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第2話(運命の転換点—中編)

【ちょっ…これ一体、何があったの……】

 この絶望的な光景を、私はたぶん一生忘れられるはずがないだろう――
 家屋と外郭は、すでに見知らぬ人に壊され、道端には数人の村民の死体が横たわっていた。そして信じられないことに、私はなんと自分の妹が入り口の前で倒れているのを見ました!

「ねえ、マルコ!大丈夫か?ほら、しっかりして!」

 その懐かしい声に、倒れていた妹は力をこめて目を開け、私のあわてた顔を見ながら、小さく震える声で返事をしました……

「お…お姉ちゃん…ここは危ない。あの『悪い人たち』って…まだ私たちの家に…いま気づかれないうちに、早く逃げて……」

「?!ふざけるなぁ!どんなことがあっても、あなたたちを置いて逃げたりはしない!くそ、なんでこんなことが……」

 この時、妹が最後の力を振り絞ったように、私に願いをした。

「お願いだから、逃げて!さっきはもう…パパとママを失ったから、姉ちゃんもいないことを…見えたくない……これ以上は…もういやだ…ハーあ~ハーあぁ……」(しきりに息を切らす

「?!わかったから、もうしゃべるな…」

「マルコはもう…だからお願い…姉ちゃんだけでも…生きてください……大好きだよ……」

「?!ねえ…どうしたの、マルコ!驚かせないでよ、マルコ――!」

 その言葉を伝えると、彼女はゆっくりと目を閉じて、私の目の前に横たわり、意識を失いました……

『いや…いやよ、そんなの!ねえ、こんなことなんて、きっと嘘だよね!だって今日のお昼まで、彼女は太陽みたいな明るい笑顔で、見送りをしてくれたじゃないの?父さんと母さんも元気一杯で料亭を営んでいるでしょう?しかも立派な料理を用意してくれると言ってくれたし、帰ってきたら一緒にお祝いしようって約束したから……?!そう、これはきっと悪い夢なんだよね。早く目を覚まさなきゃ……』

 この残酷な現実を受け入れられなかった私は、そのままマルコの前で力なく座り込んだ。次の一瞬、冷たい雨も夜空から降ってきた。我慢した涙も、抑えられずに地面に落ちた……

 それから、見たことない鎧を着たの軍隊、そしてそいつらの大将のような男が、家から出てきて、私とすれちがった。その中で、たいまつを持った何人の兵士がいて、急に文句を言った――

「チッ!なんだよ、何も見つからねえじゃん……」

「そりゃそうだな……まあ、前に確か『伝説の鍛冶屋』と呼ばれた男が、この村に住んでいたと聞いたことがあるだが、まさかあいつの家には、この剣以外で何も……ったく、まさか俺たちの情報はどこか間違っていたのか?」

「知らねーよ…ぁあ、つまらねぇなぁ~今度でたくさんの宝物が手に入ると思ったけどなぁ……」

「確か珍しいものは見当たらないけれど、でもさっきって、結構いい『獲物』を見つかったじゃないか?しかし、いきなり我々に抵抗するなんて、このまま……ぁあ、実にもったいないよな~」

 するとそのとき、相手のお頭が手にした剣を少し振り上げて、何か言いました……

「まあ、あまりぱっとしない剣ですが、けとさっきの男が確かこれを使って、正面から俺の技を受け止めてくれた。予備の武器として使えば、悪くないものだな!てっかお前ら、いつまでもそんなことばかり考えていて、前に捕まえた『獲物』たちがまだ足りなえのか……ったく、だからあんな弱々しいの泣き虫って、一体どこがいい…おっ?!ほら、あそこで他の生きてる女がいるぞ…」

 それを聞いた兵士たちは、こっちに目を向け、私の存在に気づきました……

「?!あっ…本当だ!ねぇねぇ、かわいいお嬢ちゃん~いま雨が降っているぞ、少し寒くない?さあ、早くこっちに来て。優しいお兄さんたちが、た~くさん『ぬくもり』をくれるだからな♪」

『こいつらって・・・よくも・・・』(歯を食いしばる

「うん?へえ~なんだ、いらないのか……?!あっ、急にいいことを思いついた~」

 そう言うと、一人の兵士が手に持っていた松明を私の家に投げ込んだ。それを見ての他の兵士も真似をした。

『?!よせ、やめろお――!』

「ほら、どうだ?これで少し暖かくなったんだろう。あはははっ~――!!」

 その一瞬、私の心の怒りが、目の前に広がる火みたいで、激しく燃え上がった……

絶対に・・・許さない・・・

 なんなんだよ、今は!この人たち本当わけわかんない。どこからともなく出てきて、そして一瞬で私たちの村を破壊し、訳もなく家族を殺し、父さんの武器を奪って、今なんと私の家に火をつけた。しかも、あんな残酷なことをしたあとで、まだここで笑っているなんて!

 まあ…もういい…今になって、命なんかどうでもいい!貴様らどんな理由や動機があろうとも、このまま無事で帰るとはさせない。今ここで、決着をつけよう――!!

くらえええぇぇ~――!!

 心の怒りを抑えられなかった私は、自分一人で奴らを倒せるかどうか可能性を考えることもなく、さっき妹の逃げ出す頼みも無視されていた。理性を失った私はこのまま拳を握りしめ、奴らを消滅させる決意を固め、前の敵に攻撃を仕掛けた!

 …しかし、私が出した全力のパンチは、なんと敵の大将に余裕で受け止められた!

「?!ほお~この力、ちょっとびっくりさせちまったなぁ…なんかさっきの雑魚たちが使った、『気』というエネルギーと似てるものだ…もしかしたら、お前もその弟子の一員か?」

「なっ!…いや、まさか武道館の皆さんも……」

「…小娘があ――?!」

 今の状況を見て、うしろにいた兵士たちがそれぞれの武器を抜いて私を倒そうとした。しかし、大将がもう一方の手を上げ、奴らを阻止した。きょとんとした私は、彼の言葉を少し整理してみました……

 てことは、毎日武道館で修行している皆さんも、こいつの相手ではなれないことか?そして、さっき親が手を組んでも勝てなかった敵を、今この私一人きりの状態で、一体どうすれば……

「うん?ほいおい~どうした、小娘。もうびっくり過ぎて、声も出さねえのか?ったく、しょうがねぇなぁ…ほら、今から『わんこ』みたいに、尻尾を巻いてここで逃げれば、生き伸びるチャンスがあるかもしれねえぞ!」

『…だまれ……黙れ、黙れ、黙れ――!!』

 覚悟を決めて、私は相手に攻撃を続けました。そして兵士たちは大将の指示通りに、この無意味な戦いを後から見守っていました。

 しかし、いくら攻撃しても、相手はこちらの動きを簡単に見抜き、かわしてくれる。おそらく、それが互いの実力と作戦経験の差だろう。こんな状況がしばらく続いた後、相手はようやく私の振った拳を手でつかんだ……

「なんだ、情けねぇよなぁ…ちょっと腕がある女かと思ったけど、こんなもんか?いや~がっかりした……」

 相手はそう言いながら、ますます強く私の拳をつかんできた。

「痛っ…くそ、は…はなせ――!」

 くっ…くそ!結局…やっぱ何もできなかったのか、私……

「ほらよ、お嬢ちゃん~その無駄な抵抗を、そろそろやめたほうがいい。これ以上続けるでも意味がねえよ」
「そうそう、こりゃ力の無駄だけなんだ」

【…てめえら……こんなひどいことをして、誰ひとり生きて返さないぞ!クズ野郎!】

 勝ち目がないにもかかわらず、憤怒の火に包まれた私は、急にどこから勇気を得て、冷やかす兵士たちに向かって、大声で叫んだ。その言葉を聞いた大将は、皮肉な笑みを浮かべました……

「?!ほお~よくその根性を最後まで粘ってたんだな、小娘……だが残念、どうやらそれがお前の人生最後の言葉みたいだ」

 ついに、目の前の男が、私にとどめを刺そうとした。しかし相手にこぶしを摑まれた私は、その場で振り向くことができず、動きを封じられました。しかもその一瞬、彼の拳から、急に凄まじいエネルギーがうっすらと感じられた……

 まずい、もしここでその技を命中されたら……いや~まだ死にたくない、今なんとか彼から逃げなくてはならないだ――!

『……さぁ、これで終わりだ――!…うん?!』

 この間一髪のところで、私は反射的に身をかがめて、それから相手の動作をまねて、もう片方の手のひらに体内の『気』を込めて、彼の一撃を全力で押しのけた!

「隙あり!」
 相手が自分のパンチが、別の方向に押し出されたことに驚いている間に、私は素早く手のひらを『手刀(てがたな)』モードに切り替えて、私の拳をつかんだその手を、思いきり切り落とそうとしました!

 予想通り、相手はその時も反応ができず、私の拳をつかんだ手を離し、後ろに移動を始めた。それから私は、さっき下に切りた『手刀』を、上に斬り上げ、ついに彼の頬を傷つけました。自由を取り戻した私は、後ろに下がって相手と距離を取り、次の行動を考え続けた。

「?!…だい、大丈夫ですか、大将…」

 相手は切り裂かれた傷口に軽く触れ、血の跡が指に付いたことに気づくと、なんと顔が獰猛な笑みを浮かべました……

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