知らない街となかよくなる方法。

大阪とは少し、距離があった。

誇張されたキャラクターでテレビに映るいわゆる関西人のイメージにうまく馴染めなかったし、出張で大阪に行っても夜の街のあんちゃん達が怖くて散歩も出来なかった。

もちろん、好きな場所もある。リーガロイヤルホテルのリーチバーや、グラフは、とても素敵な場所だ。とはいえ、大阪が親近感がある土地かというと、やはりそうではなかった。

昨日の夜から今日の夕方にかけて、仕事の用事で大阪にいた。今回、あるプロジェクトを通じて、何人かの建築家の方に話を聞くなかの一人として、大阪が拠点の建築事務所の方にお時間をいただいた。

話をしていくにつれ、アイデアがむくむくと湧いてきて、わ、それ今すぐやりましょう!みたいなテンションになってくる。話を聞いてくれる感覚と、もっと聞きたいという感覚がちょうどいいバランスのときに、話は弾む。

言葉だけじゃなく行動が伴っていた。事務所の近くにある彼らが手がけた建築を見たけれど、思考の跡やアイデアが詰まっていて、そこに居て力が湧いた。言葉だけならなんとでも言えるけれど、手がけた仕事とお話の印象に違いがないということに信頼を感じる。

その方と別れて少しして、ふと気づいた。あれ、大阪にいる不安がなくなった気がするぞ。今まで心理的な距離があった街に、ひとり信頼のおける人がいると感じただけで、その土地は身近になる。

慣れない電車の乗り方も新しい体験になる。公園の露店のたこ焼きがやけにおいしく感じられる。大阪城の天守閣は青空にきれいに映えている。外国人観光客にもウェルカム・トゥー・ジャパンの心持ちだ。

それぞれの街に、誰かの顔が浮かぶこと。秋田なら、コーヒーが好きで字がきれいなあの子。宮崎なら、同じ会社で働いていた目がきれいなあいつ。長野なら、ランニングが趣味で大きな声で笑うともだち。少しずつ、全国各地で顔が浮かぶ人が増えてきた。

コミュニティとかご縁という切り口で正面から語るのはあまり得意ではないし、それだけをキーに近づいてくる人はなるべく避けるようにしている。

だけど、顔が浮かぶ、だったらいいなぁ。今日、大阪だったらこの人の顔が浮かぶ、という人に出会えてこの地が随分近づいた。出会った人によってその土地がとたんに魅力的になるのであれば、自分もなるべくそうなれるようになりたいなと思った。

だからと言って、いろんなことを怠けて「結局は人だから」と軽々しく言うことはせず、やることをやったうえで「いろいろあるけど、最後は人だよね」と言いたい。えーとこれは、仕事のスタンスの話。

いやあ、それにしても、大阪のたこ焼きはやっぱりおいしかったなあ。あのおばちゃんがたまたま当たりだったのかなぁ、どうなんだろう。また食べたい。

#日記 #エッセイ





この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

わあ!ありがとうございます。うれしい!
1

染谷拓郎

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。