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個人事業主になってから10年間の失敗を振り返ってみる

振り返ってみたら、個人事業主(後に法人化)して10年経ってました。

波乱万丈だった気もすれば、意外と平穏だった気もしますが、10年も個人事業をやっているといろいろと経験も増えてきます。僕の場合、成功体験については再現性を確かめながらメソッド化して、ブログや書籍で公開しています。ですが、失敗体験についてはあんまり書いてないなぁと思って、noteにしたためてみました。

ただ、失敗って恥の歴史でもあるので、あまり黒歴史を公開し続けるのも恥の上塗りなので、ある程度の部数での限定公開にする予定です。評判が良ければ改訂して再販するかもしれないですが、予定は未定です(評判の良い失敗ってなんだよ)。


さて、僕は「失敗」というものは、行動を止めてしまった時に失敗となると思っています。行動さえ続けていれば失敗ではなく経験値になります。「やってみてうまくいかなかったら、うまくいかなかったことが一つわかったという経験値が増える」んですよ。途中で止めてしまうから失敗という考えになるだけで、ずっと続けてさえいれば単なる通過点でしか無いんです。

なので、借金が10億あって倒産\(^o^)/オワタ的な致命的な失敗というのは現状無いんですが、そうは言っても独立してから10年、躓くことは数多くあったので、そのあたりについて書いていこうと思います。

【目次】

・ブログ飯に至るまでの失敗
 -怪しい無料レポート読み過ぎ問題
 -無料ブログサービスのサイト量産問題
 -低単価ジャンル攻めすぎ問題
 -知識弱いのに高単価ジャンル狙いすぎ問題
 -成功した高単価ジャンルと、成功後の失敗
・SNSアカウントの育成の失敗
・出版に至る失敗
・ボランティア関わり過ぎ失敗
・値付けの失敗
 -安売り問題
 -算出根拠が決まっていない問題
 -やりたい仕事とやりたくない仕事の価格が同じ問題
・地方創生案件の失敗
 -スピード感の違い問題
 -自己紹介多すぎ問題
 -動かない関係者多すぎ問題
 -責任逃れが多い問題
・口約束の失敗
 -契約書つくろう問題
 -あとで仕事回すから問題
・出版プロデューサーの失敗
・染谷の考える一番の失敗

どうしよう、項目出してるだけで黒歴史に心折れそうなんですけど。

※このレポートは染谷が運営するオンラインサロン「ギガ盛りブログ飯」内で無料公開されています。オンラインサロンメンバーは買わないでくださいね(それでも買いたいというのは止めません)。


ブログ飯に至るまでの失敗

-怪しい無料レポート読み過ぎ問題

同じ時代を通っている人だったらご存知だと思うんですけど、10年ぐらい前は無料レポートというスタイルでPDFファイルを配布するやり方が流行っていました。無料レポート配信スタンドで配布されている情報を欲しい場合は、メールアドレスを登録することでそのノウハウが記載されたPDFがもらえるという仕組みです。

レポート配信者は得たメールアドレスを自分の発行しているメールマガジンに登録し、メルマガでさらに情報を配信し、信頼度を上げ(教育し)、バックエンド商品と呼ばれる高額商品や塾などをセールスしていくわけです。


アフィリエイト黎明期の頃は、今のように参考書になるような書籍が少なかったんです。ノウハウはインターネット上の玉石混交の情報の中から、自分の目利き力で判別していく必要があったわけです。

僕の場合、捨てメールアドレスをいくつか用意して、数百本ものレポートを読んだ記憶があります。いま振り返ると、一過性のノウハウばかりで、長い目で見ると役に立たなくて無駄な時間でしたけど、怪しい情報や怪しい人を見分ける嗅覚は鍛えられたと思います。


数万円の情報商材もいくつか買いましたけど、良かったと思えるのは1~2個です。あとはほとんどゴミのような代物でした。結構な金額買った記憶がありますが、今だったら書籍を数冊買えば全部載ってます。そうそう、あくまでもうわさ話なんですが、亀山ルカさんという方と齊藤ミナヨシさんという方が書いているアフィリエイト本はかなり評判が良いという話を耳にしました。


時代は繰り返すとよく言われます。でも、ブームやトレンド、ヒット商品って、ただ単に行ったり来たりしてるわけじゃないんです。螺旋階段的に一段上のステージに登りながら復活していくわけです。

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こんな感じで振り子のように同じ位置を行ったり来たりしてるわけじゃなくて、

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反対側の要素も含んだ上で、ひとつ上の進化した階層で繰り返されるということですね。螺旋階段状に良くなるというのは、そういう意図で使っています。


今の時代、完全なるオリジナル商品なんてもはやほとんど無いんです。いかに過去のアイディアを、時代に合わせて一段上のステージで再加工するかが肝なんです。

例えばアイドル業界。おニャン子クラブからAKB48への進化が挙げられます。芸能界は、完璧さ→未完成さ→完璧さ→未完成さを繰り返しています。ピンクレディーや松田聖子さんといった完成型アイドル全盛時代から、未完成感溢れるおニャン子クラブ時代へ。そして森高千里さんやWink、安室奈美恵さんなどの完成型時代へ戻り、そして成長型のAKB48へ至るわけです。

例えばゲーム業界。ファイナルファンタジーからファイナルファンタジーXIV(14)への進化はどうでしょうか?買い切り型のファイナルファンタジーシリーズ、グラフィックやストーリーを当時の技術の粋を集めて、完成度を高めていきました。そして買い切り型+オンラインゲームの良さを融合して、多くのユーザーを集めています。

タクシーという古い業界もそうです。Uberがタクシー業界の常識を変えました。従来、タクシーに乗るにはタクシー乗り場に並ぶか、迎車の手配をする必要がありました。流しのタクシーを捕まえられるかどうかはタイミング次第でした。でもUberは、アプリ1つでタクシーを呼べてしまうわけです。クレジットカードを登録しているので、現金の支払いも発生しないわけです。このように古い重厚な業界でも、技術を駆使することで新たなサービスへ生まれ変わらせることができます


さて、アフィリエイトの業界の話に戻りますが、昔あったアフィリエイトの高額塾はオンラインサロンというスタイルに、PDFで配布されていたノウハウはnoteというプラットフォームによって教材から読み物へ変化しています。よりライトで購入のハードルが低い仕組みにリパッケージされているわけです。

過去の無料レポートや有料商材と一緒で、買ってみてゴミだったという経験も再度体験できるので失敗というのは終わらないなぁと懐かしく思う次第です。

-無料ブログサービスのサイト量産問題

ほら、当時の僕って素直だったので無料レポートの低品質な情報でも試してみないと気が済まないんですよ。なので、作りました。SeesaaブログやFC2ブログやJUGEMブログなど、アカウントが(ほぼ)無限に作れる無料ブログサービス使って、10ページぐらいの超ミニサイトをたくさん。

テーマとしてはニッチキーワードで、報酬単価1,000~3,000円ぐらいの商品を販売していく感じですね。A8やバリューコマースなど、大手のASPでも、プログラム全部に目を通すと不思議な商品ってあるんですよ。

電脳卸や、もしもドロップシッピングなどのサービスは今でもマニアックな商品を取り扱ってます。


とにかく商品とキーワードの事ばかり考えて、100個ぐらい作ったのも良い思い出です。ユーザー視点なんてほぼ無かったですね。

いまではログインIDどころかURLすら忘れちゃったので、紹介できないのが申し訳ないのですが、要は何も考えずに作業的にサイト量産しても稼げないということです。

-低単価ジャンル攻めすぎ問題

超ミニサイトの作成が徒労に終わった僕は、中規模のグルメサイトや旅行記サイトを作り始めました。ユーザーが(というか僕が)「あったら便利だなぁ」と思えるような情報を提供していく形ですね。

実際に料理を作ったり、足を運んで食べてみたり、旅行して体験してみたりと、自分の経験をコンテンツに落としていくスタイルです。

僕の本やブログを読んでいる人であれば何回か見かけたことがあるかもしれませんが、代表的なブログが以下の4つです。


レシピ・グルメ系ってサイトを作る人が多いので競争率が高い割に、アドセンスやアフィリエイト等の成果報酬単価って低いんです(商品単価が低いジャンルは広告単価も低い傾向があるので)。だから月額の報酬額なんてホント微々たるもので、夫婦で一回飲みにいける程度の報酬額ぐらいです。ですから報酬額だけで見たら失敗の部類に入ります。ゴリっと稼ぎたい人はグルメ系ジャンルはお薦めしません。もちろん、これだけの記事量を書いたので、レポート系の文章は問題なく書けるようになったのですが。

収益に関して言えば、楽天トラベルや確約航空券、ホットペッパーのアフィリエイトプログラムを上手に使えばもうちょっと収益化できたような気もしますが、いずれにせよGoogleマイビジネスやGoogle予約機能の充実によって駆逐されていくジャンルなのかもしれませんね。


そうそう、余談ですがGoogleマイビジネスといえば、戎井一憲さんという方が書いている書籍がわかりやすいという話を聞いたことがあります。

-知識弱い&興味ないのに高単価ジャンル狙いすぎ問題

ジャンルで言ったら金融案件です。僕、大学ではゼミが金融論だったんですが、それほどクレジットカードとか保険とか資産運用とか興味なかったんですよ(今は興味あるというか相当勉強している)。

で、うろ覚えの情報や本で得た上っ面の知識では、高単価ジャンルの検索上位に鎮座しているサイトには太刀打ち出来ないんですよね。ビックキーワードでガチ勝負しかけても、巨人の足元でポカポカやってる状態です。

いま考えると、もうちょっと購買につながるキーワード次第でなんとでもなる気がするのですが、8年ぐらい前の僕には知識も経験も足りてなかったですね。

-成功した高単価ジャンルと、成功後の失敗

語学教材のアフィリエイトプログラムも高単価案件なのですが、スピードラーニングをメイン商材にしたサイトは成功した部類に入ると思います。


英語教材を実際に体験しながら1年間過ごしたという内容です。このサイトは月額50万円ぐらいの報酬まで伸びました。「スピードラーニング」という単独キーワードの検索結果も、公式の下(2~3位)に位置していました。

で、

で、

当時の僕は、「うまくいっているモノはいじらない」という考え方でした。

この「うまくいっているモノはいじらない」という考え方、ランディングページ(LP)界隈では広まっていた考え方なのですが、「広告を出稿して」、「LPに誘導し」、「申し込ませる」という流れで、LPのコピー、文章、ボタンの配置などを検証し、目標となる申し込み率を超えている状態であればそのまま、目標に足りなくなったらメンテナンスをおこなうという運用スタイルです。

この考えの指標って「申し込み率」なんですよ。集客の部分である「広告を出稿して」がブログではおこなっていないので、検索順位を維持するための行動を常々おこなっている必要があるわけです。

いやー、油断してましたね。僕が検索上位に居た当時は全48巻レビューをおこなっているサイトは1~2個だったんですが、競合がどんどん増えてきて混沌とした状況になりました。なおかつ、ブログ飯などの執筆が始まっていたので、サイトのメンテナンスに使える時間が著しく減少していたんです。

というわけで、安心して、油断して、手を抜いてしまうと高単価ジャンルで落ちていくのは早いという話です。いまの本が書き終わったらメンテナンスしよっと。


そうそう、note読みづらい人向けにPDFファイルも置いておきます。


SNSアカウントの育成の失敗

SNS全般というかTwitterアカウント育成の話です。

このアカウントの登録は2010年です。でも最初の数年はほとんど活用していません。

僕、昔はメインのTwitterアカウントってXperia非公式マニュアルの方を使っていたんですね。いまの「染谷昌利」アカウントって裏アカウント的な扱いで、表の非公式マニュアルのしっかりした呟きと、裏アカウントのまったく役立たない呟きで分けて使ってたんです。アカウント名「ソメタン」でしたしね。

で、書籍を出版するに連れて「ソメタン」アカウントの方をメインで使うようになりました。とはいえ、いきなり意識高い呟きとかしたらそれまでのフォロアーがニヤニヤするの目に見えてるじゃないですか。なので、緩め8割、真面目2割ぐらいの投稿バランスで運用しています。

きちんと140文字ギリギリまで使って、役に立つ、あるいは心に響くような内容を投稿して、フォロアーを増やし影響力を伸ばした方がビジネス展開としては正解です。楽しいかどうかは別にして。

そうなんです、楽しいかどうかは別なんですよ。なので、失敗だとわかっていても運用スタイルの大きな修正はおこなっていません。

出版に至る失敗

-本に時間がかかり過ぎでブログのメンテナンスがおろそかになって金銭的につらい問題

この小見出し通りなんですが、本を1冊書き上げるには多大な労力を必要とします。なおかつ、これは本を書いたことのある人じゃないとわからない感覚なんですが、ブログと書籍って文章の書き方が異なるんですよ。

Webは原理的に掲載スペースが無限にあって、検索エンジン対策のためにキーワードを織り交ぜたり、内容を膨らませたりと、基本的に拡大化、長文化、具体化させていく作業が多いです。逆に紙媒体は掲載スペースが限られるので、書いた文章を凝縮していく作業が多くなります。

この辺り詳しく書き始めるともう一本レポートが必要になるので割愛しますが、本の執筆モードになっている時にブログ脳に戻すのって大変なんです。ただでさえ凝縮させた文章書いてるのに、さらにブログ書いて気分転換しようなんて酔狂な人は少ないです。


書籍が出版に至る期間は、企画が1~2ヶ月、執筆が2~3ヶ月、DTP/推敲/校正が約1ヶ月で、だいたい6ヶ月ぐらいかかります。これはあくまでも平均値で、僕の場合、早ければ3ヶ月で出版に至ったこともあれば、執筆に1年以上かかったこともあります。その間、書籍から発生する売上はゼロ円です。

発売後、すぐに印税が振り込まれるとも限りません。出版社の支払いルールにもよりますが、発行月の翌月に刷った分、ポンッと振り込んでくれる出版社もあれば、発行部数の8掛けした金額を3ヶ月後に振り込む出版社もあります。要は出版してもすぐにお金にならないということです。

さらに印税額も算出してみましょう。ざっくり1,500円の本で、印税が8%として、4000部刷りました。印税額は48万円です。増刷にならなければこれでおしまいです。頑張ればアフィリエイトで月50万円稼ぎ出すのは決して高すぎる目標ではありません。本には約10万字の文字が必要ですが、10万字となると2,000字の記事が50本書けることになります。専門的な記事を50本書けば、ある程度の利益は見込めます。


直接的に儲けたいのであれば、一つのサイトを構築した方が金銭的にはお薦めです。とかいいつつ、今年は書籍を14冊出す予定なのですが、これは自分のステージを一段上げるための投資だと思っています。個人で年間14冊ってどう考えても頭おかしいじゃないですか。そのポジションを得るために、収益度外視でひたすらキーボードを叩いています。度外視とは言っても、それなりに売りますけどね。

なお、出版する大きなメリットについては出版の教科書に掲載しています。

ボランティア関わり過ぎ失敗

僕、ただでさえやること一杯なのに、なぜかいろんな大型イベントに毎年ボランティアスタッフとして関わっています(巻き込まれています)。当日ボランティア程度であれば、まる1日お手伝いするだけなので工数的にそんなに影響はないのですが、参加者が1,000人を超えてくるようなイベントだと半年ぐらい前からの準備が必要になります。

イベントで僕が担当することの多い役割が以下の5つです。

・広報(ブログ、SNS)・集客
・ウェブサイト制作・ディレクション
・登壇者調整
・スタッフ指導
・当日スタッフ

準備期間が半年のイベントの場合、ミーティングやブログ執筆、サイト作成などの実働時間は実質1~2ヶ月分の時間を使います。言い換えると、その時間は自分の仕事ができないということです。僕が書籍の原稿を納品できない理由の一つが、ボランティアの作業に追われているという要素があります。


もう一つ、イベントというのは数多くの人の善意と手間で実現するわけですが、仕事の進め方が合わない人もいるんです。お金貰ってる仕事であれば、100歩譲って我慢して仕上げちゃう場合もあるんですが、無報酬だとストレスが溜まるだけの状況もありえます。本当に合わないと思ったら、無責任と思われてもいいので撤退することも頭の隅に入れておきましょう。年に大型イベント2~3個手伝うとマジで自分の仕事が死にます。

もちろんボランティアスタッフとして積極的に関わることで人脈が生まれ、仕事の依頼に繋がることもあります。要はバランスです。必要以上の負荷を抱えることなく、適度な距離感で関わることをお薦めします。

値付けの失敗

僕はネット上の収入以外に、書籍の執筆、コミュニティ運営、個人向けセッション、企業コンサルティング、ウェブ制作(ディレクション)などの仕事をしています。

今はそうでもないんですけど、実は値付けが超ヘタクソで。相場よりかなり安く引き受けちゃうんですよね。それにはいくつか理由があるので、自戒を込めて載せていきます。

-安売り問題

安売りしてしまう理由って大きく分けて2つあります。1つ目は自分が提供するサービス(技術力など)に対する自信の無さ。2つ目は算出根拠が定まっていないという理由です。

まず自信の無さです。

・こんな高い価格にして売れるのだろうか?
・私レベルの技術力で、こんな価格を提示して良いんだろうか?

要は、「価格を高くして仕事がなくなったらどうしよう」という不安とどう付き合うかなんです。僕はその不安とうまく付き合えるようになったのはここ数年で、かなり安い金額で受けちゃう傾向があるんですよ。ボランティア関わり過ぎ問題が発生するのは、『お金を貰う』という行為に慣れていないからなんです。

技術力と価格に相関関係はありません。最近、すごい貧相なウェブサイトの手直しをすることが多いんですが、制作費聞いたら100万とか払ってるんですよ。TCDの9,800円のWordPressテンプレート使ってるのにも関わらずです。


そうやって情報弱者(実店舗の経営者に多い)向けのビジネスを推奨するわけではないですが、彼らの尊敬すべき点はお金を受け取る心理的障壁が無い、あるいは著しく低いということです。「お金は貰っていい」というマインドセットになってるんです。技術力の有り無しなんて関係ないんです。残念ながら美学だけでは食っていけないんですよね。

もちろん、技術力と見合っていない金額を得ていると、ある程度知識がある人に簡単に看破されて次の情報弱者を探しにいく形にはなるんですが。

-算出根拠が決まっていない問題

前項で挙げた2つ目のポイント、算出根拠が定まっていないという理由について解説します。ルールが決まってないから値付けに悩むんです。

僕も数年前まで感覚で価格設定していたので悩んだり安売りしたりと、余計なストレスを抱えていました。でも根拠(ルール)を決めることで、改善されています。ルール化することによって悩んで時間を浪費することもなくなりますし、気にしすぎて精神を消耗することも減ります。余計なエネルギーを使わなければ、それだけ作業時間や考える時間に充てられます。


僕は以下のルールに沿って、見積金額を決めています。

・日給/時給としていくら必要(欲しい)か決める
・初期費用型か長期運用型かを把握する
・工数換算(どれだけ時間がかかるのか)して提示する
・「追加要望が来そう」などの不安を感じたら2倍の値付けをする
・つまらなさそうだったら受けない
・面白そう、応援したいんだけど予算がなさそうなら半額でも可

先程も書きましたが、サービスの質・量が高いことに越したことはありません。しかしながら値段との相関性はありません。自分の提供しているサービスよりレベルが低いのに(低いと感じるのに)、高額なスクールとかよくありますよね。あそことかあそことかあそことか。

値付けというのは、あなたがいくら必要なのかを認識しておくことが重要です。1日5万と決めたら、淡々と提示すればいいだけです。

-やりたい仕事とやりたくない仕事の価格が同じ問題

価格がすべてのクライアントで一緒である必要もありません。「要件定義が曖昧だな」「追加作業でそうだな」と思ったら、ルール通り価格を2倍にすればいいだけです。

運用サポートまでやるのであれば、初期費用を安めにして、月々のメンテナンス費用を計上して、総額で希望金額になればいいわけです。

応援したいプロジェクトだなと思ったら、値引きしたって良いんです。ボランティアで加わっても良いんです。

見込み客が法人であれば、お金を支払うのは会社ですから、自分が満足いく見積もりを出しましょう。可能であれば、上司の印鑑がもらいやすいようなデータや資料も添付してあげましょう。

値段が高くても買う人は買いますし、安くても買わない人は買いません。なおかつ独自性が際立っていれば、他社との比較もされません。ルール化するだけで値付けは本当に楽になりますので、ぜひ試してみてください。あとは慣れです。早く慣れましょう。

地方創生案件の失敗

地方創生、心震わす響きですよね。

熱い想いを持って、地元を盛り上げていきたいという人たちはたくさんいます。地元ではなくとも、共感できる地域を活性化させていきたいという人たちもたくさんいます。

地方創生のお手伝いをしたいと思った人がまず頭に浮かぶのは「地域おこし協力隊」です。

地域おこし協力隊
https://www.iju-join.jp/chiikiokoshi/

上記ホームページには地域おこし協力隊について、「おおむね1年以上3年以下の期間、地方自治体の委嘱を受け、地域で生活し、各種の地域協力活動を行う」と書かれています。好きな地域に入り込んで、全力で活性のお手伝いをする、なんと素晴らしいことでしょう。


しかしながら地方創生を志した人たち全員が幸せになっているとは限りません。受け入れ側の環境次第で、状況は大きく変わってきます。

地域おこし協力隊には毎年数多くの人が就任し、地域で汗を流しています。任期満了者の6割がそのまま地域に残り、自分のビジネスに取り組んでいるというニュースも見られます。その裏で、約半数の隊員が任期を終えずに退職していることを知る人は多くありません。

地域おこし協力隊「失敗の本質」https://www.facebook.com/pg/sonraku/photos/?tab=album&album_id=585849434838881


そもそも、なぜ最近、地方創生という言葉がよく使われているのかということについて説明します。それは簡単で、「予算が付いている」からです。だから、使い方がよくわからない施設や、見たこともないゆるキャラや、食べたこともないご当地グルメが爆誕するわけです。

無駄金を使って新しいモノを作りたがる要因の1つが補助金です。あまり知られていませんが、総務省には外部専門家(アドバイザー)制度という仕組みがあり、その制度に則って申請すれば資金が捻出されます。

その額、年間560万円です。僕たちの税金です。

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http://www.soumu.go.jp/main_content/000318434.pdf


このような補助金を貰うためには目に見える「成果物」が必要なんです。従来ある資源ではインパクトが足りないんですよね。

だから補助金を使って外部のコンサルタントを雇い(外部専門家自身の場合もあり)、忙しい事業主や商工会のスタッフがあつまってミーティングをして、ご当地グルメやゆるキャラを作って、そして廃れていくんです。

お金は外部のコンサルタント(外部専門家自身の場合もあり)に流れて、残ったのは疲労と赤字だけだったりします。なんと悲しいことでしょう。


補助金ビジネスがすべて悪いとは言いませんが、補助金ビジネスだけしか知らないのは大きな問題です。補助金漬けになると、経費の感覚が薄れます。結果として、補助金が終わった時に自走できず、赤字がかさんでいくわけです。補助金を当てにして事業計画をつくっているわけですから当然ですよね。

補助金を利用しなくても黒字化している(たとえ1円でも)ビジネスに補助金を投入し、規模や収益を加速化させるのは素晴らしいことです。でも補助金を得るために何かを始めるのは本末転倒です。補助金に利用されて終わりです。


ちなみに鳥取県のもちがせプロジェクトは、僕個人的には非常に有意義な取り組みだと感じています。

自分たちの力でビジネスを成立させるために計画を練り、タイミングよく日本財団が鳥取県に補助金を出すという申し出があったので、上手にその資金を活用してビジネスの拡大を図っています。

そんなわけで、地方を回る際は、どこにお金が使われているのか、現地の人たちの動きや意欲はどうなのか、そして昔から存在している資源を活用しているのかを意識しながら動くと、いろいろな側面が見えてくると思います。


と、前置きが長くなりましたが、地方創生に関わると以下のようなストレスが生じます。こればっかりはやってみないとわからない体験なので、これからチャレンジしたいという人や、自分の実績として行政の仕事を入れておきたいという人は僕の経験を理解した上で、余計な負荷を自分に与えないようにしてください。

-スピード感の違い問題

Web業界に属する人間からしてみると信じられないぐらい、物事の進行スピードが遅いです。新幹線とチワワのお散歩ぐらいのスピード差があります(2016染谷調べ)。同じようなミーティングを繰り返し、1ヶ月経っても全然進んでいないことはよくあります。

僕の場合、強引に進めちゃうんですが、目立ちすぎると足を引っ張られます。陰口とか余裕であります。責任は全部被せられます。

-自己紹介多すぎ問題

前項で同じようなミーティングを繰り返すと書きましたが、回数を重ねるごとによくわからないメンバーが増えていきます。その度に自己紹介が発生します。遅刻する人がいたらなお最悪です。同じミーティングで数回自己紹介します。

2時間のミーティングなのに、自己紹介の時間が30分以上とかよくあります。だから話が進まないんですけど。

-動かない関係者多すぎ問題

基本的に行政の人で積極的に動いてくれる人は少数です。そして行政の仕事を受けている会社はそれに慣れきっているので、こちらも動きが鈍いです。

そうなると動く人間が担当する業務が多くなり、パンクする場合があります。

地域の重鎮みたいな人が商工会(商工会議所)や観光協会には必ず居ますが、口出しだけしてなにも動かないので気にし始めた時点で心が折れます。

-責任逃れが多い問題

誰も責任を取りません。なぁなぁにします。口先だけ重鎮は実働者に責任を押し付けます。

ぼく、時折、地方自治体のIT勉強会に講師として呼ばれて、超初心者向けのネット発信のセミナーやるんですけど、一度、びっくりしたことがありました。

後日、セミナー主催者から聞いたんですが、重鎮から「自分たちに分かるように説明できなかった講師が悪い」って言われたそうです。自分たちの能力を向上させようと思っている若手と、そうでない重鎮の差が激しいんですよね。そのような人たちが上層部に居続ける組織は早いうちに滅びればいいと思いますが、税金が自動的に配分される仕組みだとそうではないのかもしれません。


と、まぁ、愚痴っぽくなっちゃいましたが、全部の地域がこんな状況かと言うとそうではありませんし、意欲の強い団体と一緒になって活動することは良い経験になると思います。

口約束の失敗

これは完全に僕が迂闊と言うか、悲しいかな性善説だけでは食っていけないということです。「みんながWin-Winになればいい」とか言っている人ほど怪しいもんです(偏見)。

-契約書つくろう問題

面倒臭がらずに契約書を交わしましょう。一度、テンプレートを作っておけば、社名や金額を変更すれば何回でも使い回せます。

「あの人の紹介だから」とか、「知名度の高い企業だから」とか、そんな思い込みは捨てましょう。

と、2年前の僕に言いたい…。

-あとで仕事回すから問題

ボランティアで手伝ったり、予算が少ないプロジェクトに関わったりするときによく発生します。あとの仕事に期待して、現在の報酬を度外視することはやめましょう。

「あ と で し ご と は ま わ っ て こ な い !」

と、2年前の僕に言いたい…。


まぁ、口約束で発生した損害(というか支払われなかった報酬)額は、いろんな事を合わせても100万円程度なのでそんなに大きなダメージではないんですが、友人を巻き込んでいる場合は別の意味でちょっとつらかったですね。

友人のキャリアに厚みが出ると思ったからプロジェクトメンバーに入ってもらったのに、メリットを提供できなかったのは信頼関係を損なう可能性があるので。その程度のトラブルで崩れてしまう信頼関係ならそれまでなんですけど。

出版プロデューサーの失敗

まだ実働1年程度ですが、ぼちぼち失敗経験が溜まってきています。何か行動すれば失敗は当然のように発生するんですが、僕のパターンとして最初に結構凹むトラブルが出るんですよね。


出版プロデューサーとしての活動を開始して、最初の企画の話です。接客業をやりながら、ブログやSNSを活用して集客し、さらに集客方法を講演などで教えている、多方面で活躍されている人の話を書籍にしようと考えました。実際にお会いしたのは2~3回なのですが、SNSで頻繁に発信しているので考え方や生活スタイルはわかっていました(わかっていると思っていました)。

書いているブログ記事は接客業に就いている人たちに支持され、コンスタントに話題になっていました。接客スタイルは独特で、時々、マスコミにも取り上げられていました。その集客・接客メソッド&ネット活用術を書籍にしたいと思い執筆の打診をしました。


出版社の企画会議も一発で通過し、ブログ記事をベースに僕がリライトをしていきました。メソッドについては9割以上完成し、あとは導入部(第一章)の「最悪だった時代から集客できる店に変わるまでの葛藤と努力などのストーリー部分」、そして「あとがき」だけ残った状態になりました。ストーリーとあとがきは、本人にしか書けないと思ったからです。僕がインタビューして書いた原稿とはリアリティが違うはずなんです。

でもどれだけ待ってもその原稿が上がってくることはありませんでした。僕や編集者が連絡をしても、全く反応がない状況が1~2ヶ月続きました。


できてないならできてない、時間がないなら時間がないという連絡さえ貰えれば僕はあまり気にしないタイプなのですが、既読スルーというのはさすがにビジネス的にも人間性にも不信感を増幅させます。ですから、僕からプロジェクトの中止を伝えました。

先方の弁明としては、「本業の方でトラブルが続発して、なおかつ人手も足りなくて自分が現場で朝から晩まで働いてて、文章を書ける状況ではない。そしてこの状態で本を出したりしたら、もっとクレームが増えてしまう」という返答でした。


気持ちはわかります、気持ちはわかるんですが、要は「出版する!」という覚悟のできてない人に執筆の依頼をしてしまったのが僕の最大のミスだったんです。

SNSやブログでは強いキャラクターだったので僕も見誤っていました。この最初の挫折から、出版企画を動かす時は「やりきれる人かどうか」という点を最重要視することにしました。おかげさまで、これ以降は企画が通った書籍は全部出版までこぎつけています。


この失敗、振り返ると僕のスケベ心が大いにあって、もちろんメソッドを伝えたいという気持ちもあったんですが、それよりも「売れるだろう」という願望の方が強かったのかもしれません。

例えば

・ブログやSNSで発信力があり、所属しているコミュニティにも影響力あるから一定数(数万部)の売上が見込める
・時々、マスコミにも取り上げられている
・書籍のタイトル(仮)が刺激的で目立つ
・すでにブログ記事が大量にあるので、書籍に合わせて再編集するだけで出版が見込める

と言った我欲が前面に出過ぎてたのと、初プロデュースだから絶対に成功させたいという焦りがあったんでしょうね。一度、頓挫を経験しておくと、「最悪、手間が無駄になっただけだからいいや」と、簡単に方針転換もできますし、著者に過度のプレッシャーを与えることも無くなります。

なので、もし僕と出版の仕事を一緒にすることになったら、適度なプレッシャーが常々かかってくるということだけご認識ください。

染谷の考える一番の失敗

ようやくまとめだ…。

ここまでつらつらと10,000字以上失敗経験を掘り起こしてきましたが、最初にも書いたとおり、失敗って単なるうまくいかなかった経験で、それを糧にできるか癒えない傷にするのかって、本人のその後次第なんですよね。


でも敢えて、僕が考える失敗を一つだけ挙げておきます。それは、「同じ場所に居続けること」です。失敗のない、安全な世界の居心地は良いでしょう。でも世の中は常に変化しています。

その変化に気付かないふりして安穏と過ごし、身動きが取れなくなってから慌てても遅いんです。変化に対応するために、予測力と柔軟性と対応できるスキルを身につけておくことが、これからの時代を楽しく生きていくために必要な要素です。


これで本編は終わるのですが、最後に5年前に発売された魔書「ブログ飯」のあとがきに書いたことを転載して終わりたいと思います。


●変化を楽しむ

 世の中は変化するものです。自分はもうついていけないと、変化に抗うのもいいでしょう。変化を無視するのもいいでしょう。無理してついていかずとも、暮らしに困ることはありません。しかし、私の考えは違います。

 それを認めた上で、その変化にどのように関わっていけばいいかを考えた方が、より楽しく暮らしていけるのではないか。そう思うのです。近年、本当にいろいろな変化のスピードが加速しています。電話線につないで通信を行うダイヤルアップの時代が1998年ごろでした。それが、デジタル回線のISDNを経て、ADSLやケーブルテレビなどのブロードバンドが浸透したかと思うと、すぐに光回線が主流となっています。この間、たった10年程度です。

10年前は何十万円としていたパソコンが、メーカー同士の開発、価格競争によって、今ではたった数万円で高スペックの機種を購入することができます。つい数年前までは、専門的な知識を持ったウェブデザイナーしか作成できなかったようなウェブサイトだって、技術革新によって、私のような素人でもある程度のレベルのウェブサイトやブログを作ることができるようになっています。

 いま挙げた事例は、あくまでも一部です。世間ではこれだけの変化が起きているのに、あなたの環境だけ変化しないわけがありません。会社員だって変化は実感できるはずです。組織変更、部署の異動、給与の変動など、なんとなく見過ごしているだけで、日々、様々な変化が発生しているはずです。ただ、変化は意識しないとなかなか気付かないものです。変化に気付かないまま(あるいは気付かないふりをしながら)毎日を過ごしているうちに、いつの間にか身動きが取れなくなっていた……、なんて話はよく聞きます。そんな段階になって対応しようとするならば、とてつもないエネルギーが必要となるでしょう。

 だからこそ、今のうちから、変化に対応できるような、そして自分に合ったライフスタイルを見つけ出すことが大切なのです。そのために、自分の「能力値」を向上させ続けなければいけません。「能力値」というと大仰に聞こえますが、要は普段から知識や経験を蓄えておく、ということ。これによって視野を広げておくことが大事です。

 この積み重ねが、ブログを作った際に、「集客できる」、「自分でお金を稼げる」という力につながるのです。この2つの力を持つことで、人生の選択肢が増えるのです。選択の機会は、買い物、食事、旅行先、仕事選び、住む場所などなど、日々色々なタイミングで発生しています。この選択の幅を広げることができれば、ちょっとした変化にも対応できるようになります。

 変化に対応し続けるというのは、正直にいって大変です。でも、どうせ変化せざるを得ないのであれば、嫌々対応するよりも、先手を打って「次はどんなことが起きるのかな?」と、楽しみながら受け入れられるような思考回路であるほうが、前向きだと思います。人間は変化が止まった時点で成長が終わります。

 たとえ小さくても、何か一つチャレンジしてみるだけで、必ずあなたの内面に変化は生まれます。今日よりも明日、明日よりも明後日と、小さな積み重ねを続けることで、一年後にはとても大きな変化になるはずです。自分にはできないと思わず、自らの足で一歩一歩変化を起こしてみてください。結果として、安定して生きていける能力を身に付けることができるでしょう。

5年前の文章、すごいヘタクソだ…、当時はドヤ顔で書いてたんだろうな…、書き直したい…。

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