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さよなら、岩波ホール

 最後の上映『歩いて見た世界』を観に閉館迫る岩波ホールへ。
壁にはこれまで上映された作品のポスター。

1974年からのがずーっと

ここで初めて観たのは『アメリカの叔父さん』。シネフィルではないのでそんなに頻繁に行ってはいないけれど、ポスターを見てああ、これもここで観たんだっけと色々蘇った。

浄瑠璃の曽根崎心中

ひたすら暗い映画で、一緒に観た誰かさんのイビキがうるさかった。
岩波ホールの観客は白髪率高めでイビキかく人が多いという印象。それだけ地味で静謐な作品を選んで上映しているということなのだろうけど(かなり気を遣って表現)。
『ニューヨーク公共図書館』は長尺で会議シーンだらけということもあり、記憶にある中で一番、前後左右皆さん気持ちよく寝ておられた。

Dolby Atmos並みのイビキが全方位から


最後までしっかり見てもつまらない映画はあるし、寝ちゃう映画がつまらないとは限らない。

最後の上映作品なのでしかと見届けたかったが

帰りのエレベーターの中で知らない女性に「なんだか寝ちゃったわ〜」と声をかけられた。ですよねー。監督のヴェルナー・ヘルツォークが催眠作用のある声で延々とナレーション。

チャトウィン原作『ウイダーの副王』をヘルツォーク監督が映画化した『コブラ・ヴェルデ』は観たことなかったが、チラッと出てきたクラウス・キンスキーがちょっと衝撃的で目が覚めた。
クラウス・キンスキーはナスターシャ・キンスキーのヤバいお父さんで内田裕也に見た目が似てる人というイメージだったが、やっぱり恐ろしい俳優だった。

 肝心のブルース・チャトウィンその人については、正直言ってあまり深い印象や感動はなかった。ごめんなさい。
「世界は徒歩で旅する者にその姿を見せる」というフレーズはよかったな。ほんとにそう思います。

岩波ホールの建物自体とても好き
ロビーのかっこいい壁
映写室への螺旋階段

岩波ホール周辺は、プードル犬のバタークリームケーキの柏水堂や餃子のスヰートポーヅなどの個性的なお店が既になくなって久しい。
みんなみんな、さようなら。

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