見出し画像

「突き抜けたいなら〇〇に喧嘩を売りなさい」シンガーソングライター瀬戸山智之助さん

昨年、京都で行われたワンマンライブでは500人のファンが集い、大成功を収めた瀬戸山さん。しかし、成功の裏には大きな挫折がありました。この経験から得た、突き抜ける方法とは。その意外な方法を伺いました。

■瀬戸山智之助(せとやま とものすけ)さんプロフィール
出身地:大阪府
活動地域︰関西・名古屋・東京
職業:シンガーソングライター。
人柄の滲み出た言葉を、そっと語りかけるように渡してゆく。
その言葉や声は、温もり、喜び、時に寂しさや痛みとして聴く人の心に触れ、最後は穏やかな気持ちにする。
経歴︰
これまでに数々のコンテストで受賞し、2017年4月に京セラドームにて行われたオリックス×ロッテ公式戦の国歌独唱を務める。同年12月、楽曲「Silence」が関西テレビ「音エモン」の12月度エンディングテーマに決定。
2018年6月、京都府民ホールALTIにて500人コンサートSOLDOUT。
そして2019年2月よりFM OH!のラジオ番組「五十嵐はるみのソー・ナイス」でサブパーソナリティとして出演中。

座右の銘:失敗してもいい勇気と、でも失敗させない覚悟

記者 よろしくお願いします。

瀬戸山智之助さん(以下、瀬戸山) はい、よろしくお願いします。

「大成功の裏に隠された大きな挫折とは」

記者 まずは、500人ワンマンライブの成功おめでとうございます。

瀬戸山 ありがとうございます!

記者 私も拝見しましたが、バンドに弾き語り、アカペラなど様々な演奏を楽しませていただきましたし、ファンへの“プロポーズ大作戦”というサプライズもあって、とても感動するライブでした。瀬戸山さんが500人規模のワンマンライブを成功させられるまでのお話をお聞かせいただけますか?

瀬戸山 僕がここまで来れたのは、一度大きな挫折を経験しているからだと思います。
実は、約8年前に僕のプロデューサーが、突然亡くなったのです。僕にとって、音楽の育て親のような、とても大きな存在でした。

記者 育て親のような方が亡くなられた、というのは大変ショックでしたでしょうね。プロデューサーとはどんな役割の方ですか?

瀬戸山 プロデューサーとは、アーティストの才能を見出して、作品の制作に方向性を与える人です。彼は、僕の楽曲に可能性を感じてくれて、「絶対にメジャーへ連れていく」と言ってくれていました。音楽だけでなく、「人として」の大切なことも沢山教えてくれた、本当に、親のような存在でした。

記者 そうでしたか、そんなに信頼されていた方が亡くなられたというのは、とても辛かったでしょうね。

瀬戸山 はい。亡くなったのは、音楽のやり方や方向性などを、全てプロデューサーと相談していた、そんな矢先のことでした。訃報の連絡を受けた時は、僕は友人と食事中でしたので、あまりに突然のことで頭の中が真っ白になり、膝から崩れ落ちて動けませんでした。その後も空っぽのまま、ただただ時間だけが過ぎていきました。

そんな中でもライブ活動は続いていきます。次第に「どうにかして瀬戸山智之助を続けていかなければ」と思い、葛藤の日々が始まりました。

記者 そうだったんですね。音楽を辞めようとは思わなかったのですか?

瀬戸山 音楽を辞めようとは思わなかったです。辞めようという選択肢すら思いつかなかった。音楽が好きだという原動力は変わらなかったし、”一人じゃ動けない自分”を悔しいとも思った。それに、プロデューサーの思いも消したくない。だから、自分の力でやっていく術を探し始めました。

「一旦自分というものを疑いつくすところから始まる」

瀬戸山 とにかく「瀬戸山智之助」のアイデンティティをもう一度作り直さないといけませんでした。今まで親のような存在のプロデューサーに頼り切っていた僕は、プロデューサーにとっての正解が僕にとっての正解になっていたのです。そんな自分に疑問を感じても見て見ぬふりをして。プロデューサーに頼っていた方が楽だったのだと思います。

記者 どうして楽だったのでしょうか?

瀬戸山 自分で考えなくて良いからです。正解が分からないものに頭を悩ませることはエネルギーが必要なので。ただただ甘えていたんですね。

自分の意志でちゃんと歩かなければ。そう決めて、改めて「確固たる自分というものがない」ことを目の当たりにしました。

記者 なるほど。自分が空っぽだったことに気づいたときはどんなお気持ちでしたか?

瀬戸山 自己嫌悪でしたね。悲しかったし、恥ずかしかった。恥ずかしかったというのは、何も無いくせにそれでも人から賞賛を得ようとしていたことです。

良い歌を歌うと言われたかったし、ミュージシャンとして認めてもらいたかった。本来の自分の力でなくても、です。それと同時に、「こんな自分じゃ嫌だ」という気持ちが大きくなり、「僕自身がどうしたいのか?」を自問自答する毎日が始まりました。

「衝撃的な出会い」

瀬戸山 そんな中、竹原ピストルさんという方のライブで前座を務めた時に、僕の中で革命が起きたんです。
彼のライブを見て、僕は初めて胸倉をつかまれたような気持ちになりました。「お前、なめんなよ。音楽も人生も」って。ライブを見ているだけで、そう言われた気がしたんですよ。

ギター1本の弾き語りで、高価な機材を使うでもなく、着飾るでもなく、究極まで自分じゃないものを除いた状態で、驚くほどの感動がそこにありました。裸でギターを持っているようなイメージです。まさに芸術だと思ったんです。でも僕にはそれが到底出来ていない。その悔しさと自分への怒りがエネルギーとなり、2ndアルバム「BLUE」を作りました。

そして、2ndアルバムを持って、あらゆるところへ歌いに行きました。次第に「皆と同じことをしていてはダメだ。自分の道を作っていかないと」と思うようになり、その道を模索していたところ、偶然にも会社員として歌を歌うお仕事をいただけたのです。

記者 会社員ですか。どんなお仕事なんでしょうか?

瀬戸山 会員制のクラブハウスで、来てくださったお客様に向けて歌を歌うお仕事です。レストランのウェイターや披露宴のスタッフなどもしながら、お客様とコミュニケーションを取りつつ最後に歌を披露するんです。

そこでとても鍛えられました。それこそ歌のためにお客様が来られているわけではないので、どうしたら歌を受け取ってもらえるのか、試行錯誤を繰り返した2年間でした。最初の頃は歌をお断りされることや、拍手ひとつ頂けないこともありましたが、だんだんと、食事だけでなく「歌ももう一度聴きたい」と言ってくださるリピーターが増えました。そこで「生で感動させる」感覚を知ることができました。

(クラブハウスで歌う瀬戸山さん)

その2年間で得たスキルを、退社後の活動にも活かすことができたのです。退社後は、飲食店など様々な場所に「歌を歌わせてください」とお願いして、多い日で1日4~5件歌いました。その結果、500人コンサートに到達することができました。

記者 すごいですね!その地道な努力がコンサートの動員に繋がった訳ですね。

「そのままで良い、変わらなくて良い、は危険」

瀬戸山 前から思ってたんですど、本や歌詞で「そのままで良い」とか「変わらなくて良い」というのをよく見かけるんです。でもあれは危険だと思っていて。変わらなくちゃいけないこともあるはずなんです。

記者 確かに、私もよく聞きます。何故危険なのでしょう?

瀬戸山 上手くいっていなくてもこれで良いのかと甘えを助長してしまい、自分で思考することを停止してしまう人がいると思うんです。

記者 なるほど。自分で思考するのをやめてしまうと、どんな風に危険なんでしょうか?

瀬戸山 それこそ冒頭でお話しした、プロデューサーへの僕の甘えが一つの例です。自分で思考するのをやめると、他力本願になったり、向上心がなくなったり、本当は「こうなりたい」など内に秘めたものがあったとしても、楽な方を選択する恐れがあります。
周りがどう言おうが、「本当に、これでいいの?」という思考を持ち続けて欲しいです。

記者 なるほど。本当にそうなのか?と疑うことが大切ですね。

最近はAIがブームになってきていますが、AI時代に求められるニーズは何だと思いますか

瀬戸山 個人の能力が大事だなと思います。個性が大事ですね。

記者 個性とは、例えばどんなものですか?

瀬戸山 その人にしか作れない味、匂い、スタイルなどですね。僕が大切にしていることは「瀬戸山智之助が歌う歌でしか味わえないもの」です。そしてそれはこれからも探し続けていくと思います。

記者 なるほど!瀬戸山さんが歌う歌でしか味わえないものですね。とても興味があります!

では、瀬戸山さんはこれからどんな美しい世界を作っていきたいですか?

瀬戸山 世界を作るという大それたイメージはないのですが、僕の音楽を聴いて誰かの中に広がるものを小さくとも「世界」だと例えるなら、雨のような美しで在りたいなと思っています。降ってほしい時もあれば、降ってほしくない時もあるし、でも雨はそんなことを知る由もなく、どこでだって、いつの時代にだって、誰にとってもただただ雨なんですよね。メッセージソングも大好きですが、いずれ辿り着きたいのは、そんな雨のような透明の音楽の世界です。伝わるかな~(笑)

記者 透明な音楽の世界ですか…これは、ぜひ瀬戸山さんの音楽に触れて体感するしかありませんね!

では最後に、読者の方へメッセージをお願いします!

瀬戸山 個々に様々な表現を世に出すことができるようになった時代の中で、若い世代にだけでなく、大人も感動できる作品にぜひ出会いたいです。

Youtuberの動画を僕も色々と拝見していますが、企画として面白いものがたくさんある反面、感動したことはまだありません。当然簡単なことではないとわかった上で、でも世代を越えて心を震わす作品に出会えることを期待しています。


「思いきりやって、痛い目を見てください」


瀬戸山 深く太く大きい人間になっていくためには、痛い目を見るのが一番効果的だと思います。思いきりやってみること。そして思い知ること。失敗したのなら、失敗を認めること。

そのために「目上の人に喧嘩を売りなさい」、同レベルでやっていても大した栄養にはならないからです。

目上の人に挑むことが近道だと、僕は思います。臆してしまうくらいの大きなものに挑んで、コテンパンにやられることも勉強、通ることも勉強。そうしていく中で、自分の現在地を知り、そしてその繰り返しの延長線上に「すごい自分」が待っているのではないかと思います。


記者 上司や目上の人に挑む事で、自分の現在地が分かるという訳ですね、なるほど!ちょっと怖いけれど、私もチャレンジしてみようと思いました。瀬戸山さん、本日は貴重なお話をありがとうございました!

✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼

瀬戸山智之助さんの詳しい情報はこちら
HP︰https://www.setoyamatomonosuke.com
ミュージックビデオ︰「Silence」https://youtu.be/VBJIalbmDwo

【編集後記】

インタビューの記者を担当した、西脇と大村です。
その笑顔からは想像出来ないような、壮大なビジョンと現代の問題意識に、お話を伺って驚きを隠せませんでした。
瀬戸山さんの益々のご活躍をを応援しています!

この記事はリライズ・ニュースマガジン“美しい時代を創る人達”にも掲載されています。
https://note.mu/19960301/m/m891c62a08b36

この記事が良いな!と思ったら、ぜひサポートして頂けると、とっても励みになります♪ぜひともよろしくお願いします♡