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「君は松田翔太の月山習を観たかい?」

先日、ようやく映画「東京喰種S」を見て参りました。

twitterというのは、140文字のなかに文章をまとめねばなりませんので、
毎回毎回いかに文字数を削り、必要そうな情報を
パズルよろしくぎちぎち嵌め込もうかと苦心して参ったわけですが、
もうそれが端的に申し上げればクソ面倒くさいなと。
ですので此度、新たなるWEBサービスの力を解放させていただき、
感想文……というか、布教文をしたためさせていただければと思います。
駄文、お目汚し失礼いたします。

あ、注意点としまして、
やや映画の内容に触れる内容になるので、
そういったものを忌避される方は、以下の文章に目を通さない方が吉かと思われます。

また、細かい好きなところもあったのですが、
とくにお伝えしたくなった部分である
松田翔太さん演じる月山習にフォーカスして書かせていただきます。
(※ほかのキャストの皆さん、素晴らしかったです。
他意はございませんので、あしからず……)





***






■松田翔太さんの月山が最高
①起床のシーンが最高
わりと序盤のシーンなんだけど、
月山が今日のお召し物を選んでいる場面。大好きですね。

目を覚ました月山がチェストに向かい、
真剣に、しかし悠然に今日何を着るか熟考しているわけです。

「(この色か…いや違う。この生地はどうだ?
よし、じゃあこれに合わせたハンカチを…)」ってな具合に。

観ている側としては「なんでもええやん…!」と
内心思わず突っ込んでしまうんだけど、
これは月山にとっては滅茶苦茶重要なこと。
彼の美学がこのシーンで完璧に伝わってきた。

この時点でもう、松田さん演じる月山に心が持っていかれた。

②カネキといるときの月山が最高
出会い頭からおかしい(楽しい)。

ファーストコンタクトも、カネキの大学に足を運び、
月山行き着けの喫茶店に誘うシーンも、
その喫茶店でのシーンも、一挙一動とても味わい深い。
とくに喫茶店ではハンカチ待ちの月山。
ハンカチゲット後の月山。ずっと楽しい。
(「ハンカチ洗ってくるね」とトイレに向かい、
鏡のなかの自分にフラットになるよう言い聞かせる月山)


③月山強い
当たり前のように強い。ぜんぜんダメージ通らない。
クライマックスのバトルシーンの立ち回りなんて本当に素晴らしい。

一方的にいたぶるシーン、1vs2の局面、
赫子を展開させてからもずーっと強かった。

(あ、月山って格好良かったんだ…。)
なんてことがふと頭によぎった。

戦闘自体もなんだけど、その幕間の挙動も一々面白かった…。
(“配膳”めっちゃ好き…)


④まとめ
月山好きな人には是非みていただきたいです。
共有したい。

漫画の原作映画って、ともすればキャラクター然としすぎて
つくりものの匂いを感じることも間々あるとは思うんだけど、
あの味の濃い月山というキャラを、
こうも現実感をもって再構成できる松田翔太さんは、
本当に稀有な俳優さんだと思いました。

また原作に触れていない方でも、
この月山であれば、一人のキャラクターとして楽しめると思いました。


原作を読まれている方ともし話す機会があれば、
「君は松田翔太の月山習を観たか?」と尋ねたいぐらいには、
このキャラクターに感動させられっぱなしでした。
予想以上に最高だ。


■ほか好きなところ

①カネキの反応
窪田くんのカネキ、本当すごい。

映画内の展開としては、カネキはまだ物事に対して受身な部分が多いんだけど、
その受ける反応が逐一素晴らしかった。

それは、ぜんぜん大げさな動きや叫びじゃなく、
むしろほんの小さな動作や表情のなかに、
心の中の不安、表には出さない疑問などが内包されていたりして、
やはり彼は天才だと思いました……。

(1)
大学に月山が来てカネキに声をかけたとき、
カネキが戸惑って「…え?」って言うとこ。
戸惑い具合が、電車で隣に座ってきた知らないおじさんに
突然話しかけられたときのような虚の突かれ方。

(2)
負傷したニシキをカネキがニシキの部屋までおぶっていくと、
玄関先で貴未が出てくる。
貴未はボロボロのニシキを思わず抱き寄せる。
その間、カネキはニシキに貸している肩を下ろすこともできず、
結果3人がスクラム状態になったとき、
なんとなく気配消そうとしているかんじ。

…など細かいところ、小さなところですごく楽しませてもらった。

②カネキ強い

「特訓⇒特訓成果⇒強敵」との対峙…という
カンフー映画のおいしいやつもあり、バトル部分はシンプルに面白かったです。
アクションが格好いいと観ていてワクワクする。

すでに試写を観ていたアヴちゃんから
「びゅーんって飛んだりしてたよ!」と聞いていたので、
「びゅーんって飛ぶのかー……!?」とやや不安になっていたんだけど、(※僕は試写会に行ってなかったので、完成したあとも中身を一切見ていなかったのです)
たしかにびゅーんと飛ぶところはあったけど、まったく気にならなかった。
本当に格好良くてビックリした。


③山本舞香さんのトーカ
前作、千ちゃんのトーカは
原作の世界のトーカを完璧にやっている、というか。
一点の曇りなくトーカで、向こう側の世界に足突っ込んでるなと感じた。
神がかり的なお芝居で、僕はとても好きだった。

今作、山本舞香さんのトーカはどんな感じになったんだろうと、
そこも内心緊張しつつ観にいきました。

山本さんのトーカは強かったです。よい意味です。

まず、空手で鍛えられた体幹の高さ。
アクションシーンにバチッとハマっていて、物理的に強い。
「特訓シーン」「vs月山」など、どれも見応えある戦いっぷりで、
僕が喧嘩を仕掛けたら一方的にボコボコにされるであろうということが
容易に想像できた。

そして、なによりその存在感の強さ。
窪田くんのカネキと、松田さんの月山に潜りこんでいくのって、
かなり大変だと思います。
しかしそのなかに立っても見劣らないキャラクターになっていて、
一人のキャラクターとしてしっかり主張を感じた。

これは僕が勝手に感じたことだけど、
山本舞香さんは世界に対してキレてるように見えた。
その雰囲気がトーカにもすごく合っていて、格好良かった。

余談だけど、
先日、山本舞香さんの映画に関するインタビューを見たら
「原作は読んでいない。なぜなら漫画の読み方がわからない」とあって、
そういうところ、とても好感がもてた。

④音楽が好き
今回は、前回の壮大な曲調ではなく、
ややしっとり、でもちょっと歪な曲調が織り込まれているテイスト。
こちら、全体を通して好きな雰囲気でした。

とくに冒頭のシーンは「おっ…?」と惹きつけられました。
華やかそうに見える東京と、そこにある寂寥感のようなものが感じられて、
映画の世界にぐっと引き込まれました。
映画にも原作の雰囲気にもとても合っていました。

⑤へルタースケルターのコンビが艶っぽい
坂東巳之助さん演じるウタさんと、知英さん演じるイトリ。
2人が揃ったヘルタースケルターの艶と色気は見ていて楽しかったです。
今作から登場の知英さんは元・KARAの方で、
韓国出身というのもあるのか、日本人と近い顔立ちなんだけど、
微妙にそうではない空気感をまとっていて、絶妙なビジュアルでした。
湿度の高い美人、というかんじで華やかでした。


■気になったとこ
原作モノだから当然仕方ない部分だけど、
原作を知らないと、やや難しいシーンも少しあったように感じた。
ワードとか、キャラとか。
ただ、それでも映画のなかで説明がつくように脚本段階から工夫してもらっていたなーと思う。(御笠ノ忠次さんありがとうございます…)

それにカネキ、トーカ、月山が凄いパワーで引っ張ってくれるので、
楽しんでもらえる作品になっているんじゃないかなーと思いました。
感想遅くなっちゃったけど、今からでも足を運んで観にいってくれる人が増えたらうれしいです。

川崎拓也・平牧和彦両監督、プロデューサーの永江くん、関わってくださった皆さんありがとうございました。

あまり映画館でおなじ作品を何度も観ることはないのですが、
ちょっともう一回観にいこうかな、なんて思ってます。