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diffeasy 取締役CTO 西武史さん「CxOは 未来を作っていく役割」 | CTOに会う

こんにちは、SOLMU PdM吉村です。今回は、株式会社diffeasy 取締役CTO西武史さんにインタビューをさせていただきました。

ーー業務内容について教えてください

受託開発と自社サービスを二つの柱としております。

受託開発では、オーダーメイドとして幅広い業界の企業さんと取引しており、例えば木材工場や薬剤師向けのシステムを開発しております。
開発だけではなく、お客様の課題は何かというところから始めています。課題の発見や要件定義を行い、システムが必要となれば開発を進めています。
また、単に納品するだけでなく、導入した後の課題発見や運営保守も行なっております。

自社サービスでは、大会運営向上心というスポーツ大会の運営をサポートするサービスを展開しています。開発には私自身もコミットしています。
スポーツ大会運営は手作業な部分が多く、名簿管理や入金の仕組み、難読漢字やトーナメントの組み合わせなど、運営の先生が苦労していました。
運営の先生から「運営が大変なので、今年は大会をやめようかな」という声も多く聞かれます。

2020年の東京オリンピックを控える今、こういった理由でスポーツ大会が減り、スポーツの衰退に繋がるのは勿体無い、と考え、このシステムを開発しました。
現在、柔道(金鷲旗)と剣道(玉竜旗)の全国規模の大会などでも導入が決まっています。

ーーCTOとしての役割を教えてください

弊社は4期目です。その時々によってCTOの役割は変わってきています。
diffeasyはもともと白石憲正、篤司の兄弟2人で創業した会社です。
代表の憲正は、元IBMで、大規模システム開発のマネジメントについては豊富な経験がありますが、コーディングなどの開発経験はそれほど多くはありません。
副代表の篤司も元々人事系の会社にいた人間でした。そこに1人目のエンジニアとして私がジョインします。最初私は、個人事業主としてまだ2人体制のdiffeasyから仕事を受けていました。

一緒に仕事をやっていく中で、仕事のスピード感が気持ちよく、彼らと一緒に仕事をしたら面白いことができるかもしれない、と思い、CTOとしてジョインしました。
この頃は私以外にも数名のフリーランスの方に手伝ってもらいないがら開発を進めていました。

その後、代表や私の知り合いがエンジニアとして入社してきます。ウェブ開発の経験がないメンバーが多く、学習コストや経営状況、成長スピードを考えながら、私が主導して技術選定やシステム構成を考えていました。
次第に人が増え、個々の開発スキルも上がってくると、開発を任せつつ、会社として技術力を高め、経験豊富な人材を採用するにはどうするかを考える役割も出てきます。

diffeasyという会社を多くのエンジニアに知ってもらうため、IT勉強会などで積極的にLTをおこない、アウトプットを増やし、情報発信を行うことで、知名度を上げていくよう努めました。Backlog Worldでの取り組みもその一環です。

CxOは未来を作っていく役割だと思っています。
社会やエンジニアリングの未来を見据え、技術と経営面のバランスをとりながら、技術的にどうあるべきか最適なポイントを考える職種だと考えています。
大会運営向上心のプロダクトのコーディングも行なっていますし、受託案件のPMも行なっています。

ーーエンジニアになったきっかけを教えてください

子どもの頃はゲームが好きでした。中学くらいの時にゲームを作りたいと塾の先生に進路相談したところ、ゲームはオタクが作るもの、普通科に行って大学に行きなさいと言われ、また自営業を営んでいた親からも安定した職へ就いた方が良いと言われていました。当時まだ先生や親が言うことが正しいと思い、それに従って、普通科の高校へ進学します。

2000年に大学に入学しました。ウェブがまだそれほど一般的でない時代、SonyのVAIOが発売されたり、みんながパソコンを持ち出した頃でした。
この頃もゲームが好きでしたし、パソコンにも興味を持つようになり、大学では情報科に進みました。

しかし、授業で履修するプログラミングは面白く感じませんでした。このままプログラマとしてやっていけるのかなと感じ、当時塾講師のアルバイトをしていた関係で教育関連の職もいいのではと思っていました。
卒業論文で1人でシステムを作ることになり、当時Javaアプレットを使って高速道路の渋滞解析アプリを開発しました。この時に、自分で開発できる面白さを知り、やはりプログラマとしての道に進むことに決めます。

地場の福岡のシステム会社に入社し、9年くらい在籍していました。企業向けに業務システムを受託している会社でした。人には恵まれていて、学びが多かったです。
しかし、コンシューマー向けのシステム開発をもっとやりたいという思いもあり、業務外の時間を使ってレンタルサーバを借りてPHPを勉強し、自分でWebサービスを作るようになりました。

同じ頃、東京の案件で単身赴任することになりました。
プロジェクトリーダーとして私が東京のお客様先に常駐し、福岡のメンバーがリモートで開発するという体制でした。
技術的にも業務的にも会社として新たなチャレンジであり、非常に大変な案件でした。
毎日遅くまで作業し、土日も福岡には帰らず、仕事をする毎日でした。
そんな生活を続けていく中で、次第にこの生き方に疑問を感じ始めます。結婚し子供も生まれたばかりというタイミングで、東日本大震災もあり、家族との時間をもっと増やしたい、限られた人生の時間をもっと自分が本当にやりたいことに使いたい、と思い始めるようになりました。

ーースタートアップにジョインするきっかけを教えてください

最初の会社を辞めた後、フリーランスとして自宅で仕事をして、やりたいことにチャレンジしていました。

しかし、サービスを開発する上で1人の限界も感じ始めます。デザイン面、UI/UXについて使いにくいというユーザーの声があったり、サービスをより多く使ってもらうためには、マーケティングも必要となってきます。
会社に属するのではなく、プロジェクト単位で誰かと仕事をしたいという気持ちがありました。

東京の早稲田大学の学生ベンチャーと福岡で出会って意気投合し、自分たちでサービス作りたいけどシステム作る人がいないという話から、そのベンチャーの立ち上げにCTOとして関わっていました。しかし、東京と福岡という物理的な距離がある上でり、意思決定スピード、情報共有や空気感の共有など、完全にリモートで取締役としてやるということの難しさも感じました。
福岡のイベントであった人と、スマイルスコアというサービスに開発責任者としてもジョインします。働く人のメンタルを記録し、感情で伝えるシステムを開発していました。

こうやってフリーランスとして様々なプロジェクトを立ち上げる中で、diffeasyと仕事をするようになり、diffeasy二期目に正式にCTOとしてジョインすることになります。

ーー開発で苦労したことはありますか?

スタートアップやベンチャーでは何よりもスピードが重要だと考えています。いかに早くユーザーに使ってもらい、フィードバックを得るか、が重要です。

大会運営向上心では、アプリケーションを使って詳細な試合結果をスコアボードを入力してディスプレイに表示したり、試合の動画をオンラインで観れる機能の実装も進めていました。しかし、地方での道場主催の大会であれば、スコアリングは保護者の方がつけていたりして、競技の細かい情報の判断ができず、データが正しく反映されなかったり、選手の保護者から、負けている試合の動画をオンラインで配信しないで欲しいなどという声もあり、実現化に至らなかったことがあります。

このように現場での本当のユーザーの声を聞き、限られた資金体力や人的リソースの中で、いかにスピーディーに本当にユーザーが求めているサービスを作るか?ということを心掛けています。

ーーエンジニアの組織作りで工夫されていることはありますか?

現在の社員構成は、2019年の春に20名となり、その内エンジニアは13〜15名となっています。弊社は、ヒエラルキー型の組織ではなく、管理や上から教えるということは実施しておりません。働き方、会社、社会は不確実で常に変わっていく。会社に属することも近い将来なくなっていくかもしれない。そこで、個人としてブランディングを高めるべきと伝えています。
日本は、今まで苦手分野を克服して、みんな均一的に成長することが求められた社会だったと思います。そうではなくこれからは、得意なことを伸ばして個人の強みを活かしていく社会であると信じています。

フロントエンドが得意、開発が得意など得意なところを伸ばす組織でありたいと思います。
ヒエラルキー型でないことはきついことでもあります。人と比べて自分を評価するかは簡単ですが、自分がどう在りたいかを考え、自分自身を絶対評価することは、とても大変です。

なので、diffeasyでは、お互いがどうありたいかを理解し、どのようなアプローチをすれば自分の在るべき姿たどり着けるか、そこに向かってお互いに応援する組織で在りたいと思っています。

ーーCTOになって新しく勉強した分野はありますか?

CTOとしては、技術的には未来の技術があったとしてそれが出た時に乗り遅れたではいけない、一般化した時に全くわからないではいけないなと考えています。また、未来のことと同時に今現在のことも注視する必要があって、昨今のフロントエンドの変化や、クラウドが登場してサーバやインフラも変化しています。最適な技術の選定を全て私がしてしまうと私が知りうる範囲でしか組織が成長がなくなってしまいます。

私が先頭を切って実施するのではなく、現場メンバーが考え、自走する組織であるべきで、あくまでも私は踏み台としてチャレンジできる環境や機会を提供する役割に徹しようと考えています。とはいえ、上がってきた技術への判断ができるように自分自身のスキルアップも日々研鑽しています。

アウトプットの量は増えました。個人でやっていた時以上に、diffeasyとしてどういったことをやっているのか、アウトプットをするには調べないといけないので、インプットの量も上がりました。
技術以外では、元々人に興味がなかったのですが、CTOになり人を見ることが増えたので、最近は興味を持つようにしています。一時期、心理学を学んだりもしました。 

もともと未来志向であり、未来のことについて考えたり、語ったりするのが好きですね。組織としての未来のあり方と、個人としてのあり方をみんなに持ってもらうためにはどうすべきか考えています。
経営視点での技術判断も重要で、資金・組織体力がない中で未来に行き過ぎてしまうと会社の存続にも関わりますし、現状を見ながらどこまでやるかをCTOとして考える時間が増えました。

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