創作と資料 第二回:お手軽のススメ。メインに傾注するの、立派な戦略だよね? by カルロ・ゼン

Q:これは、なんですか?

A:前回の概論、割と評判がよかったので調子に乗って。

https://note.mu/sonzaix/n/n9c849088b689
※前のこれ

創作に際して、資料をどの程度調べるべきか?

そんなテーマで、珈琲カップ片手に軽く書いていきます。

今回は、前回の概論の続きです。

A1:『間に合わせる程度』
A2:『安心するまで』
A3:『完璧に』
と方向性をふんわりと出したところから再開しましょう。

・オテガルノススメ

悲しいかな、文字数もやる気も有限なのです。

お手軽仕様、お手軽読み物らしく、省略と誇張だ!

そんな適当な言い訳と共に、今回は、『間に合わせる程度』について集中的に書いてみます。

一応、理由はありまするぞ(*‘ω‘ *)

『そんな程度でいいのか? もっとちゃんと調べるべきでは?』などと言われがちな調べ方ですが、これ、ホント、もうちょっと評価されるべきだと思うからです。

今回は、道具としての知識を『調味料』と見立てて考えてみてください。

『完璧な調味料』を用意するよりも、『お料理そのもの』が肝心ですよね?

ここを間違えてはいけない(戒め)。

『○○の塩』というスーパー調味料を主役としてお料理を作るのであれば、『塩本来の味わいに合わせた素材選び』が必要になります。

分かっていないお店は、高級調味料の○○を! なんて大々的にアピールしてしまうこともある。でも、メインがお肉であれば、『お肉に合う調味料』こそが求めらるのです。

間違っても、主役を食ってしまう調味料はいらない。お肉に相当する物語に、ピリッと効く調味料であれば不足はなし。

勿論、貴方がミシュラン三ツ星のシェフとかであれば話は違います。

お肉も塩も『完璧たれ』と自他ともに要求するでしょう。でも、全てのお料理がミシュランで三ツ星取るのが目的な訳ないですよね。

家で適当に肉焼いたっていいじゃん。好きなんだもん。

それに鍋奉行にあれこれ箸の上げ下げまで指図されるよりも、仲いい面子と好き勝手に楽しくやる方が美味しいことも多いですよ?

と言うわけで、お手軽さは『お手軽であるという一事で、批判されるべきもの』ではないと思うんです。

・A1:『間に合わせる程度』は素敵

理論は分かった!
じゃあ、後は実践だ!

となる前に、一つ、注意書きを。

軽くでもよし、ほどほどでもよし、がっつりでもよし。

どれぐらい深堀して調べるかは、スタイルと状況次第!

なんて書いていて気づいたのですが……『投じた労力』と『正確さ』は『完全一致』してはくれないんですよね……。

ここがとても難しいし、誤解を招きやすい部分でもあるのが悩ましい……。
『浅い掘り方』も、その人次第のところもだいぶあります。

まぁ、実際にやってみましょう。

さて、始める前に、どういう世界を作るかが大切です。

今回は、架空の病気が物語世界で重要になる……という設定にしました。

舞台は現代。
要するに、私たちが今住んでいる世界です。
便利なところは、設定が複雑にならないこと。。

設定として考えたもの:
ラーメンを食べると珈琲が嫌いになり、珈琲を飲むとラーメンが嫌いになる』というとても恐ろしい病気

これが、東京を襲っていて……大勢の人が人生に悩み、苦しんでいるという地獄のような世界を作るとします。

・『間に合わせる程度』でやってみる

二つほど、やり方を例示してみます。

方法1:専門家に聞いてみる。
→例えば、僕ならば某先生に『こういう病気考えたんですけど……』と相談してみます。

Q:『間に合わせる程度』で専門家に聞くのですか?
A:『専門家』への相談は、往々にして最短距離コースです。

色々と四苦八苦する前に、『答えを知っている人』を知っている/見つけられるのも一つの立派なタレントではないでしょうか。

方法2:似たようなものは? 探してみる。
→例えば、あまーい砂糖菓子を食べた直後だと『果物の味が変だ』みたいな事例を探して、考えてみる。

Q:それって、役に立つの?
A:科学的なやり方としては失格ですが、これに似ている、じゃあ、ここと似たようなことが……と連想していきましょう。

実は、珈琲とラーメンには共通の魔法元素(甘味から連想)が入っているのだけど、液体と固体で濃淡が違っていて、濃ゆいものを食べた後、薄いのだと『美味しくない!』とか。
逆に、薄い物を取り込むと、『濃ゆいものに体がショックを……』みたいに。

それこそ、そうだ、お味噌の好みとか、しょうゆの味付けみたいなやつだ! と連想でくみ上げていくもの可。

これ、別に、理論武装する訳じゃないです。

『この病気』が物語の肝で、この病気が物語を面白くしていく上で重要な役割を持つ……とかであれば、こういうやり方は脇の甘さになってしまうと思います。

逆に、キャラクター達(例えば、料理人?)に注目するという形であればこれでも十分でしょう。

・ちょびっと補足

『専門家に聞けば安心できるのでは?』という声があると思いますが、専門家に聞いても『100%安心できるか』は別問題です!

知的誠実さのある専門家≠ドラえもん。

だから……(大体の場合において)秘密の道具で一発解決してくれる存在ではありません!

例えば、


専門家:『状況1において、仮定Aを満たすならば、X%の確率で、お尋ねのような病気が社会に対して想定αのような現象を引き起こす可能性が高いとは思います。』

なんて、言った後で

専門家:『しかし、状況1において例外ⅰが生じた場合、仮定Aを満たしえず、想定αを満たすためには……』

とか言い出しますし、

専門家:『状況1が成立するかは、相当程度社会状況に左右され、状況2の元、環境が変われば仮定Aは成立せず、仮定Bの元、恐らくは想定αとは別の、想定βの確立がY%で……』

とか、

専門家:『○○先生の論文と、××機関の事例をもとに考えると、恐らくは想定αが成立するとは思いますが、前提条件として環境が状況1とは違う場合もあり……』

とか、こう、色々と呪文を唱えてくることもありますからね。

この呪文を解読し、

クリエイター:『そうか、つまり、分かった! 分かったぞ!? 専門家が言っているは、こういうことか……わかったぞ、これで大丈夫だろう!』

となるまではどうしても『安心できるまで調べる』というプロセスが必要になりますから……。

でも、単純に『こーゆー病気、あるとしたらどうです?』みたいな形で専門家のアイディア・見識を借りるだけでも意外と役に立つんです。

・終わりに

大分脱線してしまいましたが、『お手軽も悪くない』という論旨のものを、ポチポチと書いています。

二つのやり方、要するに、分からないことを『他人に聞いてみる/ちょっと考えてみる』ぐらいですよね。

これ、そんなに時間も手間もかかりません。

当然ですが、調べものに全力投入する必要性はなし。『お手軽にいこう』の場合は実にらくちん。

頑張れよ、と言われる前に考えてください。

自分で専門家になろうという方には敬意を。でも、それ、今年中に『創作物が完成する可能性』はどんなものでするか?

創作を優先するの、これ『手抜き』というよりは、『選択と集中』という立派な戦略では?

さて、最後に『間に合わせる程度』の長所と弱点を踏まえて使える場面と使うと危ない場面を〆に置いておきます。

知識を調味料としてみてみると……?

①書きたい物語には、骨組みがはっきりしている(メインはお肉よ!)

→『晩御飯の味付けに必要な塩とポン酢があれば十分!』とかだと、労力をお肉に集中することで皆が幸せになるステーキを食べることができるでしょう!

つまり:◎

②調味料を武器として使いたい(このスパイスで、最高のカレーを!)

→スパイスの厳選が必要になります。本格○○派とかの路線で船出するためには、相当に下調べする必要が出てくるでしょう。

つまり:×

③何を作りたいか、良く決まっていない(お夕飯、何にしようかなぁ)

→取りあえず、ありものでお料理を即興でつくるためには冷蔵庫の確認が不可欠です。肉が残っていて、ちょっとだけお醤油をお隣から借りれば十分! とか、ポン酢借りてくればOKとかを念頭にどうぞ。

つまり:〇(試しにやってみるのも悪くないですよね)

結論:
創作と資料だって、ケース・バイ・ケースなんですね。
お手軽も、案外、悪くないと思いませんか?
冷凍食品全否定、三食手作りは当然で、添加物完全拒否のご一派だったりしますか……?