【考察】VIVANTが最終回も視聴率20%を超えられなかった4つの理由
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【そもそもVIVANTの視聴率は低いのか】
TBSのドラマVIVANT(ヴィヴァン)の最終回視聴率が19.6%と発表されましたが、想定より低いのではないかという意見がネットであがっています。実際、私も「意外と低いな」と感じた一人です。
というのも私はVIVANTに釘付けとなり、考察班のYouTube動画を漁るなど、別班に入り浸った3ヶ月を過ごしました。
ですから、期待ほどの視聴率に届かなかったことを批判したいわけではありません。
むしろ、こんなに壮大なドラマがどうしてもっと視聴されなかったのかが不思議で、その謎を解き明かしたいと思ったのです。
ということで私の最後の考察を始めていくわけですが、まずは本当にVIVANTの視聴率が低いかを確かめたいと思います。
2020年以降のTBSの日曜9時に放送された主なドラマの視聴率は以下のとおりです。
・半沢直樹2(2020年):平均24.8%、最高32.7%
・天国と地獄(2021年):平均15.3%、最高20.1%
・ドラゴン桜(2021年):平均14.8%、最高20.4%
・日本沈没(2021年):平均15.7%、最高16.9%
・DCU(2022年):平均14.5%、最高16.8%
2020年〜2021年にかけてはコロナウィルスの流行によって外出を控える人も多く、視聴率が高まりやすい環境にあった可能性もあるため、単純な比較をすることはできません。
しかしあえて数字だけ見ると、過去3年のドラマと比較してVIVANTの視聴率が高いとは言えません。
堺雅人・阿部寛・二階堂ふみ・二宮和也・役所広司といった大物を揃えても視聴率が伸び切らなかった理由として以下の4つがあるのではないかと考えています。
①初回の視聴率が低すぎた
②家族で視聴するにはハードルが高い
③登場人物が多く、名前も似ている
④視聴者にとって絶対的な味方が一人もいない
「は?」と思われた方もおられるでしょうが、一つずつ解説していきます。
【原因① 初回の視聴率が低すぎた】
VIVANTは初回の放送前にキャストのみを発表し、役柄やストーリーは一切明かさないという戦略を取りました。ドラマの情報を明かさないことで、新鮮に受け取ってもらう狙いがあったとされています。
その結果、視聴者の満足度を高める効果があった反面、1話目の視聴率は11.5%と控えめな数字になりました。
VIVANTは初回がもっとも濃密に作られています。家族や友人に「VIVANTの1話ってどんな話だった?」と聞かれたとしても、伏線や登場人物が多すぎてなかなか説明できないはずです。
2話から気軽に参加しにくいというVIVANTの性質上、初回の低視聴率が最終回まで響いたと思われます。
【原因② 家族で視聴するにはハードルが高い】
高視聴率を記録する条件として、「老若男女を問わず見られる、全世代・全人口を対象としたドラマである」ことが挙げられます。
しかしVIVANTは字幕の多さから、全世代が対象とは言い難いドラマでした。
使われている漢字や語彙のレベルを鑑みるに、小学生にとっては理解が難しかったのではないでしょうか。
小学生と一緒に見るとなると、漢字の説明をしてあげる必要があり、だったらリアルタイムではなく録画でゆっくり見ようという動きになりやすかったと思われます。
【原因③ 登場人物が多く、名前も似ている】
VIVANT公式サイトには43人の登場人物が記載されているよう、登場人物が非常に多くなっています。
これは商社・公安・別班・テントという4つの組織でそれぞれ複数の構成員を登場させたこと、裏切り者を視聴者に予想させないように怪しい人物を複数用意したことなどが理由です。
その結果、登場人物の数が膨れ上がってしまい、「この人誰だっけ?」などと視聴者が混乱しやすい状況になりました。
また、一人ひとりに焦点が当たる機会が少なくなるため、「ジャミーンや柚木が活躍するシーンがもっと欲しい」「撃たれただけの別班が4人いる」「サムはもう出てこないの?」など、モヤモヤが残る視聴者もいたようです。
加えて、主要人物である乃木(のぎ)・野崎(のざき)・柚木(ゆのき)は名前が酷似しています。
柚木の過去が明かされていないことを踏まえると、名前が似ているのは次回作以降の伏線である可能性があります。(自分の名前が分からないときに「You Nogi」と言われたことが「Yunoki」に聞こえたなど)
ただ一般的には、視聴者に分かりやすいようメインキャラクターの名前を全く違うものにするため、こんがらがってしまう視聴者も少なくなかったはずです。
こうした「難しさ」が視聴する層を狭めたと考えられます。
【原因④ 視聴者にとって絶対的な味方が一人もいない】
VIVANTは誰がどこの組織に所属しているのか、裏切り者は誰なのかを推理させることで視聴者を楽しませるドラマでした。
しかしその結果、「このドラムの笑顔も嘘なんじゃないか」「感動の涙の裏で何か企んでいるんじゃないか」などと疑心暗鬼になってしまい、感情移入が難しくなった人も少なくないはずです。
感動するシーンで感動しきれない、怒りたいシーンで怒りきれない、というのはこれまでのシンプルなドラマを好む視聴者にとってストレスでしょう。
特に日曜は半沢直樹のように明確な敵を倒してスカッとしたい方も多いため、常に裏切り者を探し続ける緊張感を敬遠する層が一定数いたと考えられます。
以上、VIVANTの視聴率が控えめだった原因について考察してみました。
もちろん視聴率が全てではありません。VIVANTは視聴率では測れない魅力があると思います。
これほど濃密なドラマを制作してくださった関係者の皆様に感謝です!
記事が面白いと感じた方はご支援いただけると幸いです。(記事に続きはございません)
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