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小説というものを書いてみた

学校というところは「将来の夢」を書かせるのが好きだ。小学生、中学生で何度も書かされた。その中で、たしか中学生のころ、いちどだけ「作家」と書いたことがあるのを憶えている。たぶん本を読むのがが好きだったからだ。でも作家にはならなかった。どうやってなるのかもよくわからなかった。

いわゆる「作家デビューへの道のり」は知っていた。コンテストに応募して応募して応募するのだ。しかし、わからなかったのはそこではない。コンテストに応募するような作品がどうやったら書けるようになるか、だ。

スタジオジブリ・近藤喜文監督の映画「耳をすませば」には、その作家になる方法が解説されている。見たとき、そうそう、と思った。あんな挑戦が高校生の時にでき、そして自分に足りないものを知ることができるというのは、才能にも環境にも恵まれていると思った。自分にはそれはなかった。そして仕事をするようになってからは、小説を書くことは考えもしなかった。

ほんの2ヶ月前までは。

「日本SF作家クラブの小さな小説コンテスト」略してさなコンの作品募集を見たときに、なぜか突然書いてみようと思った。なぜそう思ったのだろう。たぶんコロナ禍で思うように外出できず、仕事上でも思うように進まないことがあり、外に出せない詰まったエネルギーのようなものが溜まっていたからだろう。それらを吐き出す先が、たまたま目に飛び込んできたこのコンテストだった。

もうひとつ、久しぶりに zoom 飲み会をやった友人たちに刺激を受けたというのもある。彼らは創作活動だけで生活しているわけではないが、給料をもらう仕事の傍、絵を描いたり映像を作ったりしている。作品に自分の城がある生き方が羨ましいと思った。

家のデスクでリモートワークをしていると、仕事の中に「会社の一部」ではなく「自分のもの」の領域があるのがはっきり見えてきた気がする。自分の仕事や作品を育てたい、という気持ちが出てきた理由のひとつだ。

なにはともあれ、作品を書いてみるというきっかけを作ってくれた日本SFクラブには感謝している。作ってみると見えてきたものもある。仕事の合間に時間をひねりだして、もう少しだけ、見えてきたものを深めていってみたいと思っている。それがどこに向かうのかは、今の自分にはまったくわからない。

ちなみに書いてみたのはこんな2作品です。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=15234093

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=15348167


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