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おいそれと スリランカ 《夫婦世界一周紀20日目》

大陸を隔てて一番感じるのは空気の変化だ。羽田から沖縄に降りた時に感じるあの感じを何倍にも濃く、強くした空気の変化を強烈に感じる。

その空気を演出するのは大気ではなく、人の気配だ。冷徹の国から微笑みの国へ、そしてスパイスの国へと渡って、明らかに空気が変わった。肌の色が黒くて、表情はたいていむっつり、曇って見える。笑顔にこぼれる歯の白さが陽気というよりも、怖いものに映った。

バンダラナイケ空港に着いたのは夜中の12時を回ろうとしている時だった。空港から最寄り駅までは車で10分以上かかる。Wi-Fiが弱いスリランカでは、世界一周ではじめて格安SIMを注文することにした。人生はじめてのUBER利用はスリランカ。はじめてが目白押し。

宿の最寄りに降ろされたが、その場所に宿の姿はなかった。真っ暗闇に遠くから波の音が聞こえる。途中の道にはよだれを垂らした野良犬がたむろしていた。タイですっかりゆるんでいた緊張の糸がピンと張り詰め、べったりと肌に吹き付ける多湿の風を浴びて体全体が汗に覆われる。

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外に出ることが出来ない今、旅をできること自体に価値が生まれつつあります。僕たちが見てまわった世界はもうないかもしれないけれど、僕らが家にいる時にも世界は存在していて、今日もトゥヴァだってニウエだってある。いつか全てが終わった時に、あそこに行きたいと思ってくれる人が一人でも増えたらいいなと思って、価格を改訂しました。 無料で公開したかったのですが有料マガジンを変更することが出来なかったので、最安値の100円に設定しています。

2018年8月19日から12月9日までの114日間。 5大陸11カ国を巡る夫婦世界一周旅行。 その日、何を思っていたかを一年後に毎日連載し…

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