一歩踏み込んだユーザーリサーチを interaction18 参加レポ DAY1
1日目はユーザーリサーチに特化した講演が多く用意されていました。
Echo Lookや、警察車両用のアプリなど、過去にないユニークな事例やデバイスになればなるほど、エスノグラフィックリサーチのような、直接ユーザーの行動を観察するリサーチ手法が活きてくるという主旨の内容を、どのスピーカーも語っていました。
The Oppenheimer moment
Alan Cooper
初日はAlan Cooperのキーノートで始まりました。Alan CooperといえばVisual Basicというプログラミング言語の生みの親であり、人間中心設計の重要性をいち早く説いた人であり、パイロットでもあり(初めて知った)、今は奥さんと広大な農場で羊と鶏を買って暮らしている(これも初めて知った)ハイスペックなおじいさんです。マンハッタン計画を主導したオッペンハイマーの例を引き合いに、デザインがテクノロジーを正しい方向に導くためにAncestors Thinking(後世の世代にとって良い祖先であるための思考法)の重要性を提示しています。
From Blank page to WORLD STAGE
Cheryl Platz
http://www.cherylplatz.com/
コルタナなどのVUIを長年手がけていて、Amazon Lookのデザインを担当した人。最初のモデルは鏡に貼り付けるものだった、エスノグラフィックリサーチ(人の家に住み込みでタンス周りでの行動を詳細していたらしい)に投資せよなど、そんなに言って大丈夫なのかというくらいかなりぶっちゃけた開発秘話が聞けました。
Design Versioning
Pauline Gourlet & Louis Eveillard
https://latelier-des-chercheurs.fr/
パリの小学校でデザインを教えるワークショップをきっかけに、
“do・doc”という教育機関やメイカースペースなどで作られる作品をアーカイブするツールを手がけたデザインスタジオの話。教室やメイカースペースで作った全てのデータが溜まっていくようになり。教員と保護者とのインタラクションが増えたり、新しいコミュニケーションが創発されたとのこと。
TV is dead, long live TV! — Crafting compelling living room experiences
NYを拠点にデザインコンサルを行っているMolly Laffertyが
テレビの歴史やエスノグラフィックリサーチの調査結果に焦点を当てて、テレビの本質を考察する話。消費者ニーズを喚起するツールとしてのテレビは死んだが、特定のサービスにとってはリビングにおけるユーザーとの強力なタッチポイントとして存在し続けているという話。
Atypical user research for the Antwerp police force
Wouter Bridts and Joke Van Kerckhoven
Wouter Bridts & Joke Van Kerckhoven @Monkeyshot
アントワープの警察が車両の中で使うFOCUSというアプリを作った話。実際にパトロールに同行して見ると、外の光が反射して画面が見難かったり、車が揺れてタッチがしずらかったりする。そこで見る人の身長にかかわらず最適な画面角度を探したり、ディスプレイ上に日よけを置いて対処した。揺らしている画面の文字を読み上げたりタップしてもらいながら最適なフォントサイズとタップエリアを探していった→結局タップは難しそうなのでキーボードを設置してもらうようお願いした。など、具体的な活動が知れて面白いです
Making things unknown
原研哉
原さんが何を考えてMUJIというブランドを作っているか、大学での生徒の作品の話でした。simpleとemptinessという言葉を使ってブラックボックス化した日本のデザインの概念を紐解いていくのですが、神道の概念から丁寧に説明されていて、なるほどこう説明するのかと感激しました。
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