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カメラマン、あるある。 『服の色』

フリーランスのカメラマンです。主に雑誌、人物、イベント、舞台 などの撮影をしています。ライフワークとして太陽の写真を撮影しています。


写真関係の友達と色々な撮影話をする事が多いのですが、カメラマンと一言で言っても撮影する分野が異なると知らない事が多いです。そして、カメラマンにとっては常識でも一般の人は全く知らないって事も結構多いのかもしれないなと感じる事があります。今回は舞台カメラマン、『あるある』のお話です。

舞台カメラマン『あるある』。これは他のジャンル(ブツ撮りなど)のカメラマン『あるある』でもありますが、ライブ、舞台、映画・テレビのスチルカメラマンは99パーセント『黒い』のです。テレビ番組の裏方さんなどが映像で映った時になんとなく皆さん黒っぽい服装をしているなって思った事ありませんか?舞台やライブの撮影をメインにお仕事をしているカメラマンも持ち物、服装、機材含めて現場で見ると黒一色の人が多いのです。。(キャノンのレンズは白ですが。。)

数年前に、友人に『黒い服が好きだよね?』って言われてちょっと吃驚した事があります。仕事柄、着る事が多い黒っぽい服装でいつもいる事で、友人には『黒が好きで着ている人』と認識されていたようです。

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カメラマンに限らず、ライブや舞台関係・映画や番組のスタッフさんは黒い服装の方が多いかもしれません。

それは何故か?

一番の理由は現場で少しでも目立たない為です。  気配を消す為と言ってもいいかもしれません。。

例えば、好きなミュージシャンのライブに行って一番前列にカメラマンがいるのを見かけた事はありませんか?様々な角度から映像のカメラマンもスチルカメラマン(現場では映像を撮るカメラマンと区別して写真を撮る人をスチルカメラマン・スチルと言う事が多いです。動画を撮る人は映像さん・ムービーさんと呼ばれる事が多いようです。)も撮影しますが、前列にいるカメラマンがお客さんと一緒に後方から撮影しているの画像に写りこむ事があります。その時にそのカメラマンがカラフルな服装をしていたり、白っぽい服装をしていたら照明が反射したりして物凄く目立ちます。。逆に黒は光を吸収するのでそれほど目立ちません。目立つと言う事はお客さんから見ても物凄く気になる存在になってしまいます。得に前列のお客さんにとっては目の前のカメラマンが派手な格好で動き回っているとどうしても視界に入ってしまいます。お客さんがライブに集中出来る為にも、黒っぽい服装で撮影するのがライブを撮影するカメラマンのマナーだと言えます。

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それは舞台カメラマンも同じです。 少し異なるのは、収録用の映像カメラマンが本番中の舞台に入ったりする事がありますが、スチルカメラマンが本番中の舞台を撮影する事は殆どありません。一番の理由はフィルムカメラから、デジタルカメラに変わってもシャッター音の問題がある為です。(最近はミラーレスカメラが浸透してきたので状況は変わってきていますが、その話はまたどこかで。。)演劇などの場合は演出家によるメイク・衣装確認、照明の光の反射確認、俳優さんの動きの確認の為、舞台稽古の段階から衣装メイクありで稽古をします。その為、本番前に撮影が出来て初日にその写真や映像が宣伝に使用される事が多いのです。但し、コンサートなどの舞台は本番を撮ります。それは、リハーサル期間が短くミュージシャンの人達がリハの時は衣装をつけてない事が多いからです。その場合は客席で撮らず別の場所から撮影したり、後方から消音モードや消音カメラカバーなどを使用して撮影したりします。

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では何故、本番と撮る事が少ない演劇などの舞台カメラマンも黒い服装が多いのでしょうか?

それはライブ撮影カメラマンと同じ理由で、やはり、目立たない為です。

意外と知られていないのですが、舞台撮影のカメラマンは客席にいる演出家や全ての技術スタッフの誰よりも前方で撮影する事が多いのです。

演出家を含め他の技術スタッフは舞台上で行われる様々な事を確認して舞台稽古を芝居の冒頭から進めていきます。 そんな中、真っ先に視界に入るスタッフがカラフルな服装だったり、目立つ白っぽい服装だったら?。。特に白っぽい服装は舞台が暗転(舞台上の装置や俳優を移動させて違う場面に転換する『場面転換』をお客様に見えないように暗い中で行う事)した時に光の残像が明るく残り暗闇でも薄っすら光って見えます。そう言った理由から、舞台カメラマンもやはり黒っぽい服装で撮影します。とは言え、夏は暑いので白っぽい服装が多いのですが、黒いカーディガンなどをいつも持ち歩いています。

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余談ですが海外の舞台撮影は、国によって様々なやり方があり日本とは異なる事もあるようです。私が経験したのは舞台撮影の為だけの時間が別にあり(あまり長くはありませんが。)、舞台稽古中は撮影しないパターンです。海外の公演プログラムを見ると舞台上で撮影しないと撮れないと思われる写真が時々掲載されていて不思議だったのですが、舞台撮影だけの為の時間があると知って納得しました。

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物撮り(物の撮影)をするカメラマンも黒っぽい服装の人が多いです。それは、撮影中に物に自分が映り込む可能性があるからです。模様や柄がある服装や白っぽい服装だと物に変な写り方をする事があり、撮影する物にもよりますが、そう言ったトラブルを避ける為にも柄のない黒っぽい服装での撮影をする人が多いのです。

逆にモデルや女性を撮影するカメラマンは白っぽい服装の人が多いかもしれません。それは被写体の瞳に白い服が写り込む事によってのキャッチライト的な効果を狙っての事だったりもします。

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写真はオランダアムステルダムで撮影したスナップ写真と台湾で出会った黒い犬です。

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時々、見てくれると嬉しいです。