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CTOにお会いしてきた(13) Sansan CTO藤倉成太さん「日本のスタートアップのアウェアネスを上げてグローバルで勝つ」

こんにちは。日本経済新聞社でSOLMUのプロダクトを担当している吉村です。今回は、Sansan株式会社 執行役員 CTO 藤倉成太さんにインタビューをさせていただきました。

Q. 御社の事業内容を教えてください。

2007年の創業より法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」を開発・提供しています。「Sansan」は「名刺を企業の資産に変える」をコンセプトに、社内に眠る名刺をデータ化し、人と人のつながりを情報として可視化・共有できるクラウド名刺管理サービスです。
また、2012年からは個人向け名刺アプリ「Eight」の提供を開始し、ソーシャルの仕組みを取り入れ名刺をビジネスのつながりに変える新たなビジネスネットワークとして、現在200万人以上のユーザーにご利用いただいております。

Q. CTOとしての役割を教えてください。

個人向け名刺アプリのEight、法人向けクラウド名刺管理サービスのSansanと合わせて、現在ものづくりに携わるメンバーは180人程在籍しています。

CTOとしての役割の1つ目はエンジニアのためのスキーム作りです。日々開発を行なっていく上での技術的意思決定は現場のエンジニアに任せ、私は会社としての技術的側面のエンジニアリングパワーを最大化するために、現場の技術的意思決定をより高い精度で迅速に行えるようなスキーム作りに注力しています。

2つ目は採用活動です。採用面接は現場のエンジニアやエンジニアリングマネージャーにもお願いしていますが、私自身は、採用広報としてSansanのネームバリューを上げるための活動に注力しています。取材もお受けしていますし、Sansan主催のサービス開発に携わるものづくりのメンバーを中心としたカンファレンスの企画・実施も行なっています。

また、新規プロダクト開発も担当しています。
SansanやEightが主力のプロダクトですが、それらを軸としつつ、価値を強化していくようなプロダクトシリーズの開発も行なっています。私自身直接コードは書いていませんが、PoCやプロジェクトマネジメントを実施しています。

3つの全く違う飛び地をやっていますね。

Q. エンジニアになったきっかけはありますか?

プログラミングを始めたのは小学5年生の時です。笑い話ですが、任天堂のファミコンを父親が買ってくれることになったのですが、蓋を開けると実はMSXでした(笑)MSXでできるゲームにはすぐ飽きてしまいましたが、Basicが書けたので、それで遊んでいました。

大学は機械工学を専攻していて、内定もハードウェア企業から頂きました。しかし、OB訪問のときに働いている方々の雰囲気をみて、自分の進むべき道ではないと気づきます。プログラミングが好きであったことや、その頃に観た映画『マトリックス』に影響を受けたこともあって、ソフトウェア開発の道に進むことを決意します。

ソフトウェア業界を調べるうちにシリコンバレーのことを知り、憧れを持ちます。そこでシリコンバレーで働くチャンスがある会社を選ぼうと思い、現地に子会社を持つオージス総研に入社することになります。尖ったSIerという印象でした。入社後、チャンスは巡ってきて4年目の春にシリコンバレーに出向することになります。そこからアメリカを中心に日本や中国でも仕事をしていました。

当時は、現地で良いプロダクトがあれば日本市場に持ってきて、SIプロジェクトの武器にすることがミッションでした。シリコンバレーのベンチャーの人は熱い想いがありかっこよかったのですが、ベンチャー側からは、赴任という立場の自分を、お客様扱いされていると感じていました。
一方で、20代のときは技術力で世界のトップクラスになりたいと思っていました。ベンチャーの人たちと働いていくうちに、技術は手段であり、世界を変えるために何を作るのかが重要だと考えていることに気づきます。

そこで日本に戻り、日本発のプロダクトで世界を変えるべく、現在のSansanにジョインしました。Sansanは他のベンチャーと違って、最初からグローバルにいくためのストーリーや具体的なロードマップを描いていました。そこが他のベンチャーより、グローバルを取りに行くことへの高い可能性があると感じます。10年近く経った今でも、世界に挑戦できる数少ない日本のソフトウェア会社だと思っていますね。

前職を退社するに当たっては、アメリカ駐在中に会社を辞める宣言をしました。その後日本に戻った1週間後に、たまたまベンチャーが集まる会に来ないか?という誘いを受け、参加することになりました。そこで話していた2社のベンチャー企業のうちの1つが名刺管理を主力とするSansanでした。そのイベントの懇親会で社長の寺田と共通点(元三井物産のソフトウェア担当でシリコンバレーにも赴任)が多くあることがわかり、話が盛り上がりました。

他の企業も積極的に回っていましたが、自分でも気づかないうちにSansanをベンチマークにしており、これはSansanに惹かれているなということ気づきました(笑)

Q. 現場エンジニア / CTOの違いはどこにありますか?

エンジニアとCTOは全く違う職種だと思っています。実装するためのテクノロジーの選択よりは、経営の意思決定としてのテクノロジーの選択が求められるので、マネジメント職としての側面が強いと感じます。

Q. エンジニアの組織作りについて

事業がどういう意思を持っているのかをしっかりと理解していなければ、最適な技術選択もコーディングもできないと思っています。そのためエンジニアはプロダクトや事業を理解する力を磨く必要があります。当社には、日々の技術的な判断は十分にできているエンジニアが多いので、事業的な意思決定を理解できるように成長していってほしいと思っています。受託開発のプロジェクトとは違って、当社の開発では新機能のリリース日をお客様と約束しているわけではないので、リリース日を自分たちで設定する必要があります。事業サイドの発言などから考えや想いを咀嚼した上で、リリース日やスケジュールを決める必要がありますよね。

今年は技術ロードマップを引いていくことで、現場のエンジニアにも事業理解を深めてもらいやすい環境を整えていきたいと考えています。そのようなことを通じて、事業サイドとエンジニアの間のコミュニケーションパスや、エンジニアが事業を引っ張っていくカルチャーを作っていきたいなと思っています。

Q. SOLMUを使って会いたい人

CTOとしてのメンタリングはしてみたいですね。日本のソフトウェアビジネスはまだまだ海外に対しての存在感が薄いと感じています。もう少し目線を上げて、グローバルな市場に対してもっと攻めていきたいですね。20代の若いCTOやエンジニアの悩みを聞いていると過去に経験してきた内容が多いので手伝えることもあるのではないかなと思っています。

最後に告知があればお願いします。

技術力とビジネス感度を持っていて事業にフルコミットできるメンバーを募集しています。一緒にグローバルに挑戦していける人材を求めています。

Sansanのものづくりを支える技術やデザイン、プロダクトマネジメントの情報を発信するブログをオープンしました。是非ご覧ください。

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