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そらむぎ通信 No.148 (2019.05)

祝「肥田先生のメディカルコラム」100回記念

肥田先生のメディカルコラム」は、平成22年8月から毎回掲載してきました。外来患者さんが読者ですので、薬の飲み方や頓服の利用の仕方、診察の受け方、「診察では、具合が悪いことだけでなく、よかったことも伝えてほしい」など医師は、診察でどんな情報を知りたいと思っているかなどなど診療に対する情報からスタートしてきました。

そして、その後平成23年5月からシリーズものへと移行していきました。「精神科リハビリテーション」「ヒジョーシキデイケア」「自助活動が必要なジジョー」と精神科のリハビリテーションの必要性や精神科のリハビリが目的としていることなどが続きものとして掲載されました。その後、「心理教育、家族教室」と家族講座や心理教育など当院が特に大事にしてきているものについて解説。平成25年1月頃からは、当時世のブームでもあった、「就労支援と自己決定」「恋愛 結婚そして出産」と続きます。就労支援に向けてどのように進めて行けば良いのか、支援者だけでなく、当事者たちがどう考えていけばよいかを紙面を通じて示していました。また、この頃当院でもデイケアメンバーたちの結婚ラッシュが続き、NHKの出演や雑誌にも掲載されたりと、恋愛や結婚が、当院でも世間でもブームでもあり、当院の取り組みが注目されました。精神疾患を持つものが恋愛、結婚、出産をどのように考えていけばよいのか、あきらめなくてもいいのだということ、でも、どんな注意やデイケアでどんな配慮をしているかなど恋愛のプロセスがわかりやすく解説されてきました。

その後さらに、「注射による治療」と続き、治療の方法の多様性や新しく入ってきた持効性注射剤を自分の治療として考える際に不安を減らし、可能性が広げられるような提案も示されてきました。

そして、現在の「精神科デイケアとは何か。精神科デイケアの本質とは何か」「牧人権力 見えない権力」「おもてなしの本質」とシリーズが続きます。
 最近のシリーズは、支援者向けでもあり、また当時者がどのように考えてリハビリを行っているのかを知ることは、リハビリは支援者から与えられるものでなく、当事者と一緒に考え作っていくものであることの観点からとても重要であると考えられます。
 ほんの少しの紙面ですが、とても内容の濃い、そして時代を反映している「ひだ先生のメディカルコラム」です。古い文献からの引用もあり少し難しく感じることもあるかもしれませんが、今のリハビリは単なる思い付きでなく、先人たちの知恵が現在のリハビリに生かされていることも伺い知ることができます。『精神科リハビリテーション スキルアップのための11講』というひだ先生のご著書があります。詳しくはこちらをご覧になると、さらに理解しやすいです。
この「メディカルコラム」が既成概念にとらわれない本当に意味のあるリハビリや治療について、主体者である患者さんたちと一緒に考えてける一助になればうれしい限りです。

スタディーシリーズが新しくなります

スタディーシリーズは、先の、「肥田先生のコラム」特集号にもありましたように、当院に通院されている方に診察室での診療にプラスして、医学的知識や必要な情報に触れる機会を増やしていくための講座です。ご自身の病気についての知識や情報を得ることで治療をご自信のものとして考えていく土台となっていくと考えています。さらに充実してリニューアルしました。ぜひ、ご活用ください。
スタディーシリーズは、毎週水曜日13時半~です。週ごとに以下ののように分かれます。それぞれが数回のシリーズものになっています。

第1水曜日:引きこもり当家族支援
第2水曜日:病気や治療についての知識
第3水曜日:ストレスマネジメントの認知行動療法
第4水曜日:症状とうまくつきあうために(心理教育)

引きこもり等、家族支援(毎月第1水曜日予定)
6月12日(水)13時半~「オリエンテーション」を実施します。
家族心理教育の先駆者でもある、池淵教授をお迎えして家族グループを予定しております。
ご希望の方は、ひだクリニック外来、宮崎、榎本、木村にお申し出ください。

病気や治療についての知識シリーズ(第2水曜日)
<統合失調症を理解するための講座>
7月10日、8月14日、9月11日の3回で統合失調症の理解や薬についてわかりやすく解説します。
*別紙申込書にてお申込みください。

この病気や治療についての知識シリーズはこの後、10月~発達障害、
1月~不安障害 4月~気分感情障害と続きます。

ストレスマネジメントの認知行動療法(第3水曜日)
5月22日、6月19日、7月17日、8月21日
現在3月からスタートしている講座の継続中です。
新規は9月募集予定です。

症状とうまく付き合うために(第4水曜日)
6月26日 るえか式心理教育(症状の理解)
7月24日 便利な制度
8月28日 るえか式心理教育(症状の対処)
9月25日 当事者研究
*別紙申込書にてお申し込みください。

肥田先生のメディカルコラム Vol.100

今回は通常のシリーズをすこし離れてみましょう。

通信コラムがはやくも100回を超えました。毎月追われるように書いてきましたが、100回分という分量はそれなりのボリュームですね。

このコラムではほとんど精神医学の中でも生物学的なものは余触れて来ていません。メンバーや患者さんのライフイベントのことや、精神科リハビリテーションのことに多くの回数を割いています。

実は精神科の外来診療はとても忙しいのです。多くの需要に応えるためにはどうしても医師の診察——それは基本ではあるのですが、時間をかける事は困難です。ある調査によれば一人当たりにかける事の出来る時間は「5分37秒」とされています。5分37秒————カップラーメンを作ることはできますが、食べ終わる事はできないような時間です。

そしてその時間では十分には話せないというような方も多くいらっしゃるのも事実です。そのために医師の診察以外の部分をどんな風にして治療や支援の中に取り込むのか、をずっと考えてきました。十分とはいえませんが、家族教室やデイケア、ピアスタッフの多くの雇用等がその顕れです。

昨年から、水曜日午後を使って「スタディーシリーズ」も整えました。たくさんの患者さんや家族、メンバーが医学知識や必要な情報に触れる事ができるようにしました。とはいえ、まだ充分ではありません。これからも時代時代のニーズにあわせた方法論を考えていきたいと思います。

100回目の節目に、ちょっと趣向のかわった内容にしてみました。2年目を迎え「スタディーシリーズ」、すこし改良していきます。どうぞ、このプログラムもご利用ください。

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外来にて、ミニ相談を随時受けております。ご希望の方は診察時に受付に
「相談希望」とお申し出ください。

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【休診のご案内】
 ひだクリニック:土曜・祝日 休診 
ひだクリニックセントラルパーク:水・土・日曜・祝日休診
                6月17日(月)は午前休診
急に具合が悪くなった場合は、主治医がいなくても応急対応をいたしますので、ご相談ください。休診の場合は、空いている方のクリニッで対応いたします。まずは、お電話にてご連絡ください。自立支援は登録医療機関のみご使用になれます。


【ご案内】
*日曜日の家族教室は、ひだクリニック3階るえかホール
にて行っております。
5月19日(日)10時~12時 家族SST
5月26日(日)10時~12時 ふぁみりーテーブル基礎講座
「家族が病気と付き合うために」臨床心理士 杉嶋洋子
6月 2日(日)「べてる式家族当事者研究」
6月 6日(木)18時~20時 クローバー土屋SST
6月 9日(日)10時~12時 わいわい講座 
「訪問看護ってなに?」すぴか所長 丁野雪子
6月16日(日)10時半~認知行動療法フォローアップ講座 ひだクリ


【編集後記】
長かったGWはいかがお過ごしだったでしょうか。私は実家の家の片付けに明け暮れました。そして、生きるためには多くのものは必要ないということを学びました。また、ちょっとしたものがリサイクルショップで売れ、物の価値とは何なのだろうと、考えさせられたりもしました。「バトンリレー」は紙面の関係でお休みしました。(み)



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