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オードリーがメディア王に挑んだ日

暑い。

それにつけても暑い。梅雨を通り越して、我先にと夏が来てしまった。蝉の音が聞こえないのが不思議なほどである。

どうせ季節を先取りするなら、晩秋まで先取りして欲しかった、などと恨み節をこぼしている三十路男は僕だ。

こんな日は家中の電気を一切消して、ホームランバーを舐めながらラジオを聴くに限る。これは人類が長い年月をかけて発見した自然の摂理なのである。

僕には敬愛する芸人が何組かいる。とはいうもののお笑い通でもなんでもないので、狭い知識の中で、なのだけど。

そのうち一組は、以前にも話したが、我らがオードリーである。武道館公演に単身乗り込み、馬鹿笑いしてトンボ帰りした思い出は、きっと定年退職するまで忘れない。文字通り愛と尊敬を込めて好きなコンビなのだ。

それは春日のスキャンダルがあったとしても変わらないし、むしろラジオというメディアをうまく使ってネタに昇華させたなあと感心する。

そんな二人のラジオ番組、オードリーのオールナイトニッポン、にゲストとしてくりぃむしちゅーの上田晋也が登場したのだから、さあ大変である。

何を隠そう、僕がラジオを聴くようになったきっかけはくりぃむしちゅーのオールナイトニッポンなのである。今でも一番好きだったラジオ番組として名前を挙げるし、復活を楽しみにしている。そう、つまりは彼らもまた、僕の敬愛する芸人なのだ。

僕は上田の出演が発表された時、小躍りしてしまった。なんといっても新旧のANNのエース同士の戦いが聴けるのだ。

若林と上田がプライベートでも仲がいいのは知っていたし、オードリー自体、もうラジオを10年もやっているのだ。うまく若林がいつものように立ち回り、春日がただただ相槌だけしてトークの邪魔をしないポジションに座れば、まちがいなく神回になるだろうと思っていた。

が。


本当にびっくりした。うまく立ち回ったのは上田の方だった。いや、立ち回ったと言う言い方は上品過ぎるかもしれない。

上田晋也は、この勢いに乗るラジオ10年選手オードリーを完全に喰った。

上田晋也のANNのゲストがオードリーなのかと錯覚するような感覚。

もちろん、オードリー、特に若林の空気作りがとても上手で、そこにうまく乗せたというのはある。だけども登場第一声の「どうも!メイウェザーです!」からもう上田節全開なのである。気が付いたら指揮者が変わっていた。

くりぃむしちゅーの二人は僕は天才だと思っている。有田の話もしだすと、六法全書もびっくりなページ数になるので今回は割愛するけど、上田もすごい。やっぱり話の着地に持っていく技術がすごい。相手がこう落としたいんだな、と言うのを瞬時に理解して、舵を切る。これがすごい。すごいったらすごいんだ。

だから今回も、オードリーの方がその誘導にうまく乗り、春日が普段あまり話したがらない「楽屋でなぜコンビで話したくないのか」という話題にも照れながら参加していた。

上田の愛すべき点はもう一つある。これだけしっかりしているのに、抜けている点である。

このエピソードも広辞苑程度のページ数が必要になってくるので書かないが、今回のトークでも、「テレビをほとんど見ないからゲストのことを知らない」という話題の中で

「去年さあ、8,6秒バズーカがしゃべくりに来たのよ、俺本当に見たことなくて、名前もしらなくて・・・みんなが、いやーブレイクしてるよねーなんて言い出したから、やっベーと思って」

というのがあった。

去年???

記憶力がないことをこの前後で話していたけど、自分で気づかないうちに証明してしまっていたのだ。間抜けである。
あえて触れないオードリーも素晴らしかった。

有田がいない、通称こそピンだったのでブッコミ(ウケを頂きに行く例え)も絶好調だったし、本当にいいものが聴けたと思う。

結果、関係性もあるが、お互いがお互いの良さを引き出してくれて、ここまで聴後感のいい回は久しぶりだった。この三人だからこその感覚だろう。

またくりぃむしちゅーのオールナイトニッポンの復活を心待ちにしてしまうと同時に、オードリー、お前らは辞めるなよ、20周年もやれよ!と思わずにはいられなかった。

あ、そうだ今日は土曜日。

オードリーの聴ける日だ。

まずはニッポン放送の次世代エース、三四郎をタイムフリーで聴いて夜に備えよう。

今日も夜は長い。

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素数/JP

エッセイ・小説を書く場所が欲しいと思い作りました。今のところ、思っているだけかもしれません。散文駄文を投げつけています。シューゲイザーのような綺麗で浮遊感のある文体が好きです。

長いものに巻かれるエッセイ

素数のエッセイです。是とするものを中心に。散文に注意。
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