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部下のストレスを、君はマネジメントできているか?

社長の愛人2号疑惑の消えぬ佳乃2号ーー。彼女をキャストとする「湯けむり蕎麦打ち」企画に向かったお嬢と新人Boy氏。ヒルズ氏は、上司の立場として申し訳なく思いつつ、二人を送り出すのであった(前回


諸君、遅くなったが2019年もよろしくお願いしたい!
さて、話は年末にさかのぼる。本来なら温泉がとても楽しい時期なのだが、全く行きたいと思えない今日この頃。おや、ついに二人が帰還したようだな。何やらヒットポイントを随分奪われているようだが、、、

◆傷だらけの帰還

「つ、疲れました、、、」

両手いっぱいに荷物を持ち立ち尽くす新人Boy氏と、生気のない顔でぼんやりと宙を見るお嬢氏。

「湯けむり蕎麦打ち」企画に旅立った翌日午後、ようやく二人が帰還した。昨夜は特に業務連絡もなかったが、うまくいったのだろうか。

「いやーほんと、、、お疲れさまです」

精一杯のねぎらいの言葉を投げかけ、取材の様子を聞こうとした時だ。


「いっやぁぁぁあああああああ!」


お嬢が、発狂した。


ーーー

「落ち着いたかい?」

このクソ忙しい時に?という思いをこらえ、二人に3段階ほど上のねぎらいを与えるべく向かったのはリッツ・カールチョンのアフタヌーンティー。

ここなら他の社員にみられることもない、誰にも邪魔されず二人と話ができる。問題はやたらスイーツ占有率が高いこのアフタヌーンティーセットだ。もう少しサンドイッツ系を増やしてほしいのだが。

ティーセットに不満を向けている間に、穏やかなピアノの演奏に正気を取り戻したのか、ぽつりぽつりとお嬢が話し出した。

◆想像以上の佳乃2号

ご存知の通りストレスマックスの状態で現場に入ったんですが、途中まではね、私も耐えていたんですよ、えぇ。そもそも我々の立場は同行ですし、口出しするのもおかしな話でして。でもね、、、

「わぁ、見てください!すごいー」
「こんなお蕎麦、食べたことなーい」

取材に繰り出し、発覚してしまったことがあるんです!
あの自信満々だった佳乃2号さんね、、、

想像以上に!

棒読みなんです!!!


「うーん、もうちょっとオーバーに感情込めてくれないかな? そう!オーバー気味に!」

さすがにこれはまずい、、、現場を仕切るスタッフも焦りを覚えたのか、やんわりと指示を出すものの、出来ないものはできない。

「えーお饅頭あんまり好きじゃないですぅ」

にもかかわらず連発される我儘に、悪化する協力店舗と現場の空気。温泉街でお饅頭好きじゃない宣言は自殺行為に等しいのだが、本人は一向に気にする気配がない。

佳乃2号のマンガのような我儘っぷりと仕事のできなさーー。紅茶を飲みつつ現場を想像するとちょっと、いやかなり笑えるが、間違っても笑っちゃいけない。気を引き締め、お嬢氏の話に集中する。


◆不満が向かう先

当然のことですが、取材が終わり温泉へ向かう頃には、現場は最悪の雰囲気になってしまいました。

「ねぇ、なんとかならないんっすか?」
「あのモデル、御社が選んだんですよね?」

そして矛先は私たちに向かいだしたんですーー。


あぁ、そうか!
佳乃2号、弊社社長の紹介ってことになってたっけ。2人が置かれた立場にようやく気が付き頭を抱える。しまった、私の根回し不足だ。現場には実際のところをやんわりと伝えておくべきだった。

私の動揺を他所に、静かにマカロンを食すお嬢。
溢れ出る哀愁がストレスを物語っている。

あの女は社長の愛人みたいな人っす!なーんて二人もさすがに言えなかっただろう。よく耐えてくれたものだ。ねぎらいはアフタヌーンティーごときで良かったのか、段々と不安になってくる。


話を区切り、アフタヌーンティーに集中しだしたお嬢氏を見て、新人Boy氏が話しだした。

「我儘くらいなら僕らも耐えられたんです」

言いづらいんですが、、、
前置きをし、続ける。


「実は、お嬢氏さんへの個人攻撃がありまして」


新人Boy氏の言葉に、思わず目を見開く。

ピアノの演奏が、止まった。

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Twitter: @soremajide

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