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映画やドラマ・小説などから影響を受け作られる“インスパイアソング”を深掘り!

J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。番組では、毎回ゲストを迎え、様々なテーマを掘り下げていく。

■インスパイアソングを世に定着させた『勿忘』

映画やドラマ、小説などから影響を受け作られるインスパイアソング。最近よく耳にするこの言葉だが、劇中歌やアンサーソングなどとは何が違うのか?
2月6日(月)のオンエアでは、ゲストには、作詞家の昆真由美さんを迎えて そんなインスパイアソングについて深堀りした。

あっこゴリラ:まず、このインスパイアソングの定義について教えて下さい。
昆:そもそもインスパイアとは、「影響を受ける」「刺激を受ける」などの意味があります。なので、インスパイアソングとは、直訳すると「作品に影響を受けて作られた曲」ということになります。
映画やドラマのオープニング曲やエンディング曲、劇中歌などは、作品の公開前にその作品の一部として楽曲が作られるので、基本的には作品の公開と同時に発表されます。
しかし、インスパイアソングは作品に影響を受けたところから楽曲作りがはじまるため、作品の完成後に発表されることもあるのが特徴です。
また、オープニング曲やエンディング曲のように作品の中でインスパイアソングが流れることはないというのも特徴ですね。
あっこゴリラ:なるほど~。そもそもこの「インスパイアソング」という言葉は、いつ頃から定着したんですか?
昆:「インスパイアソング」という言葉が聞かれるようになったのは、2021年くらいからだと思います。その代表的なのが、Awesome City Clubの『勿忘(わすれな)』です。
あっこゴリラ:そうそう! そこで初めて聞いた印象があります。
昆:私も“インスパイアソングって聞いたことないけど何だろう”って思って(笑)。そこからどんどん聞くようになりましたね。
あっこゴリラ:インスパイアソングってわざわざ言わなくても、そんなのみんなインスパイアソングだと思うんだけど……あははは!
昆:みんな何かしらにインスパイアされてますもんね(笑)。
あっこゴリラ:でもこれって、チャンスが広がったんじゃないかなって思いますね。
昆:そうですね。主題歌みたいに1曲だけではなく、インスパイアソングなら複数作れますし、自分なりにインスパイアされた部分で作れたりするので広がりがあっておもしろいですよね。
あっこゴリラ:他に代表的なインスパイアソングってありますか?
昆:代表的なのは、映画『そして、バトンが渡された』のインスパイアソング、SHE'Sの『Chained』です。これはインスパイアソングを募集して選ばれた楽曲です。
あっこゴリラ:この募集って、ウィンウィンですよね。映画サイドも、曲を出す側も。観る側も映画の解釈の幅が広がって楽しいだろうし。
昆:そうですね。なので、この映画が公開された2021年後半には、もう「インスパイアソング」っていう言葉は定着していたのかなと思います。2022年もどんどん出てきていますね。

ここで、インスパイアソングを世に定着させた『勿忘』を手掛けたAwesome City Clubのatagiからのコメントを紹介した。

atagi:この曲を作るきっかけは、映画『花束みたいな恋をした』を観た後のモヤモヤがハンパなくて。読後感と似たような感じで、観終わった後のしこりとか奥底にある燃える感情みたいのがすごくて、辛抱できなくなって曲にして成仏させないとみたいな気持ちで曲を書き始めました。
結果的にたまたまなんですけど、そういったものを形にしたら、よりエモーショナルなものが出来て、それがこれから作品を見る人にとっての導線になったっていう、偶然から始まった奇跡みたいな話です。

Atagiにとって、インスパイアソングとはどんなものなのか。

atagi:インスパイアソングって、必ずしも作品と準ずるものではなくて自分の中や視聴者の方の中に残る何かっていうものを形にする作業だったのかなと個人的には思っています。
インスパイアソングに挑戦したことによって、自分の中の大事にしている音楽とか追求したい音楽みたいなものの一個外側に世界を間近に見ることができたのがすごくいいことだったと思います。
僕はわりと自分本位に曲を作ることが好きなので、自分の曲に社会性を持たせるみたいな意味合いでは、インスパイアソングってみんなが持っている作品に対する愛情を自分が再解釈しなきゃいけないとか、社会的なコミュニケーションみたいな、言葉じゃないコミュニケーションが必要になってきて、それが自分にとってすごく大事な経験だったなと思っています。

■応募の中から選ばれたインスパイアソング『Chained』

続いて、映画『そして、バトンは渡された』のインスパイアソング『Chained』を手掛けた、SHE'Sの井上竜馬からのコメントを紹介した。

井上:手掛けることになったのは、レコード会社が行った応募の中から選ばれたのがきっかけでした。もともと原作の小説を読んでいたんですが、実際は出来上がった映画を先に観させていただいて、さらにそこからもともとの歌詞を細かく詰めていく作業をしました。
当時はインスパイアソングってよく分かっていなかったので、とにかく“俺たちが主題歌だ! ”くらいの気持ちで書こうと思いました。

そんな井上がいつも意識していることは、「ただただ寄り添った曲というよりかは、自分の人生観や自分の物語とクロスさせること」だという。インスパイアソング『Chained』は、井上にとってどのような楽曲なのか。

井上:特に作りにくいなってこともなくて、もともと原作も好きだったのですごく作りやすかったし、あまりにも映画が良過ぎてすごく感情移入できたので苦労しませんでしたね。制作側の方も優しくて、好きなようにやってSHE'Sらしさを出してくださいと言ってくれたので、伸び伸びと書くことができました。
改めて、インスパイアソングという形ではありましたが、やってみて映画の主題歌っていうのは個人的には自分たちに合っているなってすごく思いました。これからも機会をいただけるのであれば、またやってみたいと心から思える作品でした。

■インスパイアソングの最近の傾向

最近では、映画やドラマなどの映像作品以外からもインスパイアソングが作られているというが、インスパイアソングの最近の傾向はどのような感じなのだろうか。

昆:最近は映像以外でも、漫画やイラスト、美術展などを元に作られるインスパイアソングもけっこう出てきています。映画だけはなくなっているっていうのが最近の流れかなと。
あっこゴリラ:へえ~! 楽しい!
昆:おもしろいなと思ったのが、Netflixのドラマ『First Love 初恋』なんですけど、宇多田ヒカルさんの『First Love』からインスパイアされた作品なんです。このように「インスパイアソング」から派生して、逆に曲から映像作品が生まれ、ヒットしているものもあります。
あっこゴリラ:いろんな方向にインスパイアされ合いながら広がってる感じがしてみんなハッピーでいいですね。
そんな昆さんおすすめの最近のインスパイアソングはありますか?
昆:1 PICTURE 1 STORYの『アンリアルサイド (feat. すこっぷ / 佐藤ノア)』です。
あっこゴリラ:どんな作品からインスパイアされているのですか?
昆:ファッション雑誌『bis』の連載企画でイラストレーターが描く1枚のイラストをもとに、別のクリエイターがストーリーを作り、さらにその世界観からインスピレーションを受けた音楽をインスパイアソングとして制作するという、イラストとストーリーと音楽で表現されたエンターテインメントコンテンツです。
ちなみにこの曲は、BiSHのモモコグミカンパニーが物語を手掛けています。

あっこゴリラ:もう一曲、おすすめのインスパイアソングを教えて下さい。
昆:ミセカイの『Ever』というナンバーです。
あっこゴリラ:どんな作品からインスパイアされているのですか?
昆:ミセカイは、「ビジュアルからインスパイアされた曲を作る」をコンセプトに活動している男女混声ユニットなんですが、この曲はMocha(モカ)さんのイラストにインスパイアされて作られた楽曲となっています。

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【番組情報】81.3FM J-WAVE『SONAR MUSIC』
放送日時:月・火・水・木曜 22時-24時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarmusic/

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