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物語・散文・掌編・日々のフィードバックなど。 ■ https://note.com/1…

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物語・散文・掌編・日々のフィードバックなど。 ■ https://note.com/1103o もうひとつの創作と雑記 ■ https://note.com/hazamasiki 物語詩

マガジン

  • 『Parallel Method』

    制作中。掌編連作三部作。現在公開しているのは「プロトタイプ本編」と呼んでいる、物語全体の大まかなまとめです。

  • 掌編・短編

    製本されていたり、されていなかったりする掌編や短編のまとめ。

  • 『亞莫 ─明滅する存在との接続試行─』制作記録

    2021年6月より、5~10年程かけて研鑽を積みながら制作予定の画文複合体『亞莫(アナ)─明滅する存在との接続試行─』制作計画。テクノ・ファンタジー。SFの微香。詩的幻想譚断片集。

  • ─素敵な作品群─

    何度も読み返す作品群や創作企画等のブックマーク。創ってくださって有難うございます。

  • 構想・考察

    物語のアイディア、キャラクターや制作物に関する構想/考察/記録

最近の記事

  • 固定された記事

記録をする。忘れないためではなく、忘れることを前提として。記録は記憶の次に尊ばれる。 記憶は木材、過去になったばかりの樹木。記録は書物、気の遠くなるほどの過去もその身に甘受する樹木。

    • 💎小話 『Parallel Method』

      「幽霊には倫理がないし人の法なんぞで裁けないが、境界の侵犯には敏感。そんな世界でにやにやしつつ悪さをしたところで誰にも気付いてもらえない何者かと、気付いてしまった誰かさんのお話。」 ---  幽霊の影は白い。ちょうどこんな白さだ。ほら。忙しない朝、子どもが親に振り向いてほしくてミルクの入ったコップを倒した。花柄のテーブルクロスには透明なビニールシートがぴっちりと重ねてあって、ミルクは滑らかに表面を滑り、流れの一部が勢いよく床に落ちていく。  影はそんなふうに地面に染みつ

      • 『Parallel Method』の読者のための補足

         『Parallel Method』(以下:本作)はフィクションである。 本作は、独自の時流から現実世界へと接続したとして〈自らをノンフィクションと主張する物語〉である。作中、読者にそれについて肯定あるいは否定を要求する言及がなされるが、無視しても応じてもかまわない。  〈灰色の街〉の文化の発展は、定常な時間経過の法則を無視している。  〈核暦〉という暦で、10年ごとに年頭を区切る。幻子時核の発見による学術的な世界認識の更新が由来である。  本作には、人類が約8千年の眠りに就

        • EP. working memory〈GHOST with HUMAN 8910〉の結成、あるいは出現に関するポートレート

          EP. working memory 〈GHOST with HUMAN 8910〉の結成、あるいは出現に関するポートレート。 (GwH、自創作バンド1周年記念) 1.雲の上 往来に見果てぬほど高い梯子がかかっていた。子どもは、青年は、老人は、そして狼人は、それぞれに上り、雲の上を見た。  〈灰色の街〉では見たこともない明るい青空だ。もちろんそこは死者の国ではない。かれらは梯子を降り、また街に戻った。  誰かが来れば必ず痕跡が残る。子どもが上げた歓声。青年が落とした目の鱗。

        • 固定された記事

        記録をする。忘れないためではなく、忘れることを前提として。記録は記憶の次に尊ばれる。 記憶は木材、過去になったばかりの樹木。記録は書物、気の遠くなるほどの過去もその身に甘受する樹木。

        マガジン

        • 『Parallel Method』
          8本
        • 『亞莫 ─明滅する存在との接続試行─』制作記録
          7本
        • 掌編・短編
          23本
        • ─素敵な作品群─
          57本
        • 構想・考察
          8本
        • ─外記録アーカイヴ─
          15本

        記事

          「火の輪」(2013.9)

          過去作掌編「火の輪」を当時使っていたPCからサルベージしました。画像お借りしました、有難うございます。 ----------  薄野原には風だけがある。なにかが焦げるにおいがかすかに運ばれてくる。  走ったせいで、息が切れている。腕にも脚にも、薄に擦れてできた浅い切り傷が無数にある。薄皮を切っただけらしく、血は出ていない。上気した膝小僧がほのかに赤い。  狐はどこまで走っても目の前に居た。 「輪にどうぞって誘ってもらえたんだよ、さっき」 「分かってるよ」 「聞こえないふ

          「火の輪」(2013.9)

          イヴィによるインタビュー記録(サファイア・ゴースト×キソ研究主任) 【EVYシリーズ完結】

          添付ファイル - 『唯一絶対なる存在の確信にいたるまでのキソ的展望』 キソ(以降K):それでは始めます。まずは、『NO EXISTS!』公演お疲れさまでした。ご多忙のところ、非公式のインタビューに応じていただき有難うございます。 サファイア・ゴースト(以降S):お疲れさまでした。お礼と謝罪を申し上げるのはこちらのほうです。知らなかったとはいえ、大変な事情がおありの時に臨時スタッフとして招聘する形になってしまって。 K:その件については問題ございません。むしろ、今回こうし

          イヴィによるインタビュー記録(サファイア・ゴースト×キソ研究主任) 【EVYシリーズ完結】

          唯一絶対なる存在の確信にいたるまでのキソ的展望 【EVYシリーズ2】

          添付ファイル - 『イビくんの認識相乗実験に関する結果報告と個人的なポートレート』  キソ。  私の名だ。本稿に添付した兄の研究報告レポート──正確には、兄の旧友であり、我が師でもあるナガラさんが兄に宛てて書いたポートレート……これも今のところ正確な表現ではない……──の内容と混同する恐れがあるので、確認のために記す。  キソという音は、基礎とも書き表せる。私は自分の名前と、私自身のことをまずまず肯定的に捉えている。  そして、自己とは何かという根源的な問いに対しても、「

          唯一絶対なる存在の確信にいたるまでのキソ的展望 【EVYシリーズ2】

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          〈puzzlyze〉まとめ

          〈puzzlyze〉まとめ

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          〈GHOSTwithHUMAN8910〉まとめ

          〈GHOSTwithHUMAN8910〉まとめ

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          イビくんの認識相乗実験に関する結果報告と個人的なポートレート 【EVYシリーズ】

          1.経緯  イビくん。  これは呼びかけではなく確認である。  イビくんは、自らの実体の存在を疑っていた。  たとえば、林檎を手にして、齧る。林檎を齧った形跡は残るが、「林檎を齧った自分」はもうそこには存在しない。林檎を齧っている様子を写真や動画で撮影したものを見せられたとしても、それは「写真や動画を見ているイビくん」と同一ではない。  あるいは、鏡を見つめながら林檎を齧ったとしても、「鏡を見ているイビくん」を見ることはできない。「鏡を見ながら林檎を齧っているイビくん」と「そ

          イビくんの認識相乗実験に関する結果報告と個人的なポートレート 【EVYシリーズ】

          『氷山の1.8910402角』

          --- 「氷山の一角には厳密な定義があります」  チャンネルを変えると、抑揚を制御した声が深刻そうに述べていた。 「具体的な数値は場の幻質によって変化しますが、原則として、存在量(パラディグニティ)を超立方体に一般化します。基準となるのはn次元の正八胞体です。16個の点を頂点とする正八胞体の中に点Pをとり、求める対象と、正八胞体の各胞に関するPの対象点に共通する超体積、それが従来の1パラディグニティ(1pdi)とされていました。虚幻界を除く現慣性系の時象学では通常、氷山

          『氷山の1.8910402角』

          『亞莫』に関する記録3:「parallel method tanka」

          Twitterアカウント@04_110301は詩作アカウントです。

          『亞莫』に関する記録3:「parallel method tanka」

          『後日譚 ジルコンの追憶』

          『宝石の狩人』https://shindanmaker.com/a/1082114 『血を吸う宝石』https://shindanmaker.com/a/1081652 弁柄丸さま(@bengara0)による診断メーカーの設定原案・診断結果を基にした一次創作物語です。創作物の発表、設定の自由補完など許可をいただき有難うございました。 こちらの物語『ジルコンの記憶』の後日譚です。 ───────────────  あ、これが「人間」たちか。血を吸えばいいんだな、って分かった

          『後日譚 ジルコンの追憶』

          企画創作 『ジルコンの記憶』

          ※この物語にはバイオレンス(暴力的・残酷)な表現が含まれます。 『宝石の狩人』https://shindanmaker.com/a/1082114 『血を吸う宝石』https://shindanmaker.com/a/1081652  弁柄丸さま(@bengara0)による診断メーカーの設定原案・診断結果を基にした一次創作物語です。創作物の発表、設定の自由補完など許可をいただき有難うございました。  『宝石の狩人』・『血を吸う宝石』の診断結果や独自設定のまとめなどはこちら

          企画創作 『ジルコンの記憶』

          不幸を売る星

          不幸を売る星

          架空の兄と開かれた扉

           開いている扉が恐ろしくて若者は怯んだ。  実家の古い木造の扉。スライド式でごろごろと音が鳴る。  忌引きで帰省して、家人とともに目まぐるしく動いた日の夜だ。水を欲して自室から出ると、真っ直ぐ延びた廊下の対極にある扉が半開きになっていて、心臓に冷やかな手があてがわれたような心地になった。  別段、秘密の部屋ではない。兄の寝室兼書斎だ。恐れるようなものも無い。  日中、垣間見える室内は平凡な日常そのままである。畳敷きの床に、山葡萄の木で編んだ大きなバスケットが置かれ、衣類が放り

          架空の兄と開かれた扉