リーガルしろうとのおべんきょう① 〜おまけの余談の答え合わせ〜

なつきです。

今回はこちらのNote記事の有料部分、おまけの余談(学習院OB裁判関連の考察)の答え合わせ、その後の裁判手続きについておべんきょうをしてみました。
新しい情報とかはありません。

答え合わせ

2023/4/23に暇空氏のライブ配信にて債権差押命令が発令されたことが公表されました。やはり仮処分命令の決定で-3万円/日も決定していたようでした。更にその後にサービスライブと称して、270万円という金額も公表していました。

一方、これに対しては「間接強制申立ての審尋は受けていない、決定の発令もされていない」「発表が虚偽か不適法な手続きを進めたと考えざるを得ない」とポストしています。

確かに暇空氏も仮処分決定後に「学習院OBが間接強制申立てをした」とは発信していませんので、その通りなのでしょう。

仮処分決定の主文に間接強制金と同等の文言が入っていた件を、暇空氏は「W(V(仮処分)V(間接強制))申立て」と言っていましたが、神田弁護士の見解は「同時申請ではなく仮処分決定の一種」でした。

なお神田弁護士的にも不適法ではなさそうという見解のようですね。
詳細は仮処分決定の書面に書かれていたことでしょう。

学習院OB仮処分1の送達については長らくモジモジさせられ、(心の)オチn(略)が爆発しそうでしたのでスッキリしました。

なお、外野から確実に分かるのは「債権差押命令が決定した」という書類の存在までで、その後の口座の差押えによる金銭の移動などがあったかどうかは知る由がありません。

リーガルしろうとのおべんきょう

取り上げさせて頂いている暇空茜チャンネルは教育コンテツですので、私もおべんきょうしましょう。

民事保全事件の手続きの流れ

民事保全=仮差押えまたは仮処分のことです。
手続きの流れは以下サイト、(2)の要審尋事件が該当するでしょう。

ア 保全命令申立て,切手等提出
イ 債権者の裁判官面接(数回にわたる場合があります。)
ウ 審尋期日呼出・債権者から債務者へ申立書等の副本直送
エ 審尋期日の実施(数回にわたる場合もあります。)
オ 担保決定
カ 立担保証明提出
キ 保全命令発令

① 仮処分は送達前でも執行可能?

民事保全法第43条第3項には、保全命令が債務者に送達される前であっても実施することができるとあります。

第三章 保全執行に関する手続
(保全執行の要件)
第四十三条 保全執行は、保全命令の正本に基づいて実施する。ただし、保全命令に表示された当事者以外の者に対し、又はその者のためにする保全執行は、執行文の付された保全命令の正本に基づいて実施する。
2 保全執行は、債権者に対して保全命令が送達された日から二週間を経過したときは、これをしてはならない。
3 保全執行は、保全命令が債務者に送達される前であっても、これをすることができる。

民事保全法 第四十三条(保全執行の要件)

② 仮処分は担保金を立てる

民事保全法第14条には、仮処分の実施条件として担保を立てることとあります。

(保全命令の担保)
担保金
第十四条 保全命令は、担保を立てさせて、若しくは相当と認める一定の期間内に担保を立てることを保全執行の実施の条件として、又は担保を立てさせないで発することができる。

民事保全法 第十四条(保全命令の担保)

担保金については、暇空氏は支払いが済んでいると2023/12/25にポストしています。

①、②が本件に当てはまる場合は、仮処分命令が決定した時点、2023/12/27には保全執行開始の条件は満たしていますね。
①が当てはまらない場合、この後に説明する付郵便送達が完了した時点で保全執行(-3万円/日)が開始されていると思われます。

付郵便送達(ふゆうびんそうたつ)

暇空氏のXポストで、送達は付郵便送達にて送達完了済みであることのことです。

付郵便送達とは、一言で言えば「裁判所が送達を行った時点で送達が完了とみなされる送達方法」です。

裁判所のサイトにある付郵便送達上申書のpdfを参考にしましょう。秋田簡易裁判所の上申書の方が東京地方裁判所のものより親切に書いてました。地方格差。

まず、秋田簡易裁判所の上申書を見てみますが、お題目の通り送達方法を上申しています。

債務者に対する送達はこの居住地あてに民事訴訟法第10 7条1項1号の書留郵便に付して発送する方法によりされるよう上申します。

https://www.courts.go.jp/akita/vc-files/akita/2021/siharaitokusoku_fuyuubin_R3.pdf
(秋田簡易裁判所の付郵便送達上申書PDF)

ここにある「民事訴訟法第107条1項1号」、以下の通りです。

(書留郵便等に付する送達)第百七条 前条の規定により送達をすることができない場合には、裁判所書記官は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める場所にあてて、書類を書留郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者の提供する同条第二項に規定する信書便の役務のうち書留郵便に準ずるものとして最高裁判所規則で定めるもの(次項及び第三項において「書留郵便等」という。)に付して発送することができる。
一 第百三条の規定による送達をすべき場合 同条第一項に定める場所

民事訴訟法 第百七条(書留郵便等に付する送達)


① 書留郵便(または準ずる信書便)に付して送達することができる。
です。

第107条冒頭の「前条の~」とあるので、次に第106号を見てみます。

(補充送達及び差置送達)第百六条 就業場所以外の送達をすべき場所において送達を受けるべき者に出会わないときは、使用人その他の従業者又は同居者であって、書類の受領について相当のわきまえのあるものに書類を交付することができる。郵便の業務に従事する者が日本郵便株式会社の営業所において書類を交付すべきときも、同様とする。
2 就業場所(第百四条第一項前段の規定による届出に係る場所が就業場所である場合を含む。)において送達を受けるべき者に出会わない場合において、第百三条第二項の他人又はその法定代理人若しくは使用人その他の従業者であって、書類の受領について相当のわきまえのあるものが書類の交付を受けることを拒まないときは、これらの者に書類を交付することができる。
3 送達を受けるべき者又は第一項前段の規定により書類の交付を受けるべき者が正当な理由なくこれを受けることを拒んだときは、送達をすべき場所に書類を差し置くことができる

民事訴訟法 第百六条(補充送達及び差置送達)

ここでは「同居人に渡すことが可能、就業場所の人、同居人が拒否しても置いていけば送達完了となる」と書いてますが、第107条ではこれが出来ない場合とありますので、
② 同居人がいない、就業場所が無い(または不明)
です。なので、不在の場合は置いていっても送達完了にはなりません。

ここまで繋げると
①+② 同居人がいない、就業場所が無い(または不明な)場合、書留郵便(または準ずる信書便)に付して送達することができる。

もう一つ、第107条第1項1号

一 第百三条の規定による送達をすべき場合 同条第一項に定める場所

民事訴訟法 第百七条(書留郵便等に付する送達)

とありますので、第103条も見てみましょう。

(送達場所)第百三条 送達は、送達を受けるべき者の住所、居所、営業所又は事務所(以下この節において「住所等」という。)においてする。ただし、法定代理人に対する送達は、本人の営業所又は事務所においてもすることができる。
(2は省略します)

民事訴訟法 第百三条(送達場所)

送達場所は住所、居所、云々…。ここでは住所でいいですかね。

全て繋げると、

送達場所の住所に同居人がいない、就業場所が無い(または不明な)場合、書留郵便(または準ずる信書便)に付して送達することができる。

結局のところ、第107条の「書留郵便に付して送達」というのが「発送時点で送達完了」という意味みたいですね。リーガルしろうとにはここが繋がりませんでした、難しい。

付郵便送達上申書

上申書に戻りますが、ここまでのおべんきょうの通り、付郵便送達は送達場所の住所に同居人がいない、就業場所が無い場合に可能となります。逆に言えば、これらを調査し裁判所に説明(上申)しなければ認められません。というわけで、東京簡易裁判所の付郵便送達上申書の内容を見てみます。

調査報告書
下記のとおり,申立書記載の住居所について調査した結果,債務者が居住している ことを確認しました。なお,債務者の就業場所等他に送達すべき場所は不明です。

調 査 者 氏名
調査の日時 平成 年 月 日午前・午後 時 分 頃
調査の場所 住所
建物の外観 ビル・集合住宅・一戸建
表札の有無 あり・なし
電気メーター 動いている(微動・勢いよく動いている ・停止している )
生 活 感 あり・なし
郵 便 物 たまっている(不在の様子 ・たまっていない(回収されている様子) )
呼び鈴に対する応答 あり・なし
応 答 者 氏名
近隣への聞き込み結果
 対象者の氏名
 聴取内容

(東京地方裁判所の付郵便送達上申書PDF)

この調査には調査会社を使うのが一般的らしいです。

なお、付郵便送達上申書も裁判書面ですので、債務者側にも届いているはずではないかと思います。きちんと書面を受け取っていれば、仮処分決定の送達は完了していることは分かるでしょうか。

債権差押申立て

次に今回の債権差押申立てについてもおべんきょうしていきます。

債権差押命令申立ての流れは「債権差押命令手続の流れ」以下の通りです。
PDFから申立て⇒命令の部分を抜粋しますが、

┌───────────┐
│ 債権差押の申立て  │
└───────────┘ 
   ↓(書類審査) 
 ┌──────┐ 
 │ 差押命令 │
 └──────┘

シンプル。
書類審査だけなんですが、提出された債務名義には執行文が付与されており内容は保証されているため、債務名義の内容の審議が不要、書類審査だけとなるのだと思われます。
執行文付与については後述してます。

ところで債権差押命令申立ては債務者へは伝わらないらしいです。
理由としては、申立て~命令の間に債務者が債権を処分する可能性があるからとのこと。
確かに「あ!差押申立てされた!命令出る前に手放して持ってないことにしたろ!!」とされると困りますからね。

また、申立てからのタイムスケジュールは以下の弁護士事務所のサイトが分かりやすいです。

【申立てから取立てまでにどれくらいの時間がかかる?】
まず、申立てを行ってから命令を発するまでに2、3日かかります。ここから第三債務者、債務者に郵送されるまでの期間が10日程度陳述書が裁判所に送付されるまでが1-2週間程度、そこから債権者に債権差押命令正本等が送達されてから取立てまでが1週間(給料取立ての場合は4週間)です。

https://izumi-kigyo.jp/saiken/column/kyouseishikkou/sashiosaemeirei

本件では、2024/4/18には差押えが完了していると暇空氏はポストしています。

これを受けると、逆算で4/10には陳述書が第三債務者(本件では銀行)から提出第三債務者、債務者に郵送されたのが4/2頃債権差押申立ては3/28頃となります。
2024/3/28と言えば、仮処分決定の2023/12/27から約3か月後、約90日。
-3万円/日 × 90日 = -270万円。
つまり仮処分命令の発令(-3万円/日開始)は2023/12/27、遅くともその数日後だったことが推測できますので、民事保全事件の流れで書いた仮処分は送達前でも執行可能の通りだったか、初手の送達が付郵便送達だったかのどちらかだと思われます。

2024/5/1追記

↑はちよっと違ったかもしれません。
どうも
陳述書→差押執行
ではなく、
差押執行→陳述書のようです。
この陳述書は「差押えの結果報告」と考えればよさそうですね。
それと日数計算は確実に間違ってました。手を突いてお詫びします。

陳述書が4/25となると、第三債務者、債務者に郵送されたのが4/18で暇空氏の4/23のポストはこれですね。となると債権差押命令が4/8頃、申立ては4/5頃となります。
この時点で270万円であるなら、年末年始を挟んで裁判所が初手付郵便送達した1/5頃から仮処分執行が開始、4/5の債権差押命令申立てまでの90日分の可能性が高そうです。

債権差押申立てに必要な書類

必要書類は裁判所ページにある「債権差押命令申立てをされる方(債権者の方)へ」の通りです。

その中で今回のケースで必要な書類で関係のありそうなものは以下の通りです。
まず一つ目の書類

○ 執行力ある債務名義の正本 判決,和解調書,公正証書等に執行文の付いたもの。

債権差押命令申立てをされる方(債権者の方)へ

債務名義(ここでは=仮処分命令決定の正本とします)、これに執行文が付与されたものとなります。

執行文の付与とは

執行文とは、その決定(判決)内容を強制執行ができるという証明書です。執行文の付与に関しては、債務名義の送達証明書が必要です。債務名義が付郵便送達されていれば問題ありませんね。

執行文付与に対する異議の訴えも可能ですが、単純執行文(債務名義の執行力を単純に公証するもの)の場合は、出来ないようです。

もう一つ必要な書類

○ 債務名義の送達証明書

債権差押命令申立てをされる方(債権者の方)へ

債務名義の送達が完了している必要が出てきます。これも付郵便送達であれば問題ありませんね。

債権差押命令への異議

債権差押命令への異議としては、強制執行停止を申し立てる必要があるようです。
がんばれ💛がんばれ💛(説明が面倒になった)

まとめ

何かが起こった時にその法律を調べることはできるものの、今後何が起こるか、起こすことが可能かは分かりません。
しかも裁判所がイレギュラーな対応をしたり、学習院OB弁護団が前例もない手段も試しに行っているらしいです。

展開は予測不能なんだよなぁ
リーガルしろうとだもの

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