見出し画像

Earth240331の世界〜バンド結成

まさかの幕開けとなった2024年。あれやこれやが突風のように過ぎ去り、次のLIVEの予定はないけれど、まぁ無理せずぼちぼちやってもらえたら…なんてラボメンの思いをいきなり良い意味で裏切ってくれた「江﨑文武BLUE NOTEソロ初公演」のBIGニュース。1月を2秒で終わらせる男は、休む暇なく仕掛けてきます。

なるべくWONK本体に集中しようと心がけている私でも、これは!こんなめでたい瞬間には!お祝いに駆けつけたい!。

そんな訳で1st・2nd通しで見届けさせていただきました。2ndは臨時席で遠かったので、基本1stの記憶です。



1人で登場するのかと思いきや、いきなりトリオで登場。本人も”ソロ詐欺”とか”ソロ(トリオ)”とか自虐的に言ってましたけど、

アルバム「はじまりの夜」を丸々やる!

という、揺るぎない信念があったようで。「丸々」というのは語弊があるかも知れない。「はじまりの夜」自体がコンセプトアルバムであり、10曲でひとつの作品なので、この中から何曲かピックアップするということも、途中でMCを挟むということもあり得ないのです。

・・・ということを、私はこの日、やっと理解いたしました。この、”アーティストの哲学が不意に自分の中に落ちてくる瞬間”というものは、ほんとたまらないですよね。

(後日ラボの方で、開演前の円陣の掛け声が何だったのかが明かされましたね。もう…なんか、青春やなぁ!)

という訳で、最初から俊太郎さん&苑子さんはスタンバイされる訳ですが、2人とも何やら足元でカチャカチャしている。なんとそこにはエフェクターが設置されていたのでした。苑子さんはつま先の尖った靴だったんで、ペダル一つ踏むのも大変そう。手で押したりもしてたな。

文武先生はスタンウェイとローズが背中合わせにスタンバイ(演奏が始まってから、スタンウェイの上にはシンセもセッティングされていた事が判明)。その場を完全に支配していた去年の夏のソロとは雰囲気が違います。やっぱり緊張しているんだろうか。でも「頑張って!」と手に汗握って応援するのとも違う。なぜなら、彼自体は何度もこの舞台に立っているし、私たちも見てきているから。この緊張の半分は親友やご親戚がたくさん見に来られていたからということが、この後のMCでわかりました。

1stでは、文武先生の特徴的な背中を丸くかがめたりステージ奥に顔をやるスタイルが少なくて、ここでも通常運転じゃないなと。MCの度に立ち上がってたのも「ザ・発表会!」って感じで面白かったです(2ndは落ち着いたのか、ほぼ座ってMCしてた)。1stでは一曲が終わるごとに拍手がおこっていたのも特徴的でした。ある意味、曲間に拍手をする隙があったんですよね。曲が進むにつれその隙は埋まっていき、2ndでは「はじまりの夜」中の拍手が極端に少なくなってたのが面白かったです。

プレイ中の仕草で印象的だったのは、他の2人のことを凝視する瞬間が何度かあったこと。文武先生は2人よりも後ろにいるので、基本的にどれだけ視線で合図を送ろうが彼らが振り向かない限りは届かないのですが、気合いというか、天性のマエストロオーラというか、何かが作用するのでしょう。凝視した後には先生の思わく通りにお二人が音を奏でてくれるようで、ときおり満足気に”ニヤリ”とするのが、もうもう江﨑文武。WONKの時によく見る表情ですが、ソロでは珍しい気がします。

1st、「はじまりの夜」を全曲やり切ったあとのMCでは「去年からこの3人で何度も演奏を重ねていくうちにバンドっぽくなってきたなと今日感じた」と言ってたんで、楽譜を超えたフィーリングがあの”ニヤリ”だったのかもしれません。

文武先生がこのトリオをバンドとして認識しはじめたとなりますと、にわかに俊太郎さんと苑子さんの身を案じざるを得ません。文武先生が某バンドメンバーに対して行ってきたあんな無茶やこんな無茶が脳裏に浮かんでは消えていきます。

この「恐れていたこと」は1st本篇ラストで勃発します。

今回のLIVEではエフェクターを使ったりシンセを取り入れたり、電子的なアプローチをすることにした文武先生ですが、さらに2人への課題として1曲ずつ作曲を依頼したとのこと。もちろん、急遽です。文武節全開。

まずは俊太郎さんの曲からとなりましたが、ここでも俊太郎さんに曲の解説をするよう急に振る悪武先生。マイクは今、あなたが手にしているやつしかスタンバイされてないんですよ。微妙にコードの長さが足りず、無理矢理な体制で説明させられる俊太郎さんでした。当日のセトリに書かれたタイトルは「俊太郎さんの曲」的な感じだったそうですが、仮タイトルとして「モンタージュ」を考えているとおっしゃってました。

1stは、俊太郎さんの音が直に降り注ぐかのような夢心地の席だったのですが、俊太郎さんのブレスが聞こえてきてびっくり。弦楽器なのに、ブレス位置があるんです。一息で弾ききって表現する方法があるんだなぁ。おもしろい。演奏が終わった後にも何か質問されて、バイオリンに装着したマイクで返事してたの、可愛すぎました。

苑子さんの曲は、なんとルーパーを使ったアグレッシブなもの。フレーズを弾ききって即座にルーパーをバシッと踏む様がめちゃくちゃカッコ良かったです。始まる前にエフェクターを準備してる時は踏みにくそうにしてた人と同一人物とは思えません…

そしてこの曲の時の文武先生がヤバい。なんと椅子に馬乗りになってスタンウェイとローズの両弾きです!ひょええええええ〜!特に右手は見てなくても難なく指が動いていて、マジ音楽の神現る!って感じでした。ところが2ndでは配信に遠慮があったのか馬乗りをやめちゃいましてですね、世にも奇妙な体勢で二刀流されてましたね。特にローズからシンセに移る時なんて、何度も振り返ってキーの位置を確認しててハラハラ。でも、そんな仕草もこの曲の雰囲気に合ってて、なんとも言えぬセクシー先生でした。

さて、MCに入るたびに感謝と感慨深さと気恥ずかしさとトリオ編成への思いをたくさん語り尽くす文武先生ですが、ここで最上級にエモい話題に入っていきます。LIVE前日に放送され、そのまた前日には超大作のサントラがリリースされた「黄金の刻」の劇伴についてです。ここでも文武先生の思いが胸いっぱいに込み上げてきているのがひしひしと伝わってくるぐらい、熱く語っておられました。

俊太郎さんと苑子さんの曲も確かに本邦初公開で貴重な体験だったんですが、「黄金の刻」のメインテーマの初生演奏を聴けたことは、この上ない幸せでした。1stに参加できて良かった!時計の鐘のような余韻が音源よりもはっきりと聴こえたアウトロ、素晴らしかったです。

そしてここでスペシャルゲストとして、藝大同期の上野耕平さんが、にこやかに登場。お話も上手だし、客席へのアイコンタクトが凄まじい。和やかな雰囲気なのに醸しだされるオーラがヤバい方でした。「Facebook が12年前の投稿をオススメしてきて…」みたいな話をしている時に、同じく同期の苑子さんが「えっ…もう12年も経ったの?!」と、時の流れにショックを受けてたのも可愛かったです。

上野さんと演奏したのは、文武先生が特に気に入っていて、ドラマでもたくさん使ってもらえて嬉しかったという「慕情」。上野さんの一音目で、これまた凄い衝撃が。音源と全く同じ音がする…どこをどうやったら、こんなに丸いあったかい音が出てくるんだろう…。そして演奏が始まってから気づいたんですけど、上野さんの手、めちゃくちゃ大きい!ちょっと異様なくらい。天性のものもあるだろうけど、これまでの努力の積み重ねの賜物だろうなと感じました。曲の終わり、他の楽器の音が小さくなっていくのにご自身の音色を合わせてらしたんですけど、そのコントロールが完璧すぎて、これまた驚愕。ここ、言葉で説明難しいんだけど、とにかく、マジで、あの人ヤベェんですっっっ!!!

上野さんがはけて、まだひとしきり彼との思い出話をしつつ、時計をチラッと見たマエストロ。一瞬ひきつった表情を見せつつ、俊太郎さんの前にセットされたセトリを覗き込む。

さては…時間が押してるな。
いま、どの曲をカットするか決断したな。

しかし、彼と俊太郎さん&苑子さんの間にはスタンウェイの立派な本体がありますのでその事を伝える術はありません。

多分ですが、「察してください」と言わんばかりに、分かりやすく聴こえるようにイントロを始めたんじゃないでしょうか。文武先生の精一杯の優しさです。でも、このイントロ中の苑子さんの目の見開きようったらなかったですよ。何度も何度もご自身の手元のセトリに目をやり、一生懸命、現状を把握しようとされてる姿が忘れられません…「ひょっとして、ひょっとして、ひょっとして、カットした?!」と隣に目をやる苑子さんを、既に悟りの境地にいち早く到達していた俊太郎菩薩は最上級の慈愛に満ちた瞳で「うんうん」と落ち着かせてあらしゃいましたよ。

ようこそ、文武バンドへ!
そのうち、どう入ったらいいかわからないような魔改造イントロも弾いてきますよ。おきばりやす…

(ちなみにカットされた曲は2ndでのみ演奏された2曲だと予想されます。その代わりとして、2ndはアンコールをカットしたと思われ)


アンコールのMCではマネージャーさんがタイムキーパーの如く横で見守ってらっしゃいました。本当に時間がヤバいらしい。本人は「はじまりの夜」をやったのが原因と言ってましたが、感謝の言葉がとめどなく溢れてきてMCが長くなっていたのもまた事実。


年度末、色んな人生の転機を抱えながらもたくさんの人が祝福に集った南青山の中心に、今日という日を噛み締める1人の男、江﨑文武。

この日、彼が口にした「ありがとうございます」「感謝しています」は何回になっただろう。何回深々とお辞儀をしただろう。本当はここに居てほしかった、この姿を見てもらいたかった人への思いもあるだろう。2ndのMC。それまで真っ直ぐな感謝を述べていた彼の口から、それでも辛く苦しい時期があった事がついに溢れ始めた所で堪えきれなくなりまして、もう号泣です。文武さん!いやぁ、もう、本当に…今日という日を迎えられて、良かった…



1st
薄暮

夜想
抱影
陰翳礼讃
果敢無い光線
常夜燈
きょうの空にまるい月
薄光
朝日のぬくもり
モンタージュ
Abyss
黄金の刻 メインテーマ
慕情 feat.上野耕平
Finale
<EC>
朧月夜 feat.上野耕平


2nd
薄暮

夜想
抱影
陰翳礼讃
果敢無い光線
常夜燈
きょうの空にまるい月
薄光
朝日のぬくもり
モンタージュ
Abyss
黄金の刻 メインテーマ
慕情 feat.上野耕平
Small Prelude
Jardin
Finale

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?