小さな優しさで心を暖める

※大雪で被害を受けたかた、お見舞い申し上げます。雪について、簡単な記事を書いています。不快になる可能性があるかたは、ご注意ください。

冬は憂鬱である。

私は北日本に住んでいる。
雪はめっちゃ多い!ってほどではないけれど、やっぱり冬が厳しい場所。

そもそも、私は冬が好きだったのだ。
キーンと澄んだ空気にウキウキした。
チラチラ舞う真っ白な雪は見とれるほど美しく心踊った。
降りたてのフカフカの雪に、手形・足形・顔形までつけてまわった。
さむーいと縮こまるのも、真っ赤になる鼻もなんだかかわいいと思っていた。
好きな男の子の萌え袖も大好きだったし、
白い息の中飲む甘くてあったかいミルクティは格別だった。

でも、ここのところの冬は、辛い。

雪かき、雪降ろし。
道は狭く、凍り、時間がかかる。
幼稚園の息子は、上着が大嫌いで、身支度はいつも一苦労。
南国育ちの夫は毎日凍えている。
年取った母は、古い家でいろいろ大変。

こんな寒いところになんで住んでるんだろー…
やれやれ

昨日も車を運転中、うっかり狭い道に入り込んでしまった。
左右の雪山が迫って、車1台がやっと。
ついでにトラックの路駐もある。
しまったー…

ノロノロ ガタガタ クネ クネ 対向車線の車と調整しながら、ゆっくりゆっくり進む。
狭い山道をすれ違うように。
うっかり滑らないように、ぶつからないように。ハンドル、アクセル、最大限の注意を。

相手の車の大きさは?
中央寄りに来た?
ななめになってるねー
そこに止まるかーじゃあちょっと待っておくか。
あ、先に行っていいの?では!
そして、すれ違うときに「ありがとう」と会釈する。
おじさん、おばあちゃん、トラックのいかついお兄ちゃん、家族連れ…
いろいろな車とすれ違い、挨拶を交わした。

そのとき、ふと思った。
雪がなければただの対向車。ビューとすれ違い、顔を見ることもない。
今日は譲り合い、本当に少しだけれど、優しさをもらったかも。

ギスギスだった心に、ぽっとひとつ灯りがともったように、暖かさがわきあがった。

北国ならではの大変さ。
ここでしか出会えない、ほんの少しの暖かさ。

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