応援する対象を持つ、という幸せ【プロレスを観よ#2】

もし自分に子どもがいたら、今はプロレスにハマっていなかったかもしれない、と考えることがあります。離婚して約2年経ちました。もしあの結婚が続いていて、子どもを産んでいたとするなら、子どもが1歳前後になっています。となると、月に2〜3回もプロレス観戦に行くのは難しいし、プロレスに充てる時間もとりづらそうです。心身の余裕も各種リソースもなさそうな気がします。

離婚して約半年経った頃、偶然なのか必然なのか、それこそ「デスティーノ、運命ですよ」。プロレスとの出会いがありました。「初対面」以降、自分でも驚くほど、その世界にのめり込んでいきました。DDTから始まり、全日本プロレス、大日本プロレス、プロレスリング・ノア、新日本プロレス、WRESTLE-1、ドラゴンゲート、KAIENTAI DOJO、ランズエンド、FREEDOMS、みちのくプロレス etc.……と予定が合うものから順に、どんどん観にいくようになったんです。

生で試合を観て、選手の背景や歴史を調べるうちに、とくに気になる選手も出てきます。そのときどきの自分の心に刺さる試合、言動、パフォーマンスをする選手を見つけ、心惹かれると、私は選手の現在を追うだけでなく、「過去」をできる限り遡ることにしています。過去の試合動画はもちろん、公式サイトの「日記」やインタビュー記事を読み漁る。真偽不明の情報も混じっているけれど、熱烈なファンがまとめているであろうWikipediaにも目を通します。

プロレスは点ではなく、線で見たいし、そのほうが断然味わい深い。知れば知るほど、選手を「いちプロレスラーとして好き。見ていたい」な気持ちが高まる。そうしてファンというものになってゆく。応援するようになる――。

応援とは、対象に興味を持ち、「好き」「目が離せない」というポジティブな感情を抱き、穏やかでフラットな愛情を持ち、できる限り動向をチェックし、さらなる飛躍、成長を望み、見守る、ということだと思っています。たとえ不調な時期があっても、見捨てることなく周りにいて、好調な時期が来ることを静かに祈る、ということも含みます。私にもそうやって「応援」している選手が、各団体に散らばっています。

プロレス以外にも、「応援」しているものがあります。主には自分が編集者/記者として関わる媒体たち、そして直に関わっている、才能のある著者さんたち、と言っていいでしょう。自分には家族も子どももいない分、応援する対象は仕事関係がどうしてもメインになるようです。

それでも十分楽しかったし、生き甲斐を感じてはいました。ただ、プロレスという「応援する対象」が増えたことで、人生はより豊かになったし、色鮮やかになりました。見守る喜びを知ったのと、愛を感じる瞬間が多くなったから、かもしれません。

応援するモノ、対象はたくさんあっていい。分散していていい。日々、自分の心に生まれる小さく、温かい愛に気づいて、幸福感が積み重なっていくのを感じています。

↑人生二度目のプロレス観戦時の感想。懐かしい。負傷により欠場中(2017年10月時点)のジェイク・リー選手も応援している選手のひとり。



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