「次世代レスラー」を見つけて応援する楽しみ【プロレスを観よ#1】

プロレスファン歴およそ30年の男性(30代後半)と話す機会がありました。対する私はわずか1年半。悔しいほど大きな「キャリアの差」があります。それでもこの1年半、月に2〜3回は観戦に行くなど、プロレスにけっこう浸かってみて、何も知らない赤ちゃんが言語を習得するかのように、知識や情報をするすると吸収してきたためでしょうか。プロレスという同じ好きなモノを持つ人と普通に楽しく喋れる「言語」を手にしたのは、とても喜ばしいことだなぁと思いました。

会話の中で、「完成度が高い、洗練されている、という表現がしっくりくるような、キャリアがあり、引き出しが多く、自分の見せ方を知っていて、そして数々の困難を乗り越えてきたレスラーの試合を観るのはすごく面白く、ドキドキし、目が離せません。一方で、自分のような素人がこんな発言をするのも失礼だとは思いますが、未完成というか、ひたすらがむしゃらに、荒削り感を残すファイトで魅せてくれる、“次世代”的なレスラーの試合を観る楽しみも、ここ数カ月で発見したんですよ」なんて話をしました。

前者はプロレスファンなら誰もが知るような、2010年代の最前線を走る、実力も知名度も高いレスラーのこと。後者は一部アツいファンがいて、ここ3〜5年の間に花開きそうな、こちらに「何かが違う」と思わせ、期待させ、ワクワクさせてくれる若手レスラーのこと。

男性は、「それは随分とハマっていますね。いいですねぇ(ニヤリ)」と言いました。

原石を発見(した感覚になり)し、実力や知名度という真の意味でブレイクするときまで追いかけ、見届け、応援し続ける――この感覚は地下アイドルやまだあまり知られぬアイドルに魅せられるのに近いような気がします。ジャニオタな友人が、「(デビュー前の)ジャニーズJr.で特定の子を応援し、見守っていくのが楽しい」と言うのも思い出しました。

当然、ファンは自分だけではなく、何十〜何百人はいるのでしょうが、それでも「世界の◯◯」ではなく、「私の◯◯」みたいな感覚を持ってしまうのです。戦いを観るなかで、「彼は絶対に大物になる」「日本を代表するレスラーになる」と可能性を感じ、才能を信じ、粛々と見守り、いつか来るそのときを思い描く、自分だけの楽しみ――。

プロレスはとても過酷な競技で、膝や首などに爆弾を抱えているレスラーも多いと聞きます。実際に試合を観るとよくわかります。やればやるほどダメージが積み重なり、身を削られるような技もあるのです。命を削りながら魅せてくれるレスラーの皆さんはとても尊い。

ただ、他の競技と比べると「現役」期間は長めで、そのぶん、ファンとしては共に夢を追いかけ続けることができます。私が魅せられるプロレスラーのひとりである、次世代なあの方をまだまだ長いこと応援できる。てっぺんを取る様子をリアルタイムで観ることができる。そう考えると楽しみが広がる一方です。

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