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スリランカの緑を歩くのをやめた。 《夫婦世界一周紀23日目》

歩こう歩こう わたしは元気 歩くの大好き どんどん行こう 

となりのトトロの舞台は地元だ。さつきとめいちゃんが歩いた場所みたいなところは今でもしっかり残っている。長野や新潟のような強烈な緑の深さとも、雪国秋田ような厳しい強さとも、沖縄の自由奔放さとも違う、埼玉に広がるうっそうとした緑。とおり雨が降って苔むした緑を見るとほっとする。危ないものはスズメバチとヤマカガシくらいで、危険な目に合うことはなかった。子供のことはずんずんと前に進む兄の背中をいつも追いかけていた。すぐ迷子になって怒られたりもする。めいちゃんを見ると、子供の頃の僕と重なってなんだか色んなところがかゆくなる。

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キャンディに広がる緑は、どこか埼玉の緑を思わせるところが多かった。標高は高く乾燥していたが、親近感がある。宿は中二階のようになっていて、下には小川が流れていた。わしわしと生えた緑を見て、ここの水を使って紙を漉くのもいいなあと思っていた。

宿からキャンディの紅茶博物館までは数キロだった。トトロさながらに散歩をして向かうことにする。フウロが外に出てくるのを待って、なんとはなしに下の小川を眺めていた。雨がほとんど降らなさそうな地域でも、小川はずっと流れているのだ。この小川の水が紅茶をおいしくするんだなあと思っていると、止まっているはずの視界に違和感を感じた。何かが変化している。

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外に出ることが出来ない今、旅をできること自体に価値が生まれつつあります。僕たちが見てまわった世界はもうないかもしれないけれど、僕らが家にいる時にも世界は存在していて、今日もトゥヴァだってニウエだってある。いつか全てが終わった時に、あそこに行きたいと思ってくれる人が一人でも増えたらいいなと思って、価格を改訂しました。 無料で公開したかったのですが有料マガジンを変更することが出来なかったので、最安値の100円に設定しています。

2018年8月19日から12月9日までの114日間。 5大陸11カ国を巡る夫婦世界一周旅行。 その日、何を思っていたかを一年後に毎日連載し…

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