2.スタート

入塾テストの終わった僕のその時の感情は最悪だった。

「終わった、、、」

今まで全く勉強に努めてない自分が解けるわけも無く、悲惨な得点だという事は言わずもがなだ。

「本田さん〜
テストの結果が出ましたのでお伝えしますね♪」

なんとも陽気な口調で講師の伊藤が部屋に入ってきた。

「そうですか、、、
何点でしたか⁇」

「13点です^ ^」

「、、、、
もっと勉強してから来ます。」

「どうしてですか??
入塾おめでとうございます‼︎」

「合格ですか⁉︎」

「当たり前じゃないですか‼︎
点数を上げるのが我々の仕事です。
一緒に頑張りませんか?」

バブリーな格好とは裏腹に大きな眼鏡から真剣な眼差しが心に突き刺さるような感覚だった。

「ありがとうございます‼︎
すぐに母親にも伝えます。」

「よろしくお願い致します。
こちら契約の手続きの書類となっておりますのでお母様にお渡し下さい。」

不意に切られたスタートに戸惑いながらも帰路につく途中、塾の廊下には実績が記された1枚のポスターが、、、

『昨年当塾より受験者17名‼︎
残念ながら合格者は出ていませんがこの蓄積されたノウハウが次世代に生きる‼︎
2年目の挑戦始まる』

と何とも不安にさせる文言の数々が。

つまりこの塾は2年目で、昨年実績は合格者0人という不名誉なレッテルを貼られて入塾希望者がいない事で格安で、さらにはテストの点数関係なく入塾出来るという何とも杞憂漂う場所であった。


不安とワクワクが混在する中帰宅してすぐに母親に書類を渡して相談した。

「あの塾まだ1人も合格者を出したことがないらしいよ。
大丈夫かな?」

「大丈夫よ〜
最初の1人になれば良いだけじゃない‼︎
しかも安いし、先生良い人そうだし‼︎」

「会ってないじゃん」

「電話やよ〜
声が良い人に悪い人はおれへんでしょ‼︎」

母親の訳の分からない理論と、超絶なポジティブ思考で僕もおかしくなり、どちらかというと希望を大きく持つことが出来て入塾する事となった。



僕の門出を祝う様に5月にしては晴れ過ぎなくらいの天気で僕は塾初日を迎える。
この塾は5月2日から入塾者が一気にスタートを迎える制度で途中参加はあるが、フライングスタートしている入塾者は居なかった。

ワクワク、ワクワク、ドキドキ、くらいの割合で心地よい緊張感と、これから共に1年間学び高め合う仲間との出会いを思い描きながら母親の運転する車に揺られていた。

「何人くらいいるのかな⁇」

「さぁ?
一気にスタートだから50人くらいじゃない?」

少し渋滞している国道を心配そうに眺めながら母親は答えた。

渋滞は思ったより僕の足を引っ張らず開始20分前には到着した。

少し早歩きで向かった教室では予想を上回る事態が、、、

3話へ続く

#小説 #ビジネス #someoneslife #自叙伝 #塾 #ノンフィクション

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Yojiro

一人一人の人生に結構なドラマがあって、自分の人生の一部を半分フィクション半分ノンフィクションで記しています。誰か1人でも人生の活力やどこか自分に置き換えて懐かしさを感じで癒されて貰えれば幸いです。
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