橘玲『上級国民/下級国民』読む

興味深くて一気に読んでしまった。近年、日本社会はどんなことが起こっているのか、また世界で何が起こっているのかを、データを根拠にして読み解いている。現状の社会を理解するための、とても有効なモデルを提示している。

特に、現在の世界で起こっていることを「リバタニア」と「ドメスティックス」という社会階層の区分けを作り説明している部分(Part3)が、非常にクリアだった。

知識社会化・グローバル化が進むことによって、知識のレベルによって階層が生じている。現在の知識社会に適応した層は新上流階級となり、膨大な富を得ている。知識社会に適応できない多くの人々は新下流階級に吹き溜まる。そして、同じ国にいても、新上流階級と新下流階級は交わることはなく、新上流階級の人々は別の国の新上流階級と交流している。具体的に言うと、GAFAの人々がその代表例だ。

新下流階級の多くの人々は不満を溜めており、それがアメリカのトランプ大統領を生み、イギリスのブレグジットを生み、フランスのイエローベスト運動を生んでいる。

ただ、先進国ではこのような中間層の消滅=階層の分裂が起こっているが、地球全体で考えると、知識社会化・グローバル化によって貧困層の底上げが起こり、全体としては豊かになっていたりする。


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