領域越境してデザインすることの意味 #02 THE GUILD勉強会「Design in Tech Report 2018 を読み解く」レポート

note枠で参戦したので、レポートを書いていきます!

Design In Tech Report 2018とは?

ジョン前田さんが毎年3月に発表しているデザイントレンドの総まとめ。

その守備範囲の広さと内容の深さから、多くのデザイナーに影響を与えています。

今回はTakramさんの協力によって、初めて日本語版がリリースされ、読みやすく、インタラクティブなフォーマットとなっています。

ジョン前田さんからのビデオレター

開始早々、Takram佐々木さんからビックプレゼント。

なんとDesign In Tech Reportの作者、ジョン前田さんから直々にビデオレターが!これは痺れます!

RISDの学長を経て現在はKPCBのパートナー、そしてAutomatticに所属し、デザインとテクノロジーの融合領域の第一人者として知られる前田さん。

そんな前田さん曰く、「私がコンピューテーショナルなデザイン領域を始めた時、こんな領域には誰も見向きもしなかった。今はデザインとテクノロジーとビジネスが溶け合って非常に面白い展開になっている。皆さんも一緒に頑張りましょう」とのことでした。

こんな事言われたらやるっきゃないっしょ!

という事で、今年のDesign in Tech Reportを振り返っていきます。

登壇者紹介


2018年度版の主要トピック

- Technology x Business x Design

- コンピュテーショナルデザインとは

- デザイン領域に潜むギャップ

- インクルーシブデザイン

など様々な議題がピックアップされていましたが、2018年は過去三年分の集大成ということもあって大ボリュームでした。

この中でも3つのスライドに焦点を絞って議論が進んでいきました。

テーマ①:デザインには3つの種類がある

Reportの中で、前田さんはデザイン領域を大きく3つに分けていました。

完成度が高く精巧なものを評価するクラシカルデザイン

顧客ニーズを掴み、ビジネス面を補完するデザイン思考

そして何十億もの見えないユーザーを相手にリアルタイムにデザインを行っていくコンピューテーショナルデザイン

中でも、クラシカルデザインコンピューテーショナルデザインの対立軸が話題に上がることが多く、両者の違いや、両者を越境する方法について、議論が深まっていきました。

テーマ②:コンピューテーショナルデザイン vs クラシカルデザイン

デザインの主戦場がクラシカルデザインからコンピューテーショナルデザインに移行しつつありますが、その中でお互いの領域に対する無理解や溝、摩擦があったりする、ということが、資料の中では述べられています。

その警鐘の意味を兼ねて、前田さんは敢えて、「クラシカルデザイン」という、挑発的な言葉を使っているのではないか。と深津さん。

(深津さん:以下 深)現状、2つの領域を行き来する方法が見当たらないというのが、互いの領域の理解が深まらない上での課題。

自分はGenerative Design領域の出身だが、その経験で形成された物理法則の世界観が、今、サービスをグロースさせる時に活きている。Processingのパーティクルの一つ一つがユーザーになったみたいなw
(松田さん:以下 松)CADや金型の分析作業はやっていてコンピューテーショナルデザインだと感じることが多い。自分はソフトウェアからハードウェアの世界にダイブしてカメラのレンズをデザインしたが、振り返ってみると、ソフトウェアの考え方や手法をそのままふハードウェアの世界に持ち込んでいた。

互いの領域によく分からないなりにまずは飛び込んでみること、その際に、自分が持っている知識とスキルセットを分解して再構築しながらうまく生かすことが大事とのことでした。

自信とモチベ、と言う観点での深津さんの鋭い切り込みもありました。

(深)「自信」というのも両者の間に横たわる根深い問題。
クラシカルデザインの人がコンピューテーショナルデザインに移行すると、今まで自分が作り上げてきた地位が崩れてしまうことが多い。自分のアウトプットが無慈悲に定量化されてしまう寂しさもあるし、自分が直接手がけたいところが手がけられなくなってしまうこともある。

クラシカルデザインとコンピューテーショナルデザインでは、デザイナーが楽しみを見出すポイントが違う
(佐々木さん:以下 佐)FBのシェリル・サンドバーグは「Facebookの仕事は市長になることだ」と言っていた。コンピューテーショナルデザインの人の特徴として、ルールをデザインすることを喜べるかどうか、と言うのはありそう。
上の3つの図の区分けはそのまま
design for people(クラシカルデザイン)
design with people(デザイン思考)
design by people(コンピューテーショナルデザイン)
と言い換えられることもできる

テーマ③:
異種格闘技場になったデザインスキルセットをどう磨いていくか

今日のデザイナーはデザインからビジネス、マネジメントまで非常に多くのスキルを求められるようになりました。終盤ではこのような状況で、TakramやThe Guildではどのような訓練・教育が行われているかが取り上げられました。

(松)これだけの量のスキルセットをフル活用できる領域はなかなかない。深津さんはどうやってこれだけの経験を積みましたか?

(深)学部は環境デザイン、院はロンドンでインダストリアルデザイン、日本に戻ってきてはFlash、iphoneが出てからはiphoneアプリと、たまたま色々な領域を流れてきただけ。
再現性高く、領域を横断した人材が生まれる方法論が必要。
(深)Takramではどういう人材教育をしていますか?

(佐)一人が2つの異なる領域をもつようになってる。学習習熟度に4つの段階を置いていて、自分がどのレベルなのか確認できるようになってる。

(深)THE GUILDでも複数案件同時進行してる。ここは共通してますね。複数案件をこなすと、視点を高速にスイッチすることになりますが、これが大事なのかもしれませんね。

(深)一方で複数をこなせばこなすほど、Deepな視点を失ってしまうということもある。



(深)自分でものを作って売ってみると、手っ取り早く上のスキルセットを習得できる。コミケでも、minneでもなんでもいいから、自分で作品やプロダクトを小さく作って売ってみる。すると何がお客さんを喜ばせるのか、がっかりさせるのか、どうやって在庫管理するのか、などなど一度に分かって良い。

Takramさんの4段階の評価指標というのが個人的にはとても気になりました。未知の領域を習得する時は、自分が知らない間にとても浅い領域を延々と彷徨ったりすることがよくあるので、明確に自分の位置が知れる指標があると効率的に学びを深めていけそうです。

質疑応答

領域を越境して学びを深めるには?

(深)デザイナーがエンジニアリングを習得するのは大変。なかなか目に見える形で成果が出ないことに耐えられないから
逆にエンジニアがデザインを習得するのは簡単。ルールを再構築することが情報デザインの基本なので。

(佐)Learn・Unlearnを意識的に回せるかが大事。自分がコンサルからデザイン領域に越境した時には、スキルを身につける以前に価値観を受け入れられない人が結構いた。

(深)クラシカル領域からコンピューテーしょなるデザインに移行したい人におすすめなマインドハックとして、CVRやKPIやABテストの結果みたいなデータは、一種の定規や治具だと思った方がいいです。

(松)一番早くアウトプットがでる領域から責めていくといいです

Inclusive Designに関してどう思いますか?

Inclusive Designとは?(=包括的なデザイン)
ユニバーサルデザインとの違いは、人がこぼれ落ちないことを目的にしているということ。慈善的な意味を持つ反面、ユーザーをこぼれ落とさないことで利益追及にもなる、という目的もある。
MicrosoftやIBM, AirBnBが支持している。

(深)Inclusive Designについては2つの疑問がある。
まず、Inclusive Designをどこまでの会社が実施すべきなのかが疑問。
もう一つは、相対的にInclusiveであればOKなのか、是なのか疑問。
例えばトイレは男女に分かれているが、othersという第3のトイレがあればそれでみんな幸せなのか
(佐)Inclusive Designを実行して利益のでる会社だけが実行している、というのは確かにある

Writingスキルが大事になっているという話があったが、これがどういう意味か

(深)写真の持つインパクトが大きいのだけど、テキストはその方向性を正してくれる、という意味で大事
(佐)新しい価値を作る上で、今までにない概念を上手にパッケージ化するツールが必要。そう行ったシーンで役に立つのが言葉。
(松)言葉は最速のプロトタイピング。タクシーで言い放った言葉が2ヶ月後に案件になることもある。


最後に

終了後、松田さんがTwitter上で自分の質問に丁寧に回答してくださっていたのでこちらを掲載しておきます

自分自身、UIデザインをこなす傍ら、木を削りだして雑貨を作ったりするのですが、往往にして、新領域ではツールを習得して満足してしまいがちな自分に気づきます。

ですが、単純にツールを習得して満足するだけではなく、その背後に潜む設計スキームのような発想・考え方もまた、領域横断させることによって大きな効果を発揮し得るのだと、松田さんの制作プロセスは教えてくださいました。

登壇者の皆さん、勉強会を開催してくださったスタッフ皆さん、本当にありがとうございました!



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