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応募作品⑱「みのむしの日々」

※この作品は2019年、文芸社『えほん大賞』に応募し落選したものです。NOTEに掲載するにあたり、気がついた分については、多少修正や加筆しております。

この物語を考えたきっかけは、うつ病で数日寝たきりになることがあったりしていた、当時の自分のことを思い出し、心の中で自分を嗜めていたことを言語化したものです。
自分でイラストもかけるのですが、そこまで自分で考えるといつまでたっても人前に出せないので、文章だけNOTEに掲載しています。

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『みのむしの日々』

薄暗い部屋の中で目が覚めたけど
身体が動かない。
遮光カーテンの向こう側の世界は
すっかり夜は明けていて
お日様が穏やかに輝いている模様
それに、時計の針は起きる時間を
とっくに過ぎている

そろそろ家を出ないと
会社に間に合わないぞ…私
 _
うーん。
今日どうしよう…
あっ!そうだ。
休職中だった…org

___

夜のお薬が効いてるからか、
寝ぼけた頭の中で
〝ボケ〟と〝ツッコミ〟の
一人コント状態の自分に苦笑い
さて、お布団から出て
コーヒーでも飲もうかなぁあああ
そう思って身体を起こそうとしても
全く身体が動く気配がない

苦手な冬でもなくて大好きな秋なのに…
なんだかなぁあああ
大好きな音楽もなんだか耳障り
コーヒーを淹れる気力もない…というより
起き上がる気力さえない
腰が悪いわけでもないのに
トイレにいくのも
ハイハイしてなんとかいける程度

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〝鬱襲来〟

慣れてはいるからいいんだけどさぁ。
身体が動かせない時は
無理に動かさないことを徹底する
トイレ以外は動かなくていいように
飲み物と携帯とチョコレートやのど飴を
枕元に用意して
とにかく何もせず
ふかふかの毛布にくるまって
ミノムシになる

くるまった毛布から時々頭だけだして
目を開けたり閉じたり
ぼんやり時間を過ごしていると
嫌なことや悲しいことが
止め処なく目の奥のほうに
繰り返し浮かんできて泣きたくなったら
頭を引っ込めてお布団の中で
シクシク泣いたりなんかして…

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そのまま泣き疲れて眠ってる間に
お布団ははだけてしまって
一旦ミノムシから人間のカタチへ戻り
丑三つ時にお布団の上で大の字になってる
そんな自分に〝はっ〟として
また、真っ暗な部屋の中で毛布にくるまり
再び、ミノムシに戻って…
そんなことの繰り返しな
毎日なのだけれど

ダメダメな自分だとは思うけれど
案外心地よく感じちゃったりもする
でも、そんな自分を振り返り
時折〝バツ〟をつけそうになる

___


あーそうだったよぉー。
こんな自分に罪悪感を感じず
〝バツ〟をしないことが
鬱襲来時の私には必要だったんだ…

だって、今日一日をなんとか生き延びて
回避できたことになるのだから
鬱ドストライクな時はこんな私でもいい。
ぜんぜん大丈夫。
何もできていないと思って
自分を責めるより
今の私にとって必要なことは
できているのだから。大丈夫。
花丸でいいくらい。

___

むしろ、ミノムシの私も悪くない
私にとって生き延びる戦略の1つなのだから
そして、安上がりで
一番省エネなセルフケア
地球にとってももしかしたら
私が動かないほうが
都合がいいのかもしれないし…ね。
WINWINの関係
といっていいのかもしれない (笑)



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