見出し画像

天気予報はじめました

地デジ波を用いてゲリラ豪雨の予測に役立てようという試みは既にありますが、私もそれとは少し違った方法で、少し気の抜けたお天気占い程度の事をしてみようと思っています。

水力発電の出力は天候によって大きく変動します。蓄電用のバッテリーの容量はコスト(費用、重量、体積)の関係であまり大きな物は設置できません。つまり蓄電容量に現実的な制限があります。そこで、限りある蓄電設備を効率的に運用するために、気象予測に連動した充放電スケジューリングを実装しようという計画です。

ここで重要なのが「予測」である事です。バッテリーの充放電は需給状況の変動と共に、時間を経て空になったりフル充電になったりを繰り返します。

例えば、発電量が今後増加して十分な供給量が得られると予測される場合、バッテリー放電深度の制限を深めにスケジューリングし、大きな需要に耐えるようにして利便性を優先させます。
一方、発電量が今後減少して十分な供給量が得られないと予測される場合は、バッテリー放電深度の制限を浅めにスケジューリングし、過放電のリスクを減らして寿命を優先させます。

気象予測のために百葉箱を設置し、大気圧、温度、湿度、風向、風速、そして硫化ガス濃度(硫黄を含む温泉地のため微弱な気流や停滞がわかる)を測定して簡易的な気象予測が出来ますが、せっかくなのでUHF帯の地デジ波を利用して、こちらに向かって来る雨雲による電波伝播の変動を気象予測に利用してみようと思います。遅延プロファイルを測定する設備がないのであくまで簡易的な方法です。

しかし残念なことに、この水力発電を設置している地域は送信塔が完全に山の陰になっているため地デジ放送エリア外で十分に電波が届きません。ラジオもAMFM共に受信レベルは非常に弱く、常に雑音に埋もれています。

そこで受信設備を強化する事で対応しました。
地デジ用30素子パラスタックアンテナを、オールチャンネル用2パラとローチャンネル用2パラをスタックして計4本使い、山の向こう側の送信塔に背を向ける形で反対側にある山の山岳反射を利用して受信します。2パラを構成するそれぞれのアンテナはTコネクタで結合し、変形Qマッチ法でインピーダンス整合を取り、プリアンプに入力します。これをオールチャンネル用とローチャンネル用の2セット作り、2段スタックします。(※このUHFアンテナはテレビ視聴用ではなくあくまで気象観測とその研究用です)

せっかくなので、ついでにAMラジオ放送と短波ラジオ放送の受信用にLF~HFをカバーするSN比の良い広帯域ホイップアンテナを地上高を稼いで設置し、FM放送は8素子八木宇田式を障害物の少ない隣県都市部に向けて越境受信するように設置しておきます。

アンテナは物置小屋の屋根の上に設置しました。片流れ屋根なのでコンパネと角材で水平な台を作り、その上に屋根馬を設置します。マストにはステンレスワイヤーを3方向に張り、小屋の梁に打ち込んだアンカーに固定します。

AMと短波ラジオ受信用の広帯域ホイップアンテナは特性インピーダンスが50Ωです。そのため専用に5D-2Vの50Ω同軸ケーブルで引き回します。
FMラジオ受信用のアンテナは75Ωなので、5C-FBの75Ω同軸ケーブルで引き回します。
UHFアンテナは普通の地デジ受信用なので75Ωですが、微弱電界なのでアンテナ2本をTコネクタで結合しています。そのため結合点の特性インピーダンスは37.5Ωになってしまいますが、手軽に電気長1/4λの長さの50Ωケーブルを通すことでケーブル端のインピーダンスを66.67Ωに変換します。スミスチャート上で時計回りに半回転の円弧を描いて移動させるイメージです。この状態でSWR=1.125なのでまあよしとします。これをオールチャンネル用とローチャンネル用の2セット作りスタックします。スタックの上下段は混合せずにそれぞれ別々にプリアンプを通した後に引き回します。

あとは念のため簡易的な避雷器とアースを取り付けておきます。

以上の4系統のケーブルはステンレスワイヤーにスパイラルチューブで束ねて吊架し、物置小屋から居住家屋へと渡り、外壁に固定した電線管を通して天井裏へと引き込みます。

スタックの上下段の信号を別系統としたのは、後からケーブルの長さを微妙に変えて位相調整してから混合することで任意の仰角にヌルポイントを作り、大地反射の影響や雲の高度に対する選択性に関して実験上の自由度を持たせたかったのと、地デジ波が県内親局の反射波のほか隣県親局や複数の中継局など、ローチャンネルからハイチャンネルに渡って多数存在するので、それらを十分な利得で受信して利用するためオールチャンネル用とローチャンネル用の2種をスタックするという変則的なものとなっているためです。

マルチパスが存在している場合、受信点での合成波の位相と振幅は、経路の空気中の水蒸気量による伝搬速度の変動などの複数の要因で複雑に変動しますが、遅延プロファイルを解析することで水蒸気量を測定する手法が既に開発されております。しかしそれはちょっと素人の私には無理な方法です。

そこで新たな観測手法を考えます。
電波の受信レベルは種々の要因で、ある程度の帯域幅に渡って全体的なフラットフェージングを生じます。その影響を排除するため、UHF帯の複数チャンネルの受信レベルを比較します。アルゴリズム的には単純に引き算で十分だと思います。そうすると、周波数による媒質の吸収特性の影響や、マルチパスの経路により遅延や位相が変動した際の合成波の振幅の変動などの要因で生じる選択性フェージングが主に抽出できます。それを見ることで、水蒸気量の測定とまではいかなくとも、向かって来る雨雲の有無ぐらいは分かるはずです。ただし、この方法は厳密には予測ではなく、時間的に前後する結果を見ていることになります。

さて、まず、現段階で具体的な予測に結びつけるのに十分な定量的なデータは有りませんが、確かにアンテナを向けている遥か向こうに雲が沸き立つと受信レベルは13ch>16chとなり、晴れていると13ch<16chとなる傾向があります。

風向き的にアンテナを向けている方向の雲はこちらに移動してくることが多いので、なかなかどうして興味深いこの特性を利用して、遠隔地の向かって来る雨雲を観測し、水力発電用の気象予測に使っていこうと思います。

せっかくなので、それを人工知能にやらせようと思います。

#気象 #天気予報 #地デジ #電波 #高周波 #アンテナ #DIY

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?