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【ドラマ】舟を編む 第二話(3)宮本とみどりについて

録画機器の音声が直りました。我が家のシステム管理者に感謝。ということで早速「舟を編む」第二話を視聴。もう一度見ると、先日書いた二話目の感想内のセリフは言葉が随分違っていたが、ニュアンスはあっていたのでそのままにしてフレッシュな感想として残しておく。

先日のポストから多少巻き戻るが、再視聴して改めて製紙会社の宮本のドラマの中での人物像がとても良かった。宮本が「いい」人であるし「描き方の手法」が「いい」。忘れ物を届けたみどりと話すシーンで『星の王子さま』の中のセリフを出してくるだけで彼の人柄が見えてくるし、しかも大人になってから読んだというほんの数秒のセリフを付け加えることでで彼がどういう大人としての毎日を過ごしているのかイメージができる。原作にはなかった宮本の人物像をが、たったこれだけのエピソードとセリフで自然に付け加えられミックスされるなんて驚いた。感想文ではなるだけ「すごい」という言葉は使わないようにしているけれど、観ている時は「すごい、すごい!」と頭の中で連発していた。ドラマ化することのいい面を存分に見せてもらっているように思う。

そして、宮本とみどりの立ち話のシーンは見ていてとても気持ちが良くなった。ほんわかと。なぜだろう、と考えたら、二人の会話がまっすぐでポジティブで気持ちのいいものだったからだと思う。一番に思い起こされたのは宮本のみどりへの応答の言葉。

「ですよね。」
「僕もそうです。」
「(みどりに同調しない場合の)にっこり」
「一緒にやってみませんか?」

宮本のみどりへの応答の言葉

など、同調もしくはポジティブな言葉を返している。みどりの自虐的なセリフには同調しないけれど、穏やかににっこりと微笑んでみどりの言葉をただ受け入れる。宮本のような人とだったら話をしていてどれだけ楽しいだろうと思った。そんな宮本の人柄はもちろんだが、橋の上の立ち話がそんな気持ちのいい、ちょっと深い話になったきっかけはみどりの

紙、お好きなんですね。

忘れ物を渡した直後のみどりのセリフ

という唐突だけどまっすぐな宮本に対する羨望の言葉であったことはみどりの人柄を感じ取る上で大事だと思う。宮本が割と踏み込んだ自分の仕事への姿勢をみどりに明らかにしていくのも、最初にみどりがぐいっとまっすぐに踏み込んで行ったからだろう。

新しい部署に来て不安や疑問を抱えながらも周りの人の仕事に向き合う姿勢を見て心を動かされているみどり。それらを見る目を持っていることも、見て感じることができる感性があることも、みどりの人としての真ん中の部分がいいものであるからだと思う。頭に浮かんだのは、みどりの真ん中の部分は綺麗なピカピカの玉なんだけれど、その周りが、これまでの人生でついてしまった棘や、何かがつくべきだったところにそれがつかずに窪みになってしまっている部分があって、ごつごつしている。そういうものが、新しい環境になって柔らかいやすりにかけられて少しづつ滑らかになっているような、そういうイメージが浮かんだ。一話目で馬締、松本先生、そして今回の宮本。素敵な人たちを素敵だと気づけるみどりは新しい部員としてまさに最適な人材だったのだと思う。

思い返せば一話目で、馬締を始めとする部員たちが「新しい人に今まで辞書に関わってきた人と同じ熱量をぶつけたら相手が潰れてしまうから気をつける」として、馬締が行きすぎた時に舌打ちや咳払いをして知らせていたけれど、みどりは馬締の辞書への熱量に押されることはあっても一度も気持ち悪いとかおかしいとか否定することはなかった。今回の宮本の紙に対する熱量もみどりは「羨ましい」として「馬締さんのようで羨ましい」と言う。辞書オタク、紙オタクの二人をまとめて全肯定するみどり。そうか、今これを書いていて思ったけれど、宮本はまさに半年ほど前に今のみどりと同じだったのか。辞書に対して並々ならぬ熱量で仕事に向かう馬締を見て改めて自分の「仕事に向かう姿勢」を考え直した宮本は自分と同じことを思っているみどりと対面してきっと嬉しかったに違いない。そして「馬締さんのようで羨ましい」はきっとすごい褒め言葉だったんじゃないかな。

今書いててはっとしたんだけれど、この第二話はことごとく昇平と宮本の対比が見られるようになってるんじゃないだろうか。実は第一話目に初めて宮本が登場した時、イメージしていた感じとちょっとだけ違っていて逆にその場面が印象に残っている。宮本に違和感、というより、みどりと宮本の組み合わせにちょっと違和感があった。元読者モデルという新たな設定にすんなりハマる抜群の美貌、スタイルとファッションで立つエライザさんと、七三分けスタンダードなビジネススーツの小柄な宮本さんの並びが「え?」と思った。そしてその時のみどりの彼氏、昇平は、茶髪でイケメン。外見だけで言うととてもお似合いだった。昇平と宮本がものすごい対比になっていることに今気づいた。初めての出会いの時は宮本とみどりの並びに親和性がなかったけれど、橋の上での二人はちょっと違って見えた。もしかして、こうやってみどりと翔平がお似合いで、宮本とはそうじゃないと見えている自分は脚本家さんにチャレンジされているんじゃないか。何を見ている?何が見えている?私が見えているもの、感じるものはそれでいいの?お似合いとか釣り合ってるとか感じている自分がとても嫌なやつに思えてきた。けれど、翔平と宮本は明らかに対比にしてあると思う。その対比を脚本家さんはどのように進めていくんだろう。みどりは住居もおしゃれなアパートから早雲荘に移る。ファッション雑誌から辞書編纂部へ。イケメン彼氏との別れ。おしゃれアパートから早雲荘へ。みどりのファッションは変わっていくんだろうか。ファッションは彼女の人生の真ん中にあったものだけれど、それは変化していくんだろうか。これからのお話が楽しみだ。

そういえば、みどりの着ている服がいつも緑か濃い青だなと思った。緑色はみどりだからまぁそうだろう。でも、なぜ濃い青だろうかと考えた時に、一話目で馬締が「俺は岸辺さんの名前を初めて見た時、紺碧の海の前に立つ岸辺さんを思い浮かべました。」と言ったことを思い出した。濃い青は碧の方のみどりなのかな。NHKや他で今回のドラマについてインタビューが行われていたので、少しググって読んでみたいなと思う。

第二話でもっと書きたいことがあるけれど今回はとりあえず宮本とみどりのことを書きました。確かにこうやって焦点を絞るのは頭の整理がしやすくていいかもしれない。録画機器が治って2回目の視聴ができたことで、書きたいと思ったポイントをメモしたので第三話目を見る前にそれらを書いてしまいたい。第三話まであと二日!


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