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フリーマーケットで出会ったステキな物と人(非売品)

10年ぶりにフリーマーケットに出店。

会場は丸の内にある国際フォーラムの広場。
ハーフサイズのブースで地べたに売り物を広げる私たちのようなアマチュア出店は少数派で、テントや陳列台を使うプロ出店の方が多かった。

銀座と皇居に挟まれている立地のためか、お客さんは外国人観光客が半分くらい。夫実家の陶器や木彫りの熊、犬張子、桜樹皮の茶筒などいかにも日本的な物は順調に売れていったが、フリマプライスにつき売り上げは大したことなかった。
不用品の整理が目的なので、出店参加費と交通費が回収できればいいやと、欲は出さずもうけは二の次。

フリマの楽しみは、お客さんとのやり取りや通る人たちを眺めること。
こういう場所に来る人は古着や個性的なファッションが多いので、一緒にいた娘と二人、店番をしつつファッションウォッチを楽しんでいた。

銀鼠格子の地味な着物に芥子色の帯、ほっそりとした初老の女性が前を通り過ぎ、あぁ、いい色合わせだなと思った。斜向かいのブースで立ち止まってこちらに背を向けた瞬間、目が釘付けに。
帯の柄が、遊園地のジェットコースター?
斬新。す…素敵すぎる!
娘と目を合わせ互いの腕を掴んで「見た?」「見た!」と大興奮。
「あの、あの、すっごく素敵な帯ですね!」と思わず声を掛けた。
こちらに気づいてニコニコ近づき、よーく見せてくれた。
「嬉しい。これ刺繍してもらったの」
「写真撮らせて頂いてもいいですか?」
「どうぞどうぞ〜。よかった、この帯してきて」

写真撮らせてもらったものの、その時はnoteにこの件を書くとか考えが及んでいなかったので、その方に写真掲載の許可はとらなかった。
なので、私の拙い絵で再現を試みる。

実物はもっとずっと繊細で素敵

うまく描けなかったが、ウサギとクマの後ろのトロッコにはリボンのかかったプレゼントの箱が積んであり、そのうち一つがこぼれ落ちている。
前側には観覧車。
地味な着物に絵本のような帯のギャップがたまらない〜!

「いや〜、いいもの見せてもらったねー」
「ねー」
「あれ見られただけでも今日ここに来た甲斐あったよ」
と娘と語り合った。

この話にはまだ続きがある。その後、その方がドーナツの箱を手に戻ってきて、
「これ、どうぞ召し上がって。たくさん褒めて頂いたお礼」と差し入れしてくれたのだ。
なんていい人!

娘、喜ぶ。私も感激。

ドーナツ2人では食べきれないので、右隣りのおばあさんにもお裾分け。
この方もハーフサイズブースで地べた出店。
着物のはぎれで手作りしたポーチを一つ300円二つで500円という格安価格で販売していて、飛ぶように売れていた。
和小物製作の教室をやっていて、はぎれも製作物もどんどんたまっていくので、たまにフリマに出品して整理しているそう。
売り物が残り少なくなると、一つ200円二つで300円に潔く値下げして終了2時間前には完売。
スマートな、美しい売り方だった。

「おじいさんが家で待っているのでお先に失礼致しますね。お菓子どうもごちそうさまでした」
と丁寧にご挨拶され、ディスプレイにしていた布で作った唐辛子の吊るし飾りを私たちにくれて、颯爽と帰っていかれた。最後までスマート。
見習いたい。

売り買いとは別のところでも色々楽しかった一日。

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