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宿選びはレビューにあらず。 《夫婦世界一周紀28日目》

小鳥のさえずりで目を覚ます。木漏れ日が乾いた地面をゆらゆら照らしていて、その場所はリスの遊び場だった。ロシアで見たのとは違って、小さくて細長いリスが楽しそうにヤシの木をのぼったり、飛び降りたり。宿主の家族の家にはおばさんとおじいさんが住んでいて、ご飯の余りを庭の真ん中にある餌箱にお供えしていた。小鳥やリスの憩いの場所になっている。

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幅広い布で作られたウッドチェアに腰を下ろし、バナナを食べながら小さな庭に生まれている秩序を観察する。時々顔にそよぐ風が気持ちいい。

スリランカに来てからはじめての静寂だった。この宿はゲームのセーブポイントみたいな感じで、その場所に留まっていれば自然と体が癒されていく。

レビューを見れば宿選びは大丈夫という先入観は、埼玉の田舎で住むようになってから無くなった。そもそも田舎の店にはレビューを上げる人がいないのだ。それは世界の宿も同じと言える。日進月歩で急速な発展を遂げたスリランカのような国では、宿の数は多いがレビューが無い。フウロが見つけたこのMNHOUSEという宿もレビューは1件しかなかったし、検索結果にも上がってこなかった。

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外に出ることが出来ない今、旅をできること自体に価値が生まれつつあります。僕たちが見てまわった世界はもうないかもしれないけれど、僕らが家にいる時にも世界は存在していて、今日もトゥヴァだってニウエだってある。いつか全てが終わった時に、あそこに行きたいと思ってくれる人が一人でも増えたらいいなと思って、価格を改訂しました。 無料で公開したかったのですが有料マガジンを変更することが出来なかったので、最安値の100円に設定しています。

2018年8月19日から12月9日までの114日間。 5大陸11カ国を巡る夫婦世界一周旅行。 その日、何を思っていたかを一年後に毎日連載し…

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