物語100連発その9 ~Survivor side R~

キャッチコピー「抗え、その先に絶望しかなくとも。」

2020年、あの時、世界は終わった。
東京オリンピックの後、数週間後、突然世界中に戦争は勃発した。
学者連中がテレビで必死に原因を叫んで手柄を欲していたが長くは続かなかった。
やがて戦争は世界中を巻き込み、
この国は数年間戦争特需に見舞われた。
だがそれも長く続かなかった、
内部に紛争が生じた、北部と南部で同時に。
思想とか何とか取ってつけたような理由だったそうだ。
こうして数年間まともに経済活動を行っていない国で過ごしていた。
経済活動が出来なくなって数週間で多くの人は田舎に疎開した、
当然だ,数年前からなっては紙やコインで腹は満たせない。
だが僕達はここで足掻き続けている、
蜘蛛の糸に囚われた蝶のように。

「こちら、α状況を報告する、ポイントAにて目標を発見、周囲に無数の敵、
航空支援を要請する、オーバー」
「こちらHQ、了解した。」
僕達はここで戦い続けている、だが一人じゃない。

「今日も大量だったそうじゃないか。」
「最近の航空支援のおかげです、
関東に鬼ありと称されたほどの曹長に討伐数と手際の良さで勝てるやつなんていませんよ。」
「そうか~、へへっ、だがまぁそれも昔の話でな、
今となっちゃあおまえさんみたいな優秀なやつにはいい刺激もらってるぜ。」
「恐縮です。」
僕らはずっと関東地方と呼ばれていた場所で戦っている。
この国の経済活動が止まってから数ヶ月、
20年前の東京には突如として謎の獣 鬼獣が溢れ出した、
奴らはたった2日で東京を陥落させ、
100万人以上の犠牲者が出たらしい、というのも正確な数を把握することすら出来ていない。
せめてもの救いとして経済活動の止まった東京に長く居座ろうとする人は相当少なかった。
本来なら1000万いや2000万人の単位で人が亡くなってもおかしくは無かった。
「おい、どうした手が止まってるじゃないか?
何か気分でも悪いのか?って良い奴はいねえだろうけどな。」
「確かに、こんな前線基地で気分良い奴なんていませんね。
じゃなくて、昔あった日本ってどうなんだったろうって。」
「ああ、昔な、俺の親父に聞いた話だがな、
めちゃくちゃに派手な街だが、
生活はひどく地味で、きついって。
睡眠時間が平均で5時間、
きっつきつの電車に乗って平均で2時間移動してたとかな。」
「そうなんですか、今と真逆ですよね。」
「ああ、今は東京なんて鬼獣と廃墟しかねえからな。
逆に地方はいいぜ、俺らがあいつらを抑えているおかげでのびのびと暮らしてやがる。」
「確かこの国の最後の首相が提案していた地方再生が実現されてますよね。」
「違いねえ、まぁその国自体が滅んでりゃ世話ねえけどな。」
民間のセキュリティー会社と元は自衛隊というこの国の軍隊みたいなものと
警察という昔あった治安維持組織が合同で、要は荒事に耐えうる組織が全て団結し、今の対鬼獣組織 日乃刀を作った。
今、僕達はその組織で楽しい獣の狩りをやってる、それも最新鋭の装備を使って。
「仕事が楽しみなので今日は早く寝ます。」
「おお、俺もそうしようと思ってた所だ。」
こうして僕達は6時起床、10時就寝と昔の人よりもとても健康的な生活と送っている。
欠点としては仕事が命がけなのと、仲間が時々、天にお呼ばれすることぐらいだ。
飯は美味いし、死の苦しみも投薬のおかげでない、
同僚が死んでいくのを見たがとても幸せそうに笑っていた。
そんなことを考えているうちにまどろみが濃くなり、
僕の目は閉じられていた。

「サーッ」
モーニングライトだ。
一斉に僕達の部屋のカーテンが自動的に開き、照明がかなり強く点灯する。
昔は時計にアラートを付けていたらしいが、
現代では光で起きるほうが心的負担が少ないということで続いている。
「おっ、今日はさいたま方面のミッションだな。彰はどうだ?」
こいつは泰地、朝から業務確認とは真面目なことだ。
「ああ、僕も同じだ。」
泰地と一緒なら上手くやれそうだ、
なんせ訓練学校のころからの仲でもう3年の付き合いだからな。
毎朝どこのミッションに向かうかは端末に通知される。
その後食堂で朝食を軽くとり、飛行場へ向かう。
そこでひとしきりの装備を背負い込み
ヘリへ乗り込む。
基本的にミッションへの移動は上空からの垂直ロープ降下、
命綱は当然ない。この降下法が確立されたのは空中で鬼獣にも対処出来ること、
スカイダイビングでは風を操る鬼獣によって妨害を受け、
部隊が壊滅したという経験則より導かれたそうだ。
「準備はいいか、α部隊、
本日の作戦はいつも通り鬼獣の討伐と、死体の回収だ
場所はさいたまの旧大宮駅より半径2km以内とする。
航空支援は随時端末で要請せよ、健闘を祈る。
良い空の旅を。」
人口音声が再生したものを聞きながらオートパイロットのヘリで
職場に向かう、揺れは酷いが俺とあと3人だけしか乗っていないためとても広々とした通勤だ。
「行くぞ、今日も楽しいお仕事の時間だ。」
「ああ、ったく円形だと捜索が面倒なんだよな。」
基本的に俺達のミッションにはいくつかタイプがある、
殲滅型、これは師団総出で街中の鬼獣を掃討するもの、基本的には最初に空爆を行い、
それでも平気な大型の鬼獣を俺達が生身で討伐することになる。
次に資源回収型 これは今俺達がやっているが、鬼獣の死体を回収するというもの。
ただこの資源回収型は航空支援の要請が逐次必要になることがあるため、
活動範囲が不定形だ、今回のように円形にもなるし、一本道になることもある。
「大型さんよ、出てくれるなよ。」
「何いってやがる、今時大型以外にいねえだろ。」
基本的に去年の民間衛生の爆撃で小形はかなり数を減らし、
今いるとすれば大型が産んだやつらか、大型自身だけだ。
「まぁこの4人なら何とかなるか。」
僕を除くとだがこの3人はそれぞれ殲滅戦の経験もある歴戦の勇士達だ。
僕の後ろに座っているのが、仕事熱心な泰地、
僕と同期だが階級は2つ上、本人は謙遜しているが、曹長にも匹敵する実力だと思う。
横にかけているのが、昨日の夜話した明雄曹長。
斜め後ろで足を組んで窓から街を見下ろしているのが基之、
僕と泰地の一個上で気難しいが、実力は確かだ と聞いた 曹長から。
ヘリが旋回し、地上の様子を赤外線だの、音の僅かなゆらぎだので探す。
「周囲100mに敵影なし、ロープ準備、展開。
隊員は降下準備をしてください。」
人口音声が俺達に指示する。
「へいへい、んじゃあ行きますか。」
4本のたらされたロープをグローブをはめた方の手で握る。
グローブがロープを認識し、握力を強める。
「標準速度で降下します、3,2,1,0.」
体が宙に放り出されるがロープは細いにも関わらずまるで柱のように地面までずっしりとつながっているのが分かる。
そして大体エレベーターと同じ速さで降下していく。
地上1000mということもあり、遠くに東京のビル群が見えるな。
900,800,700,600,500,400,300,200,100,と降りていく。
残念ながら今回は歓迎ムードではないらしく、
空中で戦闘とはいかないようだ、敵も暇ではないらしい。
そして50を切った辺りから徐々に原則していき、
10,9,8でほぼ歩く速度と同じになる。
そして0やっと地上に着く。
「まずは2つに別れよう、彰は俺と、泰地と基之でまずは索敵だ。」
僕達は駅の広場に降りたが、
まずは東と西で捜索範囲を分けることにした。
駅にあった線路と道路を隔てていた柵は無残にも跡形もなく、合流も楽だからな。
僕と曹長は東へ向かった。
左目の多機能コンタクトによると旧県道164号線と言うらしい。
その道をまずは直進する、このコンタクト曰く、
東側には敵の痕跡が少ないらしい、
西の泰地達は既に小形を1匹倒しているそうだ。
100m以内に敵はいないんじゃなかったのかよ。
「おい、あれ。」
曹長が指差した方向へコンタクトの焦点をあわせる、いた。
小形だ、と言っても人のサイズはあるわけだが。
ただ雑魚だ、この距離でも仕留められる。
「俺がやる、しくったら援護頼む。」
「分かりました。」
俺は対鬼獣銃を構える、
そして横についてある、Sボタンを押し、
銃身が細長く、スナイパーライフル型に変形していく。
「いくぞ、3,2,1.ドン」
カチャカチャ、発射後に自動でリロードする機構の音が僅かに聞こえた程度で
ほぼ無音だ。
そして相手の頭部に着弾し弾き飛ばす。
「よっし、クリア。辺りには居ないみたいだし、
それに作戦区域もこの辺りまでだ。あいつの死体を回収してから合流しよう。」
死体は100mほど離れたところにある。
近づいてみるとこいつは牙という呼称が付いてる種類で、
近づかれるとかなりマズい、遠距離で仕留めて正解だった。
その名前の通り牙と自分の体のサイズほども開く口で
人間のあらゆる血管を狙って噛み付く。
「こいつはそのままで良いな。」
「ええ、何とか入りそうですね。」
背中のバッグに入っている回収ボックスを取り出す。
俺は死体を掴み上げ、大きなダンボールサイズに膨らんだ箱に
死体をそのまま入れる。
「回収完了しました、発射まで30秒です、10m以上離れてください。」
僕達はそのメッセージを聞き届けると
西の泰地達のビーコン反応に向かう。
後ろで回収ボックスが下部に取り付けてある、ロケット噴射をして上空に飛び上がった。
その後、一定時間滞空している間にヘリが回収する。
稀に出来なければ、最寄りの基地まで搬送される、
鬼獣は味方の死体の匂いには反応しないし、
無機物の箱には踏んだり、障害物になったりしない限りはわざと破壊することはない。
だいたいは最寄りの基地まで着く。
「ピピッ」
鼓膜に直接電子音が響く。
「聞こえるか、彰、曹長
大型を発見した、幸い単独だ、今から合流出来るか?
出来るならポイントAまで引きつけるそこで合流。」
「了解、これより向かう。
俺達が行く前に油断して死ぬなよ。」
「了解です。」
「行くか、つってもポイントAったら駅の西側の広場だな。
ちょっと走るか?」
「はい。」
俺と曹長は少し速めに走りポイントAに向かう。
「あっちは確か高架橋がいっぱいあったはずだ、
あれなら上から奇襲できそうだな。」
「ええ、泰地もそれをみこしてだと。」
「優秀な同期じゃねえか。」
「ええ、誇りですよ。」
駅に着いた、大型が暴れる音が聞こえる、
泰地達はまだ無事みたいだな。
「ここからは足音消していく。」
「了解です。」
駅の2階に登り、そこから高架橋へ出る。
そしてしゃがんだまま奴へ近づく。
「2人共、位置についた、5秒後に離れてくれ、上から奇襲する。」
「了解。」
「ああ。」
5,4,3,2,1
俺と曹長は防護スーツの精度をマックスまで引き上げ、
腰の刀を抜き去る。
刀のエネルギー振動数をマックスまで引き上げ、鬼の頭めがけて飛びかかる。
「ザシュッ」
日本の刀が脳天に刺さり、りんごを潰したような音がなる。
そして刀を抜き去りながら僕達二人は地面に着地する。
「やったか?」
「恐らくは、奴らと言えども脳天を刺せば。」
「いや、まだだ!」
刺された部分から黒い液体を噴出しながら、
こちらに6本ある腕の4本を振り下ろす。
「うぉっ。」
僕はとっさに刀を右になぎながら後ろに下がる。
手首の腱を斬るつもりだったが、浅い。
「グギャギャギャ」
何だ、背中からもりもりと肉が盛り上がっていく。
「おいおい、何だよあれは。」
「曹長も初めてですか?」
「ああ、初めてだ。頭を指してしなない奴なんていないと思ってたぜ。」
「オレ、マダ、タタカウ、
オマエタチ、ツヨイ、デモアキラメナイ。」
「奴が喋ったのか!!!」
「そうみたいだが、何か来るぞ!」
背中から盛り上がった肉が今度は槍状に変化していく。
「危ない、下がれ!」
曹長が叫ぶ。
4人は一斉に敵に背を向け全力で走る。
その瞬間、俺達がわずか0.5秒前に居た地面を
背中の槍が分化した無数の針が刺し貫く。
コンクリートですら数mほどめり込んでいく。
正体は分からないが、こいつは危険すぎる。
「おい、HQ!支援要請だ、ピンポイントで俺らの目の前にいるやつをやれ。速く!」
全力で走りながら曹長が端末をに叫ぶ。
「了解しました。」
ピンポイントの支援要請は本来超大型の鬼獣に用いられる、
それほどの敵なんだな、こいつは。
「ピンポイント爆撃を開始します、
隊員はスーツの精度を最大にしてください。」
泰地達2人がスーツを操作する。
「4方に散開しろ!」
コンクリートから針を抜いている間俺達3人は全力でやつを取り囲む位置に走り込む。
さらにアイコンタクトでタイミングを合わせ、
腰に備え付けてグレネードを奴の頭に投げる、が背中の無数の針に貫かれ空中で爆発する。
クソッ!
「まだだ、ありったけ投げろ!!!!」
オレは一個ずつ確実に頭を狙いながらあるだけ投げる。
隊員は普通8個ずつ持っているため、
4×7回の爆発が奴の針を確実に弱らせているように見える。
「そろそろ、来るぞ、下がれ!!!」
真上を見ると真っ赤なヘリがはるか上空に滞空している。
「支援要請を開始します、5秒前」
俺達はその音声を聞くと同時に
いつも1個だけ備えてある、スタングレネードを相手の目にめがけて投げ、踵を返す。
そしてまた全力で走る。
そしてヒューッっと言う音が聞こえた瞬間に地面に頭を抱えて滑り込む。
バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
とんでもにない衝撃と爆音が辺りをつつむ、
スーツと耳栓があるが全身にとんでもない衝撃が走る。
「お~い、お前ら~生きてるか?」
陽気な曹長の声が聞こえる。
どんだけタフなんだよ。
「何とか。」
「ああ。」
「奴は、何とかやったみたいだな。
だがこの爆音で奴らが集まってくる、とにかく離れるぞ。」
泰地も余裕みたいだな、
流石にこの2人は何というか体の構造から違う生き物な気がしてきたよ。
「おいおい、戦利品ぐらい持っていこうぜ。」
俺達は爆心地に集まり、やつの背中から生えたと思われる槍状のものを2つ拾い上げる。
「これで全部だな、あとは全部粉々か。」
「ええ、それより速く戻りましょう。もう既に爆発から20秒経過している、危険です。」
「分かってる、行くぞ。」
こうして俺達は再び全力で走ることになり、
あの地面に刺さったロープに捕まる。
すると俺達のグローブを認証した、ロープが
素早く俺達を引き上げる。
行きと違い、コントロールできないほど速い。
「おい、右手のブツを離すんじゃねえぞ。」
「分かってます。」
シュルルルルッ
高度を落して予めロープを適度に巻いてくれていたおかげで50mほど釣り上げられるだけで済んだ。
「よし、俺で最後だ。高度を上げてくれ。」
「了解しました、高度を1000mまであげます、シートベルトを着用してください。」
人口音声のガイドに従って素早くベルトを絞め、頭を座席に固定する。
ここからは楽しいジェットコースターの時間だ。
「行きます。」
グルッ
体にとんでもない重力がかかる、
半端じゃない速度で高度が上昇しているのだ。
「これは何度やってもなれないな。」
「全くだ。」
「高度100,400,700安全区域へ離脱を確認。」
「ふーっ、今日も生きた心地しかしないぜ。」
「全くだ。」
「だが昼飯には間に合ったな。」
そう言ってヘリに備え付けられていた食料パックを開ける。
「美味そうだ。」
こうして僕達の半日が終わった。
午後は粛々とピンポイント爆撃の反省文を書くことになるだろう。
あれは本来市街地で使用するには司令に予め許可をとっておく必要があった。

こうして基地に戻るまでに腹ごしらえを終えた後、
じゃんけんに負けた僕が資源部へと向かい、回収素材、あの槍状のものと小形5体分の死体を届ける。
「やぁ、何だこれは?」
面倒な奴に掴まった、こいつは技術部の隆史、
知的好奇心が強すぎて田舎からこっちに来てしまったアホだが、
メチャクチャ頭が切れる らしい、俺には変態にしか見えない。
「分からないが、俺と曹長が頭を刺したら言葉を話だして、
それで背中から生えてきた。聞きたいのはこっちの方だよ。」
「そうか、それはExcitingだ!!!
視覚ログ、と音声ログを見せてくれ!!」
そう言って俺からコンタクトと両耳のヘッドセットを取り去ると
パソコンに繋がった記録装置へ接続する。
2秒後に抜き取り
「返すよ。」
特別製らしく、一瞬でデータを抜き取れるらしい。
ストーカーとかになったら怖いな、これ。
「ああ、データ勝手に取ったことは内緒にしとけよ。」
「それはどっちもで良いけど、興味深いこの素材を少しだけ分けてくれたら司令に
君たちの反省文を取り下げさせてもいいけどね。」
「無理言うな、これはメチャクチャ硬いんだ、分けれるわけがないだろ。」
「それはどうかな~。」
そう言って取り出したのはあの槍と同じ真っ黒の破片。
「おい、それをどこで。」
「ふふーん、まぁどこでも良いじゃない。それより
分けてくれても良いんだよね?」
「ああ、ただ資源部のやつにはバレないようにな。」
そう言って黒い破片を槍の1/3ぐらいの所に押し付ける、
いやデカくとりすぎだろう。
「それっ」
ペキッ
割れやがった、
あのピンポイントの爆撃で傷もつかなかった槍状の黒いのが
シュルシュルシュル
「おっと」
黒い槍の2/3の部分が黒い煙に覆われる始めると
同時に隆史が槍を地面に放る。
それが斬られた部分を修復、いや再生していく。
「どうなってるんだ、これは。」
「僕の見立てだけど、これは傷つかないとか、硬いとかが長所の物体ではない、
大気中で超高速再生するのが長所の物質なんだ。」
「バカな、じゃああの爆撃の後残ってたのも、俺達がグレネードを投げまくった後
数秒後には無傷に見えたのも全部再生したからだってのか。」
「そうだね、ってそこまでやったんだ...」
「ああ、ログの真ん中辺りを見てみろ、
あの曹長が完全にキレてる、
あんな曹長を見たのはここに配属されてから初めてだ。」
「そっか、貴重な意見ありがとう。」
そそくさとパソコンに向かい、ヘッドホンをして僕の視覚ログを再生し始める。
これ以上絡まれては叶わないので僕も立ち去る。

「行ってきましたよ、曹長。」
「あ~、ごくろーさん。
お前すごいな、あの反省文を取り消させるなんて、大したもんだ。ハハハ」
「色々と変な人には絡まれやすい質でして。」
「良いことじゃないか。」
「そうですかね。」
「とにかく、お前さんのおかげで俺らは午後は非番をもらった。ありがたいことだ。」
「それは良かった、娘さんと奥さんにサービス出来ますね。」
「はは、二人共もうそんな年じゃないけどな~。」
そう言った曹長の目はとても幸せそうな目をしていた。
明日は休養日なので、緊急以外でミッションは降りない。
「それではまた3日後に。」
「おう、またな。」
他のメンバーは薄情なことにもう既にどっかに行ったみたいだな。
泰地は許嫁のところ、基之さんは分からん、雲のような人だしな。
いつの間にか太陽が落ちかけていた。
こうして僕達の戦いの1周期が終わる。
だがそれは細胞が周期を何度も繰り返すように引いては押し寄せる。
都会であがく僕達の戦いは既に10年が経とうとしている。
だがまだまだ終わりそうもない、
見果てぬ僕達の足掻きがどんな結果を残すのかは分からない。
だが抗い続けよう、理不尽ほど人にとって合理的なことはないのだから。


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ありがと(小声
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筋坊主

物語100連発 改

物語の体操より薫陶を賜りました。 僕が考える楽しい物語を書いていきます。 いいねorコメントをよろしくお願いします!
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