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恋のかたち -小学生への恋愛論 -

バレンタインですね。
と言っても私は何もせず。
巷のバレンタイン商戦も、ひところよりは下火になってきているように思うけれど、気のせい?
夫の会社や取引先関連でも義理チョコは数年前からほぼ廃止になり、夫が貰ったのは親からのおかんチョコのみ。

成分的には羊羹


大人しかいない我が家で愛読している毎日小学生新聞、日曜日の一面は週替わりで各界の著名人がコラムを書いている。
私が好きなのは第一週の辻村深月と第五週の村木厚子。
バレンタインがある月ということで、2月4日は辻村深月が人を好きになることについて書いていた。

辻村深月は毎回読んで唸るような深い内容を小学生にもわかる平易な言葉で書くのだが、今回は特にすごかった。
小学生に語る恋愛論。
好きな人の話でクラスで盛り上がったり、友だちの恋を応援したり、誰かが誰かを好きという話題を共有するのは楽しいけれど…。
一言でいうと、成就するためにがんばる恋だけが恋ではないよ、ということ。
相手にも好きになってもらう、両思いは確かにすてきなことだけれど、それだけが恋のゴールではない。

(以下、引用は記事本文より)

「恋」は必ずしも誰かと共有して盛り上がったり、相手に気持ちを伝えて結ばれるだけを尊く考えなくてもいいのではないか。

大人になれば、悲恋、秘めたる片想い、二股愛、略奪愛、恋愛にも色々あらーな、いやアセクシュアルみたいにそもそも恋愛に全く興味ないのもOKなのよとわかってくるけれど、小学生にとっては「何⁉︎このドキドキは。もしかしてこれが恋?」って段階だから、そりゃ興味津々で恋愛をスバラシイもの、両思い最強!ととらえていても不思議ではない。

そこを敢えて、好きだと相手に伝えるだけが恋ではないよと小学生諸君に語りかける辻村深月。

考えてみれば、子どもの頃の私の周りにもいろんな形の「恋のお話」がありました。最後に両思いにならなくても、誰かに伝えなくても、自分の恋の形を自分で決めて、その思いを大事に貫く主人公たち。それらのお話が子どもから大人になっていく私の心をいつも守ってくれた気がします。

コラムでもチラッと紹介されている、子ども向け恋の絵本。

『すきっていわなきゃだめ?』
辻村深月/文 今日マチ子/絵 瀧井朝世/編
2019  岩崎書店

岩崎書店から何冊か出ている、錚々たる作家たちによる恋の絵本シリーズの一冊だけれど、辻村深月作のこれには特にグッとくる。
最後の一文にやられた。
く〜っ…そうきたか。

実際の恋からはもう遠く離れてしまったけれど、こういう小さな恋の物語に触れて切なくなるのもいいものだ。

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