家等の所有者等の探索を行うこと。

 空家等の管理又は活用に関する調査研究を行うこと。

 空家等の管理又は活用に関する普及啓発を行うこと。

 前各号に掲げるもののほか、空家等の管理又は活用を図るために必要な事業又は事務を行うこと。

空家等対策の推進に関する特別措置法より
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=426AC1000000127

主にこれら6つの業務を自治体と連携して業務にあたることが求められます。
多岐にわたる業務を実務として行える団体や法人は、正直少ないと言えると思います。
この中の一つや二つは出来るよ、という団体はあるとは思います。

空家等管理活用支援法人に指定されるメリットとは

そして支援法人に指定される事で、とても大きなメリットがあります。

(情報の提供等)

第二十六条 国及び地方公共団体は、支援法人に対し、その業務の実施に関し必要な情報の提供又は指導若しくは助言をするものとする。

 市町村長は、支援法人からその業務の遂行のため空家等の所有者等を知る必要があるとして、空家等の所有者等に関する情報(以下この項及び次項において「所有者等関連情報」という。)の提供の求めがあったときは、当該空家等の所有者等の探索に必要な限度で、当該支援法人に対し、所有者等関連情報を提供するものとする。

 前項の場合において、市町村長は、支援法人に対し所有者等関連情報を提供するときは、あらかじめ、当該所有者等関連情報を提供することについて本人(当該所有者等関連情報によって識別される特定の個人をいう。)の同意を得なければならない。

 前項の同意は、その所在が判明している者に対して求めれば足りる。

空家等対策の推進に関する特別措置法より
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=426AC1000000127

空き家課題の解決における大きな障害一つに、現在の所有者が分からない、連絡がつかないといった問題があります。
いやいや登記簿謄本を見ればいいじゃないか、という意見もあるでしょう。もちろんそれで判明する物件もあります。
ですが「現在の所有者」と「登記簿に記載されている者」が食い違っている、という状況が多いのが現状です。

これは相続などにより物件の所有者が変更しているのに、その変更があった時に登記申請をしていない方が多かった、という事が原因です。
平気で2代、3代前の先祖の名前になっている、なんて事も。
こうなると民間事業者の我々では近隣への聞き込みから始まり、その中から得たつてを辿っていくしか道はありません。

こういった所有者不明土地を防ぐ為にも、令和6年4月1日から相続登記の義務化が始まります。

一方で、自治体は登記簿に記載されていない情報、例えば現在その物件の固定資産税の支払いをしている者の情報などを持っている事もあります。
通常ですとその情報は外部に漏れる事はありませんし、民間の我々が請求する術はありません。
ですが、この支援法人に指定されればこういった各自治体が持っている情報の提供も受ける事ができますよ、というのが今回の改正の最も大きなポイントであると考えています。

官民連携で足りない部分を補い合う

自治体は公にはできない情報を多く持っています。が、その情報を活用して課題解決に向けて具体的な行動は起こす事ができません。(空き家法に定められた勧告、命令などは可能です)
そして我々民間事業者は、課題解決に向けて具体的な行動は起こせますが、得られる情報には限りがあります。
こうしたそれぞれの役割を明確にし、連携・協働していきましょう、という事が昨年施行された改正案の大まかな目的と捉えております。

これらは私が一般社団法人全国空き家アドバイザー協議会の新潟市支部の設立を目指している理由の一つです。
私一人では、一企業では、当然この支援法人には該当しません。
同じ志を持って空き家という大きな社会課題の解決へ、共に行動できるメンバーと一緒に事業を行って行きたいと考えています。

ご興味のある方、詳しく話を聞きたい方はお気軽に連絡下さいませ。

次回からは、巷で言われている少子高齢化と人口減少、反比例して増え続ける空き家、そして10年の予測値といった関係性を日本で行われてきた政策から読み解き、私なりに考えている事をまとめてみたいと思います。

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