ビールと夏の終わりと私たち

最近お酒が美味しくなってきた気がする。いや、お酒は通年で美味しいのだが、やっぱり涼しくなってくると心に余裕ができる。酒を味わう余裕が。

私はビールの飲めない大学生だった。炭酸が苦手だったのと、たくさん飲まないといけないのが無理だったのだ(水分を一気にたくさん摂れない族)。

ビールが飲めないかわりに日本酒(燗)とワインとウイスキーは好きだったので、飲み会では駆けつけ一杯から燗酒を頼んでいた。他のみんなは生中か烏龍茶なのだから、乾杯のタイミングに配慮して最初は烏龍茶でも頼んでおけば良いものを、頑なに燗酒を頼んでいた。烏龍茶もビールと同じようにジョッキで運ばれてくる店が多く、そんな量を飲みきる頃には胃がたぷたぷでもう何のお酒も飲みたくなくなっているから嫌だったのだ。

きっと学部の飲み会とかでは浮いていた(迷惑がられていた)のかもしれないが、結局学部には仲の良い人も特にできなかったので差し支えなかった。そのかわり、入部以来入り浸っていた陶芸部では、好きなように飲んだ。好きなように、といっても、私は可愛いものでせいぜい日本酒をチョビチョビやるくらいだったが、同学年の女性メンバーが揃いも揃って酒豪だったのだ。

彼女らはお酒が大好きだったが、それを他人に押し付けようとする空気のない人たちだった。もれなく全員が「手酌でええやんたまに茶番でお酌もしてみたりはするけれど」派だったので、のっけから空気を読まずに日本酒を頼む人間がいようとお構いなし。各自好きなように飲んだり飲まなかったり。

私が夏に燗酒を頼んでも、「いいね、私も!」と一緒に飲んでくれる環境だったので、そういった面ではお酒で嫌な思いをすることは少なくて本当に恵まれていたと思う。そのなかの一人、「たははは!」と曖昧に笑いながらビールを永遠に飲みつづける麦芽おばけのような女とは今も美しい友情を築いている。

ビールが飲めるようになったのは突然だった。その年の夏は暑くて暑くて(と思っていたけど今年の夏に比べたら可愛い暑さだったのかもしれない)仕方のない気候で、ふと口をつけた冷たいビールがあまりに口中を爽快にしてくれたものだから、一気に私のなかでビールの地位が格上げされるに至ったのだ。ありがちなきっかけである。

とはいえ、生まれ持った飲める水分量の少なさは変わらないので、やっぱり生中一杯かもしくは生小くらいでちょうど良いのが私のビールとの関係だ。

なんの話かというと、そろそろビールの消費が(私的には)落ち着いてくる季節だけれど、それはそれで他のお酒も美味しいし、秋冬には秋冬のお酒の楽しみがあるし、お酒に限らず何事も、付き合い方や出会い方、そして出会い直しのチャンス如何で、人生の楽しみは広がっていくな〜という話でした。

お酒を飲む人にも、飲まない人にも、良い秋のひと夜を。


Photo by Cassiano Barletta on Unsplash


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

読んでくださって、ほんとうにありがとうございます! いただいたサポートは、移動費に充てたいとおもいます。島に住んでいるので船賃が高いのと、移動中が一番アイディアが湧くからです。

ありがとうございます!今日は美味しいもの食べてください!
35

小島杏子

海の見える街から(日々のmemo)

2つのマガジンに含まれています

コメント2件

「スキ」を押すと、「今日は美味しいものを食べてください!」と出て、おお、美味しいものと美味しいお酒を飲もう…と思いました。笑 ありがとうございます。笑
おお!なんというプチミラクル!!笑 いいですねぇ、これは飲むしかない!!笑 syozopandaさんの今夜の晩酌が素敵なものになりますように( ^∀^)
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。