11月10日読書会サロン「上級国民/下級国民」橘玲著

こんにちは、そもんずです。

今回は、「上級国民/下級国民」橘玲著をとりあげたいと思います。

<要約>
現代の社会変化は「知識社会化・リベラル化・グローバル化」という巨大な潮流のなかにいることによって起こっており、知識社会では、ひとびとは教育、知能によって「上級国民」「下級国民 」に分断される。

【上級国民と下級国民の定義】-------------
■上級国民
1)法律を決める側、もしくはそれに準じた地位ないし利権関係にある政治家、官僚、レントシーカーやロビイスト、経団連や民間議員、それに連なるエリート層の社員etc……
2)確固たる社会的地位を持ち、生活不安のない人々
3)低所得層の低所得を「自己責任」と考える人々
■下級国民
1)国家権力などの決定に参加できない、被支配層
2)社会的地位は不安定で、生活不安も抱えている人々
3)低所得であることに、ある種の諦めや諦観を抱く人々。故に高所得層に対して、ルサンチマン多い
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平成の日本の労働市場では、若者(とくに男性)の雇用を破壊することで中高年(団塊の世代・正社員)の雇用が守られた。そして膨大な数のひきこもりが生み出されている。

・平成の時代、GDP成長率は急落。
経済低迷の理由は、日本市場に魅力がないから。

・日本経済の問題はITへの投資額が少ないことではなく、投資の成果が出ないこと。
ー日本のサラリーマンは世界で最も会社を憎んでおり、長時間労働しているにも関わらず生産性も低い。
ー開業率も低く、外資は参入しようとせず、生産性の高い 大企業は海外へ出ていってしまった。

・平成が「団塊の世代の雇用(正社員の既得権)を守る」ための 30 年だったとするならば、令和の前半は「団塊の世代の年金を守る」ための 20 年になる。
ー大きな影響力をもつ「団塊の世代」を批判することや、既得権益を破壊することは困難。
ー団塊の世代が引退してようやく「働き方改革」が可能となった。

・新卒一括採用、終身雇用は継続困難

・上昇する社会福祉費用を捻出するため、政府が対処療法を繰り返すとすると、「下級国民があふれるより貧乏くさい社会」または「失敗し、多くの日本人が難民化する国家破綻の世界」となるだろう。

・ 社会格差が広がっている。
上流、下流を分けるものは「学歴格差」。
・非大卒より大卒
・男性より女性
・壮年より若年
の方が基本的にポジティブ感情が高い。

・日本における「下流」の大半は、 軽学歴層。
「教育」は社会を分断する「格差拡大装置」でもある。

・「モテ」と「非モテ」の分断
男性は「持てる(高い階級に達する)」ことと、女性に「モテる」ことが一致し、一部の稼げる男性が複数の女性と結婚する「事実上の一夫多妻」。
非モテ男性は性愛から排除される。

・女性は男性と評価基準が異なり、若さが期限つきの付加価値となる。

・ 現代は「豊かさが爆発」した時代であり、自分で自分の人生を選択することとなった。個人の自由意思で選択する「リスク社会」では、個人の 責任は増大し、負け組が出ることは避けられない。

・社会がリベラルになればなるほど、何歳になっても働いて納税したり、リタイアしてからも健康の許すかぎり地域のボランティアに参加するなど、「自分はこうやって社会に貢献している」とアピールしなければならない。

・グローバル化により世界全体の不平等は縮小しているが、先進国の中間層は崩壊した。格差は拡大し、クリエイティブクラスの収入は大きく増えた。

・(オランダでは)生活保護の受給者は、職業紹介所から斡旋された仕事が「一般的に受け入れられている労働」であるかぎり、これを拒むことができない

・ポピュリズムとは「下級国民による知識社会への抵抗運動」 

・「エニウェア族(新上流階級)」=「リバタニア」
「サムウェア族(新下級階級)」=「ドメスティックス」
世界のあらゆる場所でアイデンティティが不安定化し、憎悪がぶつかり合っている。

・残された希望は「テクノロジーによる設計主義」だけではないか

・貧しいひとびとの「経済合理的」な行動によって、裕福な国のベーシックインカムは確実に破綻する

・お金は分配できるが、「性愛」は分配できない。

・現代社会の現象の根元には、産業革命から始まった「知識社会化(=知能の格差)」がある。
人工知能が人間の知能を超えるシンギュラリティは2045年とされており、知識社会を終える可能性もある。

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