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歪んだ記憶


まっすぐ見つめていたい気持ち

何も無い
そこには
何も無いと知った

思い違い
常に
そこに向き合う
ひとり
虚空にさまようのは
もうやめたんだ

でも
ふと気が付くと
ぽつねんとした
宇宙でもなんでもない
虚空に置いてけぼりになる

果てしなく広がるそこには
抗えない感情がひたひたと満ちている
心はとても穏やかだというのに
ありえないほどの焦燥感

おちつけ
おちつけ
おちつけ

深呼吸をして
乱れた何かを整え
再び虚空と向き合う

そう
これはまるで僧の修行
善行を果たせなかった後悔を
嗜むための

酷く歪んでいた…
その記憶は緩やかに
遠くの空へ消えてゆく

好きなものを集めすぎてしまう
ただのデータぜろといちの並びだと言うのに
虚しくも嘆きも届かない


感情は
静かに
遥の海の波打ち際で
波にたゆたう
二枚貝の片割れ
二度と巡り会うことの無い
二枚貝の別れ


真っ白に
ただ
真っ白に
広がってゆく

ぼんやりと月と桜を眺めていた
あの日の僕を君は知らない


記憶なんて
曖昧なくらいがちょうどいい
そんな春の夜の戯言

少し
君のことを愛してみたくなったんだ
そう
ほんの少しだけ…

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