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日記:複雑な色合いのシルマリルみたいに楽しい。父子関係の綾がナズグルに繋がったりとかしないかな:力の指輪「第5話」

ガラドリエルの剣技がかっこよかった第5話。
ちなみに iPADアプリのアマゾンプライムだと各国語字幕が見られるけれど、TVのアマゾンファイヤースティックによる視聴だと吹き替え版しか見られません。
吹き替えの方がお話の流れが分かりやすい気がしてまして、最近は字幕を見た後に吹き替えで再視聴が定番の流れになってます。

印象的だったポピーの歌も、英語版と日本語版で、それぞれ味わいがありました。

ヌーメノールパート、エレギオンとカザド=ドゥムパート、南方国パートとハーフッドパート。それぞれ色合いが違う上に、それぞれのパートで「転」があり、それこそ複雑な色のシルマリルを見るような第5話でした。

ノーリ達の旅路と生息域


ノーリたちのいる場所の地名が出てきたので地図と照らし合わせたのですが、ロヴァニオンと古森以外は確認できませんでした。隈なく読み直したら出てくるのか、オリジナル地名なのかしら。

霧降り山脈を挟んで東から西へ、古森を目指す旅でした。
ハーフット族について「指輪物語」序章の「ホビットについて」で以下のように言及されているので、一致していると言えなくもない。

ハーフット族は(中略)霧ふり山脈の山麓に長い間住んでいたのだが、早くから西方への移動を始め、ほかの者たちがまだ荒地にいる頃、既にエリアドールの風見ヶ丘あたりまでさ迷い歩いていた。

「指輪物語」序章より

一方で次のようにも言及されていて、これはノーリ達と一致しません。ただノーリ達はホビットにとっては有史以前の存在なので、矛盾とまでは言えません。

彼らはホビットの中では最も尋常、代表的な種族で、人数も断然多かった。彼らは、とりわけ一地点に定住することを好み、トンネルや穴の中に住むという先祖伝来の風習を最も長く守っていた。

「指輪物語」序章より

ちなみに同じ章に「ハーフットは昔ドワーフとかなりつきあって」とあるので、その「かなりのつきあい」の端緒が「力の指輪」で描かれないとも限りません。活躍エリアも被っていますし。

メテオマンと白装束の人々


メテオマン(よそびと)については色々ありましたが、まだまだペンディング。力はあるけれど白黒定まらない描写という点では進展なし。ガンダルフやサルマンと異なり、存在だけ記されて詳細は全く不明のイスタリ(魔法使い)ではないかと思ったりもする。彼らは記録に残らない存在ですが、その理由が分かるかもしれない。

もしサウロンだとすると、かなりアクロバティックな魔法を用意しなければならないですね。例えば「サウロンは自分の力だけを別の命として取り出して逃し、周囲の目を欺いた」など。

メテオマンが衝突した場所を訪れた白装束の方々は、いかにもエルフ趣味の雰囲気でした。指輪は正体を隠したサウロンが虚言でエルフを唆して作られるから、もうエレギオンに食い込んでいるサウロンもしくは協力者ということかもしれません。

イスタリたちは力の指輪の第2紀には中つ国に上陸していない前提でしたが、覆すことも可能な前提だと思います。なぜならトールキン自体が、「伝えられている記録によると」という前提で物語を書いているので、「記録に残っていない物語」をいくらでも生み出していいのです。
その辺りはこちらのnoteにも少し言及しました。


ハルブランドの屈託とナズグルと父子の関係


中つ国に戻ろうとしないハルブランドの屈託が描かれましたね。自分の過去を知ったら誰も王にしようとはしないと言っていました。サウロン側に屈することで生き延びたということかもしれません。

尚、ナズグルは「9人の人間の王」とありますので、ハルブランドが屈託の末にナズグルになることは十分あり得ると思います(私は覚悟しています)。
一方「シルマリルの物語」には、ナズグルは王だったり妖術師だったり戦士だったりしたとありますので(もちろん「シルマリルの物語」は今回は原作に入っていないけれど)、「王」だけとは限らないとも言えます。
ナズグルのうち3人は「黒きヌーメノール人」ともあるので、それが「ヌーメノールからきたハルブランド」とも解釈できるし、他にも候補者もいますよね…例えばファラゾーンの息子のケメンやイシルドゥルの友人も怪しいのでは…。


前回の第4話についての考察で「さまざまな父子の関係を描いている」というのを見聞きして、なるほどー!と思いました。

ドゥリン、エルロンド、イシルドゥル、ミーリエル、ケメンそれぞれ父親との関係が特徴的です。そしてオークにも「尊父」ことアダルがいます。(一方で人間のテオは父親がいない存在ですね。)(ノーリとお父さんは比較対象として一番「普通」の形として登場しているかも)

父子関係からくる勇気や拗れも注目したいところであり、そういう興味から、例えばやがてケメンがナズグルというのもあり得ると思うわけです。

尚イシルドゥルは相変わらずナイーヴで、今から指輪を失ってしまう未来を切なく予想できます。

サウロンの嘘はすでに始まっているのでは


それにしてもミスリルがシルマリルからできたという話と、それがないとエルフの命運が尽きるという話は、もしかしたら「ミスリード」ではないでしょうか?

その大きな理由の一つに、原作にない設定ということがあります。

そしてサウロンが指輪をつくるためにエレギオンのエルフ達をどう騙すか。もしかしたらここから既に嘘は始まっているのでは、とも思います。史実(原作)ではエレギオンはカザド=ドゥムのミスリルとの交易で発展するとされていますが、それが一つには「命運が尽きるかも」というフェイクに駆り立てられたエルフの危機感が原動力だったという解釈なら、まさに歴史の裏を読み解いてつくる物語として面白いと思います。

ガラドリエルの傍若無人と、エルロンド&ドゥリンが癒し


タイトルの通りです。ガラドリエルのワンマンぶりは徹底していて気持ちい。
また「エルフの運命が君の手にかかっている」の言葉ではにかんじゃうドゥリンのチャーミングと友情を大切にするエルロンドのいい奴ぶりは、今のところ安心して見ていられます。

またテオくんが勇敢なるお母さんブロンウィンをはじめとする人間側に残ったのも良かったですね。(おっと、彼はナズグルに陥る可能性もあると思っていますが。。。)

(日記:2022年9月25日)明日は新月です!


今回のnoteでパラ見した本


※まもなく出る新訳で「イシルドゥア」が「イシルドゥル」になるなど固有名詞が見直されたり、描写表現にも改訂が反映されるようですね。うーん、購入するか、どうしよう。

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