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悲観思考のすゝめ

こんばんは。

7都道府県で緊急事態宣言が発令されて一週間がたちました。

新型コロナの影響で目まぐるしく状況が変化する中で、みなさんも状況にあわせて様々な変化を迫られていると思います。

経営者であれば資金繰りの問題やテレワークの導入に取り組んでいたり、社員であれば在宅ワークへの適応や失業の不安と戦っているかもしれません。

今までの考え方ややり方が通用しなくなり、どこから手を付ければいいのか分からなくなっている人も多いのではないでしょうか?

変化の時代には、変化に強い思考法が必要になります。

今までとは、まったく違ったマインドとフレームワークが求められています。

今日は、新しいことにチャレンジする時や、状況の変化にうまく対応するために役に立つ思考法をご紹介します。

今日お話しするのは、悲観思考です。

ネガティブ思考といっても良いと思います。

みなさんも、プラス思考という言葉は聞いたことがあると思います。

プラス思考は、「どんなことがあっても明るく受け止めるべき」という考え方です。

今日お話しする内容は、ある意味その対極にある考え方です。

今の状況を生き残るために必要な考え方ですので。最後まで読んでいってください。

この状況でプラス思考は辛いだけ

新型コロナで目まぐるしく状況は変化していて、しかも状況はどんどん悪化しつつあります。

将来の見通しも暗いものが多い。

こんな状況で無理にプラス思考で考えるのは、辛いだけです。

プラス思考で気分をアゲアゲにしようとしても、必ずそれ以上のマイナスの出来事が次々と発生します。

遅かれ早かれ、プラス思考と現実とのギャップに精神をやられてしまいます。

プラス思考が有効なのは、安定していたり、上向きの状況の時だけです。

上手くいくと考えていたことが実際にうまくいく体験があるから、プラス思考が活きるのです。

コロナで先行きがわからない今の状況で、プラス思考で現実から目を背けるのは危険でしかありません。

悲観思考の3つのプロセス

僕が今日紹介したい悲観思考という考え方は、プラス思考の真逆のマイナス思考とはちょっと違います。

マイナス思考の人は、「何をやっても、うまいくハズがない」と考えます。

何をやってもうまくいくはずがないと考えると、実際にうまくいきません。

悲観思考はマイナス思考と似ていますが、微妙に違います。

悲観思考では、起こりうる最悪の事態がすべて起こることを想定する考え方です。

最悪の事態を想定したうえで、その事態の影響の範囲と大きさを判断し、その状況に対する行動プランを考えておきます。

私は生きていく中で多くの問題を見てきたが、そのうち半分は実際には起こらなかったものだ。

これはマーク トゥエインの言葉です。

想定した問題のほとんどは、実際には起こらないことの方が多いという本質を言いあてています。

万が一の事態というのは、ほとんどの場合起こりません。

しかし、起こらない最悪の状況を想定しているので、現実は現状と想定の間で推移します。

その結果、現実への対応力は格段に上がります。

さらに、現実が常に自分の予想よりもうまくいくので、心に余裕が生まれます。

悲観思考は、次の3つのプロセスで考えます。

1.不安の可視化
2.行動プランの作成
3.状況のリハーサル

1.不安の可視化

恐怖を消すには、先ずその恐怖を知らなければいけない

これはスターウォーズのヨーダのセリフを意訳したものです。

直訳は「恐怖に名前を付ける」といったニュアンスの言葉です。

当然のことですか、不安に打ち勝って状況を打開するには、先ずは何に不安を感じているのか知ることが重要です。

悲観思考では、まず不安に感じている最悪の状況を、できるだけ具体的に考えます。

英語ではネガティブ ビジュアライゼーションとか、フィアセッティングといったりします。

このプロセスでは、最悪の状況を想定して、自分に起こりうる結果を書き出して可視化します。

例えば、僕はハワイがロックダウンになる前に、以下を最悪の状況として想定しました。

・ハワイがロックダウンし、その状態が3か月以上続く
・会社が潰れる/収入がゼロになる
・ハワイへの輸送がストップし、数週間食料が手に入らなくなる

できるだけ具体的に考えてみることで、何が問題になりそうかが具体的にわかりました。

人間が不安を感じるのは、たいてい先行きの見通しがつかないからです。

不安を無くすには、まず自分が不安に感じている状況は起きると決めてしまいましょう。

最悪の状況を具体的にイメージすることで、その内容と深刻さがわかります。

不安な状況を可視化することで、想定される状況の底辺がわかるのです。

2.行動プランの作成

最悪の状況の内容と深刻さがわかったら、次にその内容に対する対策を一つ一つ考えていきます。

先ほどの例だと、僕の会社がテレワークを前提にシステムを組んでいたので、ロックダウンが長期化する影響はほとんどありませんでした。

実際に、ロックダウンが始まってからの3週間、一切オフィスに入っていません。

問題は、収入減と食料の問題でした。

BtoBビジネスである僕の会社はコロナの影響はそれほど受けませんが、BtoCの観光ビジネスである嫁の事業は、ロックダウンの影響で収入がほぼゼロになることがわかっていました。

毎月の固定費を僕の給料から支払った場合に、何カ月先まで耐えられそうかを数値化しました。

これをもとに今後6カ月の家計の収支予測を作成して、それに基づいた各対策をロックダウン前に打つことができました。

食料に関しては、当初1ヶ月の食料不足を想定していましたので、ロックダウン前に1ヶ月分の食料を備蓄しました。

主要な農作物輸出国が輸出制限を始めている現在の状況を考え、わが家では備蓄の量を3ヶ月分まで増やす予定です。

このように不安要素を先に洗いだして対策をすると、実際に状況が悪化した時に不安になることも、慌てることもありません。

実際には、嫁のビジネスの収入がまったくのゼロになる事態にはなっていませんし、ロックダウンが始まった当時は予想していなかったアメリカ政府からの各種補償が入ってくることがわかりました。

すべては、僕と嫁が想定した最低最悪の状況よりも、だいぶマシな状態で推移しています。

結果として、わが家はロックダウンに入ってからも、わりと精神的に余裕のある生活を送れています。

3.状況のリハーサル

1.と2.のプロセスでは、現実の期待値を下げて、最悪の状況が起きないよう対策をすることで精神的な余裕を得ることができます。

状況のリハーサルというのは、最悪の状況が実際に起きた時のための準備です。

最悪の状況はあくまでも万が一の状況ですが、可能性としては起きることはありえます。

最悪の状況が実際に起きた時の備えも、もちろん必要です。

状況のリハーサルというのは、最悪の状況が起きることを想定して、普段から意識的に不快な状態を体験しておくことです。

先ほどの例で言うと、必要がなくても普段からテレワークを経験しておく、1ヶ月限定で極限まで支出を減らしてみる、3日間断食をしてみる、といったことが考えられます。

最悪の状況が、実際にどんな状態なのか、自分はどこまで耐えられるのか。

自分で意識的にその状況を作り出して経験することで、自分にはどのくらい不快への耐性があるのかがわかります。

またその状態を継続することで、不快への耐性が高まります。

数日時間をとって安くて少量の食事をし、目の粗い粗悪なものを着て生活し、「これが私が恐れている状況か?」と自分に問うてみなさい。

これはセネカという哲学者の言葉です。

普通の人にとって、最悪の状況は路頭に迷うことではないでしょうか?

セネカは、試しにホームレスみたいな生活を数日送ってみなさい、と言っているわけです。

日本人だったら、安い古着を着て、一食につきコンビニのおにぎりを一個を食べる生活を数日送るようなイメージでしょうか?

日本のホームレスだったら、実際にはもう少し良いものを着て、マシな食事をしてそうです。

日本人は、恵まれた国民です。

たとえホームレスになっても死ぬことはありませんし、本人しだいで復活することだってできます。

自分が最悪の状況に耐えられることを知っていることは、精神的な余裕になります。

激動の時代だからこそ悲観思考が必要

新型コロナは、私たちの生活のあらゆるところに様々な影響を与えています。

国連事務総長のアントニオ グテーレスは、コロナの影響を第二次世界大戦以来の世界的危機と表現しました。

今私たちが経験しているのは、紛れもなく100年に一度の激動の歴史です。

この変化の中で生き残る国や企業、個人がはっきりと別れる残酷な結果になるでしょう。

すでに失業率の上昇や企業の倒産など、結果は出始めています。

個人としてできる範囲のことは限られていますが、より変化に柔軟に対応できた個人が生き残っていくはずです。

この変化の時に、楽観的な思考で現実を直視しないのは、目隠しをして自転車に乗るようなものです。

まずは起こりうる最悪の状況を把握して、対策を立ててください。

最悪の状況は、おそらく起きません。

そして普段から意識的に不快への耐性を高めておくことで、多少の変化や不便さには動じない強い心を持つことができます。

この激動の時代には、そんな考え方があっています。


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