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宮城磯マル完全マニュアル(3/3)


今回はpart1、part2の内容を踏まえたうえで総集編に入りたいと思います。part1ではアプローチ方法、part2ではルアーを紹介しました。

part1はこちらから

part2で紹介したルアーを実際どのように運用すべきかという部分から、装備や安全面についても触れたいと思います。

part2はこちらから

ルアー選抜編

part2でそれぞれのルアーの運用方法について軽く触れました。ここから補足を兼ねて詳細に入りたいと思います。フローティングミノー、シンキングミノー、ヘビーシンペン、バイブ等。

歴戦の汚いヒップバッグ。

フローティングミノー

レンジ、アクションを考慮して3種類ほど持っていきます。

●シャローランナー
レンジ30センチ程のモデル。ゴロタ浜やワンド内の藻場に着いた魚を比較的ピン撃ちで釣る際に使用します。またオープンエリアでルアーを流してサーチする場合にも使います。

ex.アストレイア127FHi-Beat、レスポンダー149F、ウェイク系全般

●MD系リップレスミノー
レンジ60cm〜1m程のリップレスミノー。メーカー公称でシャローランナー扱いになっていることがあります。基本的にこれはシャローランナーと同じ用途で更に下のレンジを通す時に使用。

ex.サスケ裂波120&140、剛力、ハードコアミッドダイバー、ロウディ、アストレイアSSR


●MD系フローティングミノー
レンジ60cm〜1m程の通常のリップ付きミノー。これもシャローランナー扱いされている事が多いです。

ex.サイレントアサシン140F、エスクリム、サーフェスウィング


この3つのタイプのルアーがあれば大丈夫です。しかし、このようなありきたりな初心者向けサイトのセールストークじみた解説では、全く具体的なイメージが湧かないと思います。そこで役割別に詳しく解説します。


まずパートワンで解説したように、磯マルでは居付きと回遊を釣り分ける必要があると申し上げました。例えば同じMDタイプのルアー、すなわち1メートル前後のレンジのルアーであっても、ただ単にそのレンジを通せれば良いワケではありません。



リップレスとリップ付きでは想定される泳ぎの質が違います。リップ付きは水のつかみが良い(立ち上がりが早くレンジキープ能力が高い)ので、波の高さや足場の高さに合わせて調整をかけるのに有利だということです。つまりオープンエリアでの釣りまたは流れが早かったり遠いピンで食わせたりするのに向いています。

リップレスは、全体として、ややお尻振り気味のアクションをします。一定の速度あたりのアクションのピッチが大きくゆるい傾向にあり、ヘッドの形状から泳ぎ出すまでのラグがあること、水抜けが良いことからサラシや波の当たるシモリ根、ちょっとした隙間になっている場所を漂わせると、巻き上がった水で姿勢を崩すことで良い動きをし、また回収時も素早く水面を滑るため、非常に良い操作性を発揮します。水深40センチもあればシーバスがいる可能性は十分にあります。このような際どいポイントではリップ付きのミノーでは引き波によって根掛かりしてストレスでしかありません。そして基本的に足場の高さに対する耐性があまりありません。

また、シャローランナー1つ取ったとしても、アストレイアとレスポンダーでは得意とするシチュエーションが違います。アストレイアはシャローのピンや比較的近距離でのカレント攻略を得意としますが、レスポンダーは中距離から長距離のドリフトの釣りを得意としています。

つまり回遊を狙うならレスポンダーの方が向いてるし、ピン撃ちならばアストレイアの方が圧倒的に向いています。

このように、ルアーの特性を考えた上で手札を構築すると意外と奥が深いです。磯に持っていけるルアーの数は少ないですから、様々な状況で通用する万能性を見極めて、自分がエントリーするポイントの環境に合ったセレクトをすると釣りの引き出しはどんどん増えると思います。肝はリップレスとリップ付きの使い分け。


シンキングミノー

シンキングミノーはフローティングミノーに比べて特殊性の強いルアーです。フローティングに比べて、自由度が非常に高いルアーである一方扱いが結構難しいルアーでもあります

●ディープダイバー系

バイブレーションのレンジをミノーの動きでスローに誘うためのルアー。操作が難しいがハマると非常に良い武器になる一方で、物によっては操作性に難点がある。

ex,セットアッパーシリーズ、jetty135、ダイブアサシン、アスリート12MDS

●シンキングミノー

フローティングミノーのレンジからもう数10センチから1メートル下を通すのに使う場合から、シンキングペンシルとミノーの中間として扱うなど、様々な使い方ができる。アイディア次第でいろんなことができる万能ルアー。

ex.アサシンシリーズ、ブローウィン、bks

シンキングミノーは道具として、万能性は凄いモノがあると思う。しかし、Google検索で「シーバス シンキングミノー いらない」がサジェスト表示されるほど需要がないのか、実際に数も少ない。


正直、ルアーセレクトの中で1番難しい部類のものだと思います。宮城で磯マルをやるならばディープダイバー系はあったほうがいいです。普通のシンキングミノーは本当に種類が少ないので、ここの分野は実はまだ未開拓なのかもしれません。このレンジ帯はヘビーシンペンに任せることもできますが、シンキングミノーでなければ取れない魚もいるのも事実です

これがなぜ難しいかと言うと、シンキングミノーは単にそのレンジ帯に合わせるためだけに使うのかそれともシンキングミノーの特有の動きを利用して、魚に口を使わせるのか、いろんな使い方がありすぎて、まとまりがなく把握するのが難しい。単に足場が高いので、そのギャップを埋めるためにシンキングミノーを使うのは結構バットチョイスだったりすることも多いです。ニュートラルな魚が多い磯では、魚の餌の捕食射程は割と広いことが多くて、フローティングミノーの水押しじゃなければ、反応しないことも多々あります。

実際に現場に持っていくボックスでは、シンキングが中心となるか、フローティングが中心となるが、人によって様々別れるところだと思います。私の場合は、どちらかと言えば、フローティングが中心で、もちろんダイビング系も何本か入れます。

普通のシンキングのものに関しては、2本くらい入れています。シンキングミノーのレンジ帯を攻略するならば、私はシンキングペンシルに任せることが多いです。ある程度ニュートラルな魚が相手でフローティングで出ない場合、レンジを下にするにも低速で誘わないと食わない場面が多く感じるので、それで釣れれば良いのですが今度はシンキングペンシルにチェイスはするもののバイトにまで至らないこともよくあります。どうにも流れが弱い時などうまくルアーが演出できないような状況だと、そういったことになりがちかなと。そういう状況で使うのがサイレントアサシン129sの早巻です。ある程度沈めてからバイブ位の速度で巻いてくると反応は拾えます。また絶妙にドリフトで流れないと食わないパターンもあるので、その状況だと140sをドリフトさせます。


ヘビーシンペン編

ヘビーシンペンを制する者は磯マルを制するといってもいい位の万能ルアーです。このルアーは3種類+ αぐらいで考えると良いです。

1.約18gクラス以下
2.約21gクラス前後
3.約28gクラス前後
4. 約36g以上

正直言ってシンキングミノーがあまり発達しない理由にシンキングペンシルの万能さがあると思います。普通にドリフトして、広範囲を探るにもピンポイントを狙って、通すにも飛距離や操作性が万能すぎる部分がある。

ウェイトクラス順に解説します。

あっという間にボロボロです。



●約18gクラス

これはちょっと重重めのリバー用シンペンでもいいですし、各社から発売されているヘビーシンペンのダウンサイジングモデルで、似たような重さのものでも構いません。磯で使うには軽すぎると感じる人も多いかもしれません。しかしシャローのゴロタ浜やシモリ周りでスローに誘う際に、このクラスがどハマりすることが結構あります。これはサーフシーバスで使うメソッドのうちの1つで、波打ち際の近くで第1ブレイクより手前の瀬のボトムを転がして食わせる方法の延長です。もちろん波がない時限定ですが、逆説的に言えばこの手の軽いルアーがないと反応しない状況って結構あって魚がいない訳じゃない。水深によってはワンドのちょっとしたカレントだとこれ以上の重さのシンペンでは、ボトムにタッチしてしまうので、ナチュラルに誘うにはこれぐらいの軽さがちょうど良い場面が結構あります。基本的にピン撃ちのフォローで使いますのであっても1本で充分です。

ex.レビンミニ、ワンダーリーチ、スライドスイムミノーmds、ミニヨレ、ゲンマ


●21gクラス

この重さがシャロー食わせ用のシンキングペンシルとして大体よく使う重さの中で下限になると思います。これは表層レンジでローアピールルアーを漂わせなければ魚がコンタクトしてこない場合に非常に出番が多い。状況としては満潮時にシモリが水面に隠れるような浅瀬で、そのシモリ頭の上を通過させたり、岩礁の脇をスローに誘うと反応してくる魚が実は結構多いです。いかにも魚がいそうなポイントでミノーを投げて反応が取れないときの次の1手として活躍します。ただこの重さのシンキングペンシルだと多少荒れてる時にでも使えるようなものであって欲しいので、それがリバー用であるのか外洋向けなのかを踏まえた上で何本か用意しておくと非常に活躍します。

ex.ぶっ飛びくんシリーズ、スライドベイトシリーズ、スイッチヒッターシリーズ、ヘビーショットシリーズ




●約28gクラス

この重さのヘビーシンキングペンシルが1番出番が多いと思います。それは何故かと言うと、この重さのヘビーシンペンはシャローでカレント攻略にも使えるし、ディープでも回遊の魚を探すにも非常に扱いやすいクラスになります。
この21gと28gの使い分けは磯マルに限った話ではなく、サーフシーバスを狙う際に非常に有効な手段であるので、マスターしておくに越した事はありません。サーフではブレイクの手前から波打ち際にかけてを21gクラスで丁寧に探り、波が高い場合や水が足りない場合など、ブレイクより手前に魚が入らない場合に28gクラスのヘビーシンペンをブレイクラインより奥にキャストして魚を狙うのは非常に有効な方法です。磯におけるシャローでのシンキングペンシルの使い分けは、ほとんどサーフシーバスと変わりません。唯一使いかたで違うのは縦ストラクチャーのワキを通したりすること。

ex.21gクラスに同じ


●約36グラム+クラス

これはパートツーでも触れましたが、結構特殊な扱い方をするルアーになります。波が高い場合や足場が高い場合などで必要な場面がたまに出てきますので、1本ぐらいは持ってると良いかもしれません。

ex.パンチライン130、かっ飛び棒、ヨイチ99バリスタ、ヘビーショット125


狂気のボトムドリフト

意外と魚が出るメソッドを紹介いたします。例えばpart1で説明したように、磯の岬の先端で回遊の魚を狙うときに水深が5メーター以上ある場合が多いと思いますが、フローティングやシンキングのミノーでサーチした後に魚がいるとしたらボトム付近だけど、使えるのはバイブレーションぐらいになってしまって手詰まりになることって結構多いんじゃないかなと思います。(ダイビング系はキッチリとボトム取るのは苦手だったり)


こういう状況で36g〜28gクラスのシンキングペンシルを遠投して着底させてからボトムドリフトをすると結構釣れることが多いです。これはヒラスズキゲームの水中映像を見るとわかりますが、釣り人から目に見えてないだけで魚はかなりセレクティブになっててローアピールなルアーをスローに引かないと反応しないことがあるんですよね。

このメソッドを人呼んで「狂気のヘビーシンペンボトムドリフト」

釣れますが、ロスト率も高いです。


装備品編

磯丸における装備編です。普通のゲームベストにスパイクシューズがあれば大体釣りにはなります。ただし、エントリーまでが大変なことが多いので、色々と工夫をしなければ体力の消耗が激しくストレスフルになりがちなので、簡単にその辺を紹介したいと思います。


磯ではロックショアベストがオススメです。


基本的には釣り場では足はスパイクシューズ、ウェットスーツを履いてて、場所によっては上半身レインジャケットを着る。ゲームベストかロックショアベストにヒップバックで実釣する方が多いです。ロッドは10フィートのmhクラスにシマノだったら4000 番相当。ラインシステムはPE1.5号リーダー30ポンドがよくあるタックルバランスですね。場所によっては帽子の上からヘルメットもあると良いでしょう。




問題はエントリーするまでに山道を長時間歩くことが多いということです。この場合ウェットスーツを着た状態で、山道を長時間歩くと体力の消耗が激しく場合によっては熱中症になるかもしれません。釣りに行くと言うよりも半分山登りをしに行くような気持ちで取り組んだほうがいいです。
この釣りに本当に必要なものは、良いタックルでも沢山のルアーでもありません。強い肉体と精神力が1番大事です。

このエントリーするときの問題につきまして、お勧めの方法があります。大きめのドライバックにヒップバックやウェットスーツなどを詰めて現地で着替える方法です。こうすることで山道を歩く際に動きやすく怪我もしにくくなります。もし心配ならばロットケースを持っていくのも良いと思います。




次に気をつけなければならないことが何個かあります。磯にエントリーする際に山道を歩きますが、特に春は落ち葉の下などに大量のダニがいる場合があります。なので歩いていて現地に着くと足がダニまみれ。

またヒルに吸血されることもあるので、虫除け対策が必要ですが、ダニには虫除けがさほど効くとは思えませんので、バッグの中に殺虫剤を入れておくのがオススメ。釣り場に着いたらダニを一旦処分し、帰る際に車に乗る前にもダニを処分します。


エントリーの際の注意点


三陸の磯は非常に切り立った崖なってる場合が多いです。したがって、この釣りでは海に落ちて事故になると言うよりもエントリーの際に滑落して事故になるケースの方が多いと思います。

安全のためにトラックロープ等を使う方もいらっしゃいますが、基本的には「ロープなしで降りれるルートでさらに安全を確保するためにロープを使う」ものですので「ロープがなければ降りることができない」ようなルートは入らない方が良いです。

苦労して入れば、その先はブルーオーシャンで、前人未到の天国が待っていると思いがちですが、大体の場所は先駆者に開拓されてますので、本当に入る価値のある場所であれば、先駆者が道をわかるようにしてくれているはずです。なので、無理をしてショートカットをしたりせずに、地形を見ながらなるべく安全なルートで磯に入るようにお願いします。場所によっては電波が通じない場所もあります。この令和の時代に信じられませんが、気をつけてください。


特にこの釣りに行く際には、基本的には複数人での行動を心がけた方が良いかと思います。


いかがでしたでしょうか。今年の海水温はこの2月の時点で16度に達しています。したがって今の時点で十分にショアからスズキが狙える状態になっています。

今回は簡単に3編に分けて解説させていただきましたが、すべての人にオープンにするわけにはいかない情報もたくさんあり、ここに書いている内容も私が把握していることのうちの4分の1にも満たないです。書きたいことは沢山ありますが、非常に長くなってしまうので、ここまでにしたいと思います。

もっと知りたいと言う要望があれば、さらに詳細メソッド、ルアーの使い方などを映像媒体も含めて共有できればなと思ってます。

あまり釣れない釣りと知られている一方で、ここまで熱中する人が多いのは、それなりの見返りがあるからこれだけ流行っているのかもしれません。
例えば秋口のリバーゲーム当たりの日に遭遇できれば1日30匹キャッチなんてこともあると思います。しかし磯マルはうまく回遊の群れを探し当てたり、タイミングを見極めたり、テクニックでいろんなポイントで魚を拾い歩く。うまくいけば70〜80アップ30ヒットなんてことも起きます。しかもそれは時期的なものではなく、シーズンに入りさえすれば、いつでも起きる可能性のある釣りです。夢のある釣りです。

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