先生と私

先生と私_第26話「味を楽しむ練習」

  味を感じたいのです。

先生 ほう、今回のお題は「食」でしょうか。

  食事の時間、ふと気づいたのです。テーブルの上に置かれた、異なる素材・味付けの品々を口に運ぶと全てが「美味しい」という単純な言葉に集約されてしまうことを。何も考えずに体内に取り込んでいただけなのだと。

先生 大抵の人は飲食に対し「美味しい、不味い、また食べたい、今度は友達・家族と来たい」程度しか考えないでしょうね。味覚を研ぎ澄まし言語化する。食に限らず、感覚に幅を持たせることは人生を豊かにします。

  味を感じる練習第1回目として本日は居酒屋で夕食をとります。カウンター席より、揚げ出し豆腐、アサリの酒蒸し、ゲソ揚げを注文しました。

先生 Soshina君はどこにでも1人で行きますね。現代の恋愛・家族・友達などの絆宗教に熱心な人であれば居酒屋ボッチを不幸に感じることでしょう。不慣れな人だと居心地が悪くて味を感じるどころじゃなさそうですね。

  複数人で食事をすると食へ注ぐ集中力が中途半端になるので、集中できる環境を作りたい時は必ず1人で行きます。

先生 環境づくりは大事ですね。その料理がなぜ美味しいのかを掘り下げることで、素材の特定や調味料の比率も段々とわかってきます。例えば、珈琲を飲んだときに「これはコロンビア特有の香りと酸味があって余韻はナッツがー」や「これは○度以上で抽出したから苦味が強くー」と感じて言語化、発信することが出来れば、それに共感した人々が「この人わかってるな、おすすめの珈琲教えて欲しい」と歩み寄って来ます。それが繰り返されればそのジャンルのコミュニティが生まれ、生活の幸福度の増幅に繋がります。

  最初は、苦い・甘い・熱い・冷たい、といった小学生くらいの感想で良いと思ってます。それすらも今日までまともに出来ていなかったのですから。

先生 そうですね。専門家のような抽象的表現を最初から目指すとストレスで続かなくなります。そもそも抽象的表現とは具体的表現の後に付いてくるものですから。徐々にスキル向上されていくと良いでしょう。今食べ終わったアサリの酒蒸しから感じたことを簡単な言葉で列挙してください。

  小葱が散りばめられていた、アサリが透明な液体の中に沈んでいた、熱かった、海水の味がした、酒(?)っぽさを感じた、他店のものより塩気が薄いが私には丁度良かった、甘みがあった、です。

先生 その調子です。今の感想には視覚情報も入っていましたが、見る習慣をつけることも大事ですね。大抵の人は「アサリを食べた」と認識が出来ても、その料理の特徴までは捉えられずに終わります。感想を言うことはそれらを見過ごさない一つの方法です。見過ごさない癖がつけば、普段見過ごしがちな小さな変化にも気付きやすくなります。あと、気前の良いマスターであれば「味を感じる練習をしてるのですが、この料理は醤油を結構使っているのでしょうか?」等と質問の投げかけにも挑戦してみてください。「お、この客ちょっと面白いな」と思わせたら面白い情報にありつけますよ。

  それは難易度が高いです。


おわり


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