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広島市立中央図書館と「浅野文庫」

広島市立中央図書館収蔵の浅野文庫を始めとした古文書等と広島文学資料について、その活用の基本的な方向性やあるべき姿を始め、保存環境の確保や事業活動の内容、調査研究・展示による資料の活用などの方向性を整理するとともに、これらを実施できる機能を持った新たな施設の整備内容やその施設にふさわしい設置場所を示した「浅野文庫等施設(仮称)整備基本計画(案)」を作成しましたので、市民の皆さんから御意見を募集します。

広島市公式ホームページ

広島市立中央図書館の再整備を進める広島市が、今日22日いっぱい締め切りで市民意見を募集しています。多くの市民の反対意見にも関わらず、広島市の第三セクター「広島駅南口開発」が経営するJR広島駅前の商業ビル「エールエールA館」への移転案を市議会が認めてから約1年。その議論の中で「切り離して考える」とされたのが、中央図書館に収蔵された、貴重な古文書などで構成する「浅野文庫」の扱いでした。

中央図書館の歴史に深く関係がある浅野家。旧広島藩最後の藩主、浅野長勲(ながこと)氏が、中国地方の文化の中心である広島市に図書館がないことを嘆き、主に郷土に関する図書や記録を収集し、文教の発展や人々の研究に役立つ図書館にしたいと1926(大正 15) 年に開設したのが、中央図書館の前身「浅野図書館」でした。浅野図書館は原爆被害を受けたが、浅野家の文化的業績を末永く顕彰するため、疎開により原爆被害を免れた資料を「浅野文庫」として中央図書館の特別コレクションと位置付け、保管してきたのです。

いわば、中央図書館の心臓部分、広島市の歴史の重要資料である浅野文庫を、図書館の再整備から切り離したこと、そして、多くのコストをかけて、エールエールA館とは別の場所に、ゼロから作る新しい施設として「浅野文庫等施設」なるものを建設するということについて、わたしはずっと首を傾げてきました。

それはただ一点、現在地で、浅野文庫を顕彰・活用する施設とともに、新しい中央図書館を整備すればよかったではないか、ということです。

ということで、広島市の担当課に話を聞いてきたので、粗いメモとして共有します。市民意見の締切まで数時間ですが、参考にしてくださればと思います。

ーー中央図書館の前身は浅野図書館。エールエールA館に移ることに関して、浅野家関係者のご意見は
ご意見は、基本的にない。基本的に何かを言うてることはない。広島市から説明はするが、浅野家の方から何か言われることは特にない。

ーー公共施設の面積を減らして集約することを条件とした集約債の期限があったから、図書館再整備の問題は、若干議論を急いだ部分があった。結局、集約どころか、中央図書館は浅野文庫と切り離され、こども図書館も別。そもそも浅野文庫をエールエールA館に入れない理由は何なのか
もともとうちは、こども図書館も含めてすべて集約してエールエールA館に全部持っていく計画だったが、付帯決議が出た。

 この度の令和4年度広島市一般会計予算案には、新規事業として、「中央図書館等の移転整備」の経費1億7,729万9,000円が計上されている。
 この事業は、中央図書館・こども図書館・映像文化ライブラリー・郷土資料館(サテライト)を、エールエールA館内に移転・集約し、「誰もが学び、憩う『平和文化』の情報拠点」として整備することを目的としている。
 しかしながら、当該事業は、計画策定の当初から議会・利用者・有識者などの関係者から広く意見を聞くことが足りず、十分な議論が尽くされていない。
 よって、本市議会としては、未来にわたって市民に誇れる中央図書館等を整備するために、広島市においては、今後、この予算を執行するに当たり、下記の事項に取り組んでいくよう、強く求めるものである。

1 議会・利用者・有識者などの関係者から広く図書館の再整備について意見を聞いた上で、中央図書館等に求められる機能等を盛り込んだ、図書館整備方針を作成すること。
2 図書館整備方針の作成後に、現地建て替え、中央公園内等での移転、エールエールA館への移転、それぞれを詳細に比較検討できる資料を作成して、各資料について議会・利用者・有識者などの関係者に丁寧に説明し、理解していただいた上で、移転先などを決定すること。
3 基本設計・実施設計の各段階についても、議会・利用者・有識者などの関係者の意見を広く取り入れていくこと。

令和4年度広島市一般会計予算に対する付帯決議案(令和4年3月17日)

それを受けて議論・検討する中で、こういう重要な施設はしっかり残していかないといけないし、活用もしっかりしていかないといけないんで、集約の問題とは切り離して、別途検討することにした。

ーー市民意見でそういう内容があったのか
広島市の意見として。再度検討しなさいと付帯決議が出て、検討する中でこういう施設はしっかりと残し活用しなくては、という部分をしっかり考えた。広島市として、再整備事業とは切り離してしっかりもう一度考えることにした。

ーーもともとは、エールエールA館移転、現在地建て替え、中央公園内建て替え、という3案だったのにいつの間にか2案になった。その中で、浅野文庫を切り離さず一体で再整備するオプションはどこで消えたのか。中央図書館の大事な部分だが
一緒にすると、結局、資料の活用といった課題の解決ができない。

ーーどうしてですか
できないですよね。だって今でも一緒にあった中で、市民に浅野文庫は知られていないし。答えとしてはこう形でしか解決できない。

ーーこれまで知られておらず、十分活用されてないのは、単に広島市の努力不足では
努力不足もあるでしょうし、やっぱり図書館の中の片隅に置いてあると、どうしてもなかなか知られない。図書館が何もしてきてないわけではなく、400年記念事業などの活動はやってきてる。でも、結果としていまだになかなか知られていない。浅野家が広島を治めてきたということをしっかり伝えていくのは広島の歴史を伝えることの重要な一つだと認識し、基本的にはそういったものはきちっと別に施設を建ててやっていく方がいいのではないかということで、今回こういう施設を作る。

ーー一緒の建物だとなぜ活用できない
結局課題が解決できない。今までも一緒になってずっとやってきて、活用も頑張って図書館の中でやってきたが課題はまだ残ってる。

ーーその課題と再整備の関係がよくつかみきれない
そのまま同じようにしたとしても、今までと何も変わらないってこと。どこに再整備したとしても、一緒に一体的に整備したら変わらない。きちっとした施設を構えて、保存環境もしっかりとした、広島市にはなかなかなかったような公開承認施設ができる。ということで、別立てでしっかりとした施設にする。課題としてあったのは、浅野文庫も文学資料もそうだが、なかなか資料が増えない。話によると、広島市には、施設に預けたい方がいても寄贈できるような施設がないという話を、広島文学資料保全の会も含めて聞く。なのでやっぱしっかりと施設を作らないと、今後充実整備ができないし、今ある資料は結局、江戸期の資料と原爆の前後の資料しかないので、体系的に整理できる形でもない。これではなかなか広島の歴史を伝えたり学んだりできない。それがしっかりできるようにするには、そういったシステムを作って、広島市にないような資料も集められるような、預ける人が安心してできる施設が必要だと考えた。

ーーそれは重要なこと。ただ、今のような観点を加味した形で、現在地建て替えでゼロから新しい施設として、中央図書館に先ほどの公開承認施設も含めて作る選択肢がなぜなかったのかがわからない。現在地に新しい建物を建てれば、正直こんなに中央図書館がバラバラになる必要なかった
現在地に図書館と一緒に建てるって言ったら、今と変わらないってことですね。さっきも言いましたけど。一体的に建てると、結局一緒じゃん、っていう。

ーー社会教育委員会議で名称の問題も上がったが、今は浅野図書館じゃなくなって「中央図書館」だが、「広島市立中央図書館(浅野図書館)」と名称に浅野を戻すだけで、今おっしゃったような目的にかなった施設になるんじゃないか
名称はちょっと今からしっかり考えていかにゃいけんですけど。浅野という名前をあの施設につけるかどうかは検討がいりますけど、今まで注目されてないことが、別の施設をきちっと構えることで、しっかり注目されることにもなりませんか。

ーーもちろんそれはある。ただ、ただ今みたいに「広島市立中央図書館」があって、その隣に別施設の「広島市映像文化ライブラリー」があって、ああいう形で一体となって、施設としては別だけど一体の建物とするオプションもあったと思う。何でそれができないか
いや、中央図書館ですよね、結局。

ーー設備が古いから新しいものを寄贈しようと思っても保存環境が良くないから寄贈する気にならんという意見も確かにある。浅野文庫関係の資料はなかなか一般に見れない、けど、古文書とかだから一般の人間が見てどれぐらい理解できるかわかんないし、博物館の展示物みたいな要素もある。でもここに来てなんでいきなり別箱を作ってでもやらなきゃいけないとなったのは、浅野さんの強いご意向があったのかと思った
それはない。

ーー駅前の商業ビルのエールエールA館の中に入れようと思ったらいろんな制約がある。じゃあなんで3案比較、事実上2案比較だったが、あのときこういう再整備とは別の、浅野家の資料をちゃんと活用する問題を考えなかったのか。一体の整備の中で埋没する課題ではない
何も変わらんですよね。名前や看板つけりゃあっていう話は。いろいろやってきたっにも関わらず、結局解決されてきてないってのが、この40年ですよね。

ーーそれが別箱を作らなきゃいけないってとこにどうつながるのか。お金ないのに
単純にその移すだけではなく、広島市が今までできてなかった、施設を研究してやるような体制もない、その施設の活用で生かせるような体制にもなってないなので、今までできてないことを今後きちっとできるようにする、新たな施設も集めて伝えるようにするという意味で、きちっとした施設を構える。今持ってる人らの資料も扱えるには、やっぱそういった施設をきちっと構えないと、専用の。文学資料も言ってましたけど、コーナー的なのじゃだめだと。きちっとそういうものを構えることでと散々言われてきたわけですよ。

ーー散々言われてきたというが、付帯決議の前に浅野の課題は抽出されていたか
なので、浅野をどうするかということも含めて考えないといけない。ということで、切り離した。

ーー切り離したというと、どうしてもエールエールありきに聞こえる。なぜなら、工夫次第で、現在地に一体整備できるじゃないですか
広島市はもうそもそもやっぱりエールエールがいいと思ったわけじゃないですか。比較する前からエールエールがいいと思っていた。

ーー三セク(エールエールA館を経営する広島駅南口開発)の救済のためでしょう
いや、三セクの救済というよりも、うちとすれば広いあっちの方が利用が上がると思うとるわけですよ。

ーーだけど結果的には、いろんな施設上の制約がすでに出てきている。費用の上乗せだって発生している
もともとは全部をあそこに移すことが一番いいと思っていた。多くの人に図書館を使ってもらえることになるのは駅前。駅前に移転して利用が減った図書館は、聞いた中でもないわけですよ。

ーー3案比較は本当にフェアだったのかという疑念につながる
3案比較は、結論として、ちゃんと比較しても、結果として市がやっぱり最初に挙げたところがよかったんじゃないかいう結論になって、結局出したわけです。

ーーでも別施設を数十億円かけて作らなきゃいけないぐらいの課題(浅野文庫の件)があるのに、3案比較の中でそれがどこまで揉まれたのか痕跡がわからない
3案比較は基本的に図書館の部分に絞って比較しましたよね。

ーー浅野だって図書館の部分ですよね
これも図書館だけど、ただ浅野文庫については結局、そういった一緒にしようと最初は思っていたけども、やっぱりきちっとやっていかないと、というところで一旦その図書館とは切り離して。

ーー図書館ではなく、エールエールA館構想とは切り離すことでしょう
図書館とは切り離して考えていくよと。今の図書館と一緒にやったとしても一緒じゃないすか。

ーー埋没してしまうという意見なのかもしれないが、逆に一カ所にまとまっていた方がいいという側面もある。そういったところをどこまで検討したのか
結局それじゃあ、今までと何も変わらん施設になってしまう。きちっと広島市として、できてないところがしっかりとできるように、今までやってなかった部分だけにやっぱきちっと施設を考えてやる必要がある。

ーーなぜ今の現在地に、ゼロベースでつくるということを検討しなかったのか。中央図書館はほぼ築半世紀ですよね。老朽化が問題になっていた図書館が、新しい建物ではなく築25年の商業ビルに移る。市民からしたら、一から新しいの建てればいいじゃないか、エールエールに移るのにどんどんコストが増えているじゃん、と。せめてもうちょっとゆっくり議論するとか、あるいは浅野さんの意向を丁寧に聞いて、別箱がいいかそうじゃないか、エールエールA館のどこがいけないのか、そこまでつまびらかにするなら納得するが、全然検討の内容がわからない
基本的にはその課題って老朽化だけじゃなくてそこの利用が減って来ているっていう課題もあったわけじゃないすか。

ーー要は立地の問題ですよね。だけど、中央公園とか広島城周辺とかにぎわいが増えてるじゃないですか。それを加味したら、むしろあっちの方が図書館の利用者が増えると思うし、今駅前いろんな新しいビルがたっているから、 相対的にエールエールA館の築25年感が目立つ
かもしれないけど、そこへ行って人が来てもらえるいうことを考えたら。だって、あれだけ駅前再開発されて、広島電鉄で直に建物に入れるようにもなるし。市内の中心部で、場所的にはすごいとこだと思いますよね。バスセンターとか降りてとか、アストラムラインで紙屋町とかで降りて、行かないですよね。

ーー変動要素が増えてるじゃないすか、すぐ近くにサッカースタジアムができたし、広島城周辺の整備も進んでいる
結局サッカーのときだけでしょ。

ーー指定管理者のサンフレッチェ広島は、サッカーがない日のイベント企画を一生懸命やろうとしてる
だけど結局、図書館はサンフレとはちょっと離れてますよね。

ーー広島市の商業の中心ってやはり紙屋町八丁堀地区では
そうなんですけど、紙屋町八丁堀地区と、広島駅地区の両輪をまちづくりの中心に据えているわけじゃないですか。

ーー「楕円形のまちづくり」ですよね
文化施設のバランスとかも踏まえても、駅前にそういう文化的な施設って一個もないじゃないんですか。

ーーそこはバランスをとるところか。集約していた方が人を呼ぶ効果もある
広島市としてやっぱそういったバランスもとりながら、多くの方に利用していただける。両方が栄えるようにしていくのにも沿っている。

ーーならば最初から第三セクターの広島駅南口開発の救済と、楕円形のまちづくりが至上命題だと説明した方がみんな納得する。でも言わない。設備面でも優れてる的なこと言うが、設備面で新築の建物よりは優れてない。エールエールは
基本的にあれだけ広い場所なんか駅前にないじゃないすか。あんだけのものが確保できる場所はないでしょう。

ーー築50年の図書館が古いから再整備が必要と言って、築25年のビルに移転する
だけど、やっぱりその課題一つとして。

ーーエールエールA館を建て替えるならまだ理解できる。浅野文庫の保存活用の課題も解決できるし
そもそもエールエールA館ができた頃、いろんな人の権利関係が大変だった

ーーわかります。今でも尾を引いているじゃないですか
結局使えるというところがあって、どうですかってお話をいただいたので、駅前だし、まあいいんじゃないっていうところも踏まえて検討して、そっちの方がよく使ってもらえると考えた。

ーー3案比較の資料は私たちはきちんと見せてもらってないし、今回の浅野文庫等施設の中の3案比較だってずいぶんぱっと出てきてなんの情報も開示されない
基本的には浅野家にゆかりのある土地の中から探していくと、こういうところしかない。そもそも全く広島市の発想の中で、浅野家の今までやってきたことも踏まえた上で考えても、やっぱ全く関係ないところに持っていくみたいなことはない。

ーー中央図書館の起源でもある浅野文庫が切り離されたら、そもそも「中央図書館」は何なんだと思う。無理くり築25年の商業ビルに移り、未だにそろばん弾いても確定しない費用がいっぱいある。これが金額の面でも有利だって言われたのに、かかる費用が増えているし、それを問題視する報道もある。万博みたいにどんどん増えるんじゃないかって。結局金額ではエールエールA館移転案は全然有利でなかったってことが既に顕在化している。再整備計画の中で浅野が切り離されてるんだって、ここに数字を基にまたオンしたわけだからプラスでコストが発生してる
いやでも、浅野に関して言えば、元々の建て替えになって金額入ってないんで、同じようにかかるじゃないすか。結局、増築しないといけない訳で。

ーーもちろん。でも、ゼロからつくるなら1+1=2にはならない
1+1=2にはならないけど、基本的に別に大して変わらん額はかかる。特別収蔵庫とか設けたり。1と0.9になるかもしれないけど大きな差が生まれるとは思ってない。

ーーその試算すら見せてもらってない
浅野のものを作るなんて発想はなかったんだから。

ーーそれはエールエールA館ありきでやってるからじゃないですか。エールエールA館で行くんだったらこれは切り離して考えにゃいけんっていう
エールエールA館に最初行こうとしていた。そもそも。だけど付帯決議が出てしっかりと考える中で、浅野についてしっかり考えていかないといけないという広島市の課題もやっていかなきゃいけないから、切り離してしっかりその方法を考えることにした。

ーー付帯決議が出なかったら、浅野文庫はどうなっていたんですか
基本的にはあのまんま、うちのもとの計画は全部移るってなっていたので、そうなっていたと思いますよ。そのまま移すのが当初の計画だったんで。他の施設も入れて、あん中に入れ込むということで、多分考えていくということだったんだと思いますよ。僕が来る前の話だけど、そうなってましたから。

ーーでもそれはそれで正直良かったのではと言いたくなるぐらい金がかかっている
よかったのかもしれないが、いろんな話を聞きながら考える中で、結局それがいいって結論になった。しっかり考え、しっかり皆さんの意見を聞けというところの中で生まれた形が、今の形。いろんな紆余曲折もあったし、余分にお金かかる部分があるかもしれないが、そういうのを全て考えて今の形。あと当初、広島市が全部エールエールA館に持っていこうと思っていたところは当然それは上がっていかもしれないですけど、それでも基本的には、そういった今の形に落ち着いたんじゃないかなと思う。こども図書館を離すって話もそうですけど。

ーーそしたらやっぱり現在地で、浅野もきちんと保存管理し、その中で一体となってこども図書館も入り、広島文学資料もきちんと整備されてゼロから新しく箱をつくることをきちんと検討するプロセスが時間かけて行われても良かったのでは
そうは言いながらも老朽化してるものもありつつ、そんな悠長に何年も考えられるような体制でもなかったじゃないですか。だから検討していって、結局いろんな検討がずっとあった中で、やっぱりいろんな課題を解決できるのは、現在地よりもエールエールA館だというのが広島市の結論。

ーーその課題というのは、第三セクターの経営
広島市の課題ではありますよ。第三セクターは。だけど、図書館の課題ではないので、正直そこは、要は基本的にはうちの部署(生涯学習課)が考えることはない。うちは三セクは基本的には関係ない。でも市の課題としてはあるし、もっと上の人らの大きい視点のところで考えりゃ、三セクだって残していかなきゃならない。

ーー中央図書館再整備の問題に関係ない市の課題として存在するものに収斂される形で、中央図書館の再整備が行っているように外形的に見える。どちらが上位か下位か知らないが、別の市政課題に図書館再整備が吸い込まれた感が否めない
図書館が行くことによって南口開発の経営がどうなるかとかはよくわからないですけど、私は広島駅南口開発の経営が苦しいということは知ってますけど、どのように細かく苦しいかちょっとそれはわからない。ただ、行くことによって、そこが栄えればいいのではないか。

ーー図書館再整備の市民意見でエールエールA館に移転賛成ってほとんどなかった
あれって、中国新聞の記事から皆さんそう言われるが、基本的にそもそも聞いてない。反対される方がまとめて意見を出されたものが載っている。

ーー広島市が市民意見で聞きたかったこととはずれてるかもしれないけども、言いたいことがある市民の方、特に図書館を利用してる人こそ言いますよ。わしゃあ、図書館利用したことないとか言っている議員もいましたけど
今まで公共施設、今までその利用してないあった人にも利用してもらうように考えていかなきゃいけない。

ーーそれを優先することで、利用してきた人の思いがそがれるなら本末転倒では
図書館の利用者が減ってきているじゃないですか。

ーー広島市でも財政規模も人口規模も全然小さい町がいい図書館を作ってる
駅前に移ったら100万になったとか、10倍になったとかよく聞きましたよ。

ーー駅前じゃなくてもそれができるっていう事例もいっぱいある
駅前だったらその可能性がもっと増えるわけじゃないですか。

ーーでも市長がいつも言っている「迎える平和」の中心は平和公園では
いや、平和公園だけど、平和公園の周りだけがそうじゃないじゃないですか。

ーー市長が「平和文化」「平和文化」と言えば言うほど、文化の一翼を担う図書館がにぎわい作りの論理の中に吸い込まれていくのは違和感があるが
にぎわいじゃなくて、要は、広島市の玄関口にあること。そうは言いながらそれだけじゃなくて、市の政策としてその広域都市圏とかもずっと言ってきてる。

ーー生涯学習課の本来の任務じゃないところの論理がどんどん降ってきている。本来なら、図書館とはなんぞや、生涯学習とは学びとはなんぞやってところだけに専従してればいいはずが、やれ広域都市圏とか、やれ三セクの救済とか、やれ楕円形のまちづくりとか、そんな文脈にどんどん踏み込まれてるのがありありとわかる
まあ、そうですけど、結局ここを決めるっていうのは担当課だけで決めることはないじゃないすか。最終的には。

ーー上からやんや言われてるのはわかりますけど、だけども図書館の利用者はやっぱ生涯学習課には、やっぱり図書館利用者のことを、あそこの中央図書館その部分も含めてちょっと時間を大事に思ってる方の思いを一番聞いてほしいものだ。税金払ってる立場的には、こんなにお金かかるんか、現在地にしておけばもうちょっと安くすんだんじゃないかと。そんなに悠長な時間かけてやるんじゃないっておっしゃったが、広島市よりも小さい自治体とかで立派な図書館作ってそこがめっちゃ流行ってるっていう例も数多あるわけだから、そういうところに倣ってゼロベースで3案比較をちゃんとしていたら、こんなことにならなかったのでは
これはこれだけで、いい形になったと思うんだが。

ーーエールエールA館の中にも、浅野のコーナーある。すみ分けはどうするのか
導入はエールエールA館。もっと広島を知りたい人が流れていくのが専門図書館。両方を中央館として位置づけ、連携しながらやっていく。どんな資料を置いていくかいうのは図書館の話を聞きながらだったり、その資料を持っておらず両方によって活用できるっていう方法は今から考えていかなきゃいけない。基本的には導入はエールエールA館より学びを深める施設がここという位置付け。

ーー原爆文学も新施設にいく。原爆文学も含めてそちらにフォーカスすると、浅野文庫がかすむのでは。結局中央図書館に行かなかったもろもろの館なのか
基本的に現物資料をこっちできっちり保管して活用することになる。

ーーなるほど収蔵庫の目的が大きいわけですよね
そうですね。

ーーそうすると、博物館じゃないかっていう議論があった
もともとは浅野家から市民が学習するような施設、図書館が必要だというところからできている。浅野家の先祖の思いも、やっぱ考えなければ。そういう資料を使わせてもらうんだから。あとは、図書館として資料が活用されてきたということもあるので、やっぱりそういったことができる、今までになかった図書館として、博物館とかでお金とってやりゃいいんじゃないかと思うんですけど、元々多分そういうことを望まれて。

ーー浅野さんが、これはきちんと教育の振興課に生かされてほしいときちんと市民に生かされてほしいという思いがあるんですよね。図書館として
今の浅野さんは何も言ってないですよ。2代上の浅野さんは広島市に図書館を寄付したので、やっぱり思いはあって広島市として受け取る。そこはしっかりとやっていかないといけない。図書館として学べる場を作ってもらいたいと。有料施設でお金取ってみたいなのではなく、みんながもっと気楽に学習できる図書館として。

ーーやはりエールエールA館がありきだから、こんな形にしかならなかったのでは当初は全部持ってこう思ったんだけど、こうやって付帯決議っていうか立ち止まって再度考えたときに、やっぱもう別で考えた方がいいんじゃないかっていうことになって、スタートした。

ーーゼロに戻してもよかったんじゃないかというのはなかったか。エールエールA館をなんとかしなければという市政の課題に相当引っ張られているってことでは
来てもらえる、多くの人に使ってもらえるのが図書館。ここはこことしてしっかりと総合的にはトータルとしては図書館に関してしっかりやっていく。

ーー浅野家関係者にはこの間、付帯決議の前と後でそれぞれ何回説明に上がったか
付帯決議後は、僕だけでも4、5回行ってます。付帯決議前は、僕が聞いたのは1回。再整備の話というかこういう施設を考えてますというような説明をしている。

ーー付帯決議の前は1回しか行ってなかった
基本的には浅野図書館からスタートしてるんで、進捗状況とかそういうのはご報告に行かせてもらっている。

ーー可能な範囲で、中央図書館、旧浅野図書館の再整備に関して、こうしてくれっていうのはないんでしょうけど、市の方が一方的に話してるだけでもないと思う。ひと言ふた言でもこうしてくれっていう意見はなかったか
基本的には浅野さんは先代の思いとかいろいろ教えてもらいましたけど、先代がこういう思いだったとか、資料のその保管の大事さや、資料を扱うのは人材が重要だとか、そういうことを教えてもらいましたよ。

ーー付帯決議前にも意見を聞いてますよね
付帯決議の前はすいません、私は行ってない。後しかわからないですけど。

ーーエールエールA館のことをちゃんと説明しなかったのでは
移したいということは当然伝えたと思いますけど、特に何も意見言われていない。

ーー付帯決議前にも図書館協議会とか社会委員教育委員会議とかも含めての専門家の意見を聞く機会があった。中央図書館かくあるべきっていうところに、浅野文庫はどれぐらいトピックとして上がったか
上がってないんじゃないんですか。あんまり浅野文庫がどうこうって。

ーー市がきちんと資料を作って説明しなかったからでは。すごく大事なものなの
移転する話についての意見はありますけど、浅野については、そういったのは特に見てない。

ーーこんなに大事なものだってわかっていたら、やっぱり付帯決議の前にこれがちゃんと議論されてなきゃいけなかったと思うが。十分な議論はされたか
一体的にそのまま中央図書館を移転するという話しかなかったので、やっぱりこれがどうこうっていう細かい議論をまたおそらくされてない。

ーーそこは市のこの間の再整備計画の策定プロセスにおいて、ある程度反省すべき点として存在してますよね
結局こういう大きいところが話になって、いろいろ深く考えていけないことがわかったのはある。段階を踏んで。なかなか注目されてなくて、図書館に携わっている人とか、歴史が好きな人以外は、なかなか浅野を知らない。

ーー浅野文庫が周知されてない理由はハード面だけではない
そりゃそうです。

仕事で必要な本を借りた時、本をめくったら浅野図書館の公印が押されていました(2021年8月)

図書館問題関連のこれまでの取材メモやらです。


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