劇場版おっさんずラブのロゴについて考える

 ドラマでも劇場版でもエンディングは同じ仕様で、ラストにおっさんずラブのロゴが出ておわりだお、となる。

 ドラマのロゴのダブルハートは各回で色が異なる。春田にデコチューをした2話では濃いめのピンク、牧が付き合って下さいと告白し、春田の恋心が芽生えた5話は淡いピンク、そして春田の感動のプロポーズで終わった7話のラストは、2話と同じ濃いピンク色で終わっている。

 劇場版のラストはどうかというと黄色である。おっさんずラブのテーマカラーとも言うべき色で、スタンダードな広告には黄色が使われている。ここからは自分の勝手な解釈なのだが、黄色はフラットな状態を表しているのだと思う。

 だからラストでダブルハートが黄色なのは、それぞれにリスタートを切る、という意味合いなのではないかと自分は受け取っていた。それはシナリオ本の対談で徳尾さんと貴島プロデューサーが似たようなことを話している。

 さらに付け加えると監督の解釈も自分は納得している。年齢や既婚か未婚か、この物語に何を求めるかによって評価が割れるのだろうが、ただ二人だけの甘い世界が見たいという声。だか、それでは二人の関係性も成長も永遠に止まってしまう。自分はおっさんずラブをBLで終わらせたくないと思っていた。だから初見から何ひとつ引っ掛かりがなかった。自分にはあのラストは、建設的な未来への道筋と二人の確かな関係性にしか見えなかった。

 春田と牧は劇場版でどちらかが浮気をするとか、その関係性が揺らぐとか、そんなことで悩むストーリーは考えもしなかったとブレーンは話しているので、これからもそういう心配は全くないと思う。もし壁があったとしてもそれは別の問題。

 だから黄色=フラットだと言ってもリセットではない。一段階上へと上がった春田と牧の二人の関係はもちろん、部長、武川さん、マロ、蝶子さん、ちず、鉄平兄、マイマイ、ジャス、狸穴さん、それぞれのキャラの先を見据えた希望の黄色いダブルハートだと思う。例えると幸せの黄色いハンカチのような。

 それぞれに違う道を歩んでも、同じ目線の高さで同じ歩幅で、同じ風景を見ている。だから物理的な距離はあっても、心は繋がっている。春田と牧の未来を見届けられなかったのは辛いが、いつかその先を見せて欲しいと願う。自分はこの場所で何年でも待っている。