物語100連発その1 ~スーパーヒーローにはなれないかもしれないが業務は遂行できるのです~

「起立! 気をつけ!」朝の朝礼ではいつもこんな感じの怒鳴り声が響き渡る。
仕事とはいえ本当に退屈でしょがない。
「そこ第5特思軍のジェイル中尉だったな。
貴様一瞬あくびを噛み殺しただろう、走ってこい!」
こうして面倒な朝礼から解放される代わりに楽しい朝のランニングが始まった。
一昔前、この国は非常に政治的にも、経済的にも、安定、悪く言えば停滞していた国だった。
それが突然、数年間の文化貿易で破綻した。街の人が突然権利を叫び出し、他人を殺すという事件が相次いだ。
海外の主要メディアはこれを新思想に耐えられぬ人間の淘汰と説明しているが、あちら側のローカルニュースでもこういった事件が頻発し出したらしい。
僕の現在所属している夜木基地は特に広い、さらに寒い。何やら国のおエライさんが打ち出した、
危険な思想テロを起こす輩は北に多いという謎の理論によって僕達特殊軍 通称 特殊思想テロ対策部隊が配備されることになった。
近代国家において思想は文化の源となり得るが排他的な思想によってテロを起こす人間が一定数いるのも確かだ。
僕達はそれらが起こってからそいつらをひき肉にするために配備された。
明日の昼食がカレー味のレーションで、その次のが..と朝見た一ヶ月分のレシピを思い出しながら走っているとノルマは達成出来た。
朝のランニングを終えた後、一通りのPEを終えた。 ーーーまた走らされたのが気に入らない。
「解散、いつでも豚をひき肉に出来る準備をしておけ!恐らく近日中に動きがある。」
准将から告げられた。その後僕達はそれぞれ部隊ごとの配置 ーー今日は非番なので相棒と部屋 に着く。

部屋で久々に本でも読もうかとベッドに寝転がると、
「リリリリリッツ!!、リリリリリッツ!!、リリリリリッツ!!」
頭に刺さるような警報が響き渡る。「おいおい、来やがったぜ、誰だよ近日中とか言ったやつは。」「仕方ないさ、これも仕事だ。」
二言交わす間に戦闘服ーー黒い膜 の準備を済ませた僕と相棒のリングはすぐさま武器庫  ーー第5倉庫に向かう
「ったく、この頃多くねえか?」「ああ、恐らく今回もFR案件だな。」FR、Female-Radical-problems
僕達はそう呼ぶ、女性の人権団体が過激化しテロリストになった組織だ。
「着いたぞ」第5倉庫に着いた僕達二人は既に配備中だった部隊の仲間達にBIを送る。
BIーBrain information 数年前に出来た技術で、脳の中の映像を互いに光速で送受信できるようになったが、
未だに不安定な部分も多く、僕達のような辺鄙な部隊にしか実装されていない。
僕が報道中のあらゆるニュース映像から取り入れた情報のフォルダーを送信する。
「これで現場までは退屈せずに済みそうだな。」「ってこりゃあ、またFR関連かよ。」「それはもう聞いた。」
「とにかく行くぞ!」こうして僕達は楽しい空の旅に繰り出す。
FSに乗り込む。「それでは良き空の旅を。」  
FSーーーFrying Suare人が仰向けにギリギリ入るただの長方形の黒い物体だが、
実体はオーバーテクノロジーで作られたダンボール箱とか言う話を聞く。
ヒューン、ドンッ!
無重力の状態から急に3Gもの力が加わる。
気絶するが、ナノマシンによって僕達は強制覚醒させられる。
FSは現在、元の用途と異なり、こうして人を入れて投げるために使われている。
元々開発した目的は超高級品を絶対に傷つけないために
この世の全てのものより硬く、安全な箱を作ろうという運動会社の計画だったらしいが、
現在はこの有様である。
中に培養液とFSークッションと人間を詰めて
レールガンで投げ飛ばす。
風にも寄るが大体は僕たちの標的の上に落っこちてくれる。
そこからは僕達 人肉加工人の出番だ。
まずは培養液の中でiWeを起動する。
iWe i watch everyting.
この国が独自開発した透視アプリだ、
軍用になっているので作戦の時しか起動しない。
起動時のUIがひどくで操作を新兵の時になれるのに3日間、不眠不休で叩き込まれるのは勘弁してほしいものだが。

「よし、敵は1時の方向」「13時か、腹減るな~」「ったく、一応お相手も拳銃を必死で構えてらっしゃるぜ。」
「ふん、あれは古いな、コルトとか言う老舗のメーカーの出した廃版のやつじゃないか?
火薬で弾を出すっていう。」
「お前のオタク知識はどうでも良い、いくぞ!」

FSから飛び出した僕達は速攻でFRの人形の何かの頭を躊躇なく撃っていく。
当然僕達はiWeで相手の動き、弾道が全て分かる。
それに僕達が身にまとったこの気持ち悪い黒色の膜は弾の衝撃を受け止め流す。
パパパパッ
機銃掃射だ。街の広場から悲鳴とFR関係者特有の甲高い人の声が聞こえる。
「あっちは俺らでやってくる。良い肉が挽けそうだ。」
「任せた、その広場で合流しよう。」
パパパッ
直ぐ後ろで機銃の音がしてすぐさまその場に伏せる。
「とか言ってたら、こっちも来やがった。
あいつらブルジョワなんじゃねえか?」
そう言いつつ機銃に分解弾を打ち込んだあと、狼狽した標的の頭に赤い花を咲かせる。
分解弾は機銃を部品レベルまで分解していく。

少し前に技術部に話を聞いたら、銃だって部品で出来てるんだからね、
接合面を荒くしちまえばいいだけなんだよね。ということらしい。

こうして、おおよそ着陸地点の標的を打ち尽くした、僕達は広場に向かった。

広場に合流すると、あっちの部隊も片付いた、
敵の身元を確かめようと付近を捜索しているところだった。
「ったく、全員、誰かもわからねえ、こりゃあ、生化班待ちだな。」
「やはりか。」
今までFR案件は全て資料に目を通したが、身元に証明になるようなものは全て消えていた。
指紋ですら、他人のものを綺麗に焼き付け、消していた。
網膜は埋め込みのコンタクトでパターンを読み込ませない。
だが生化班の分解にかかればどうということはない。
やつらは骨髄だけは移植しないらしく、そこでNational-IDが分かる。

ドゴーンッ!
背後から爆炎があがり、僕達は吹き飛ばされていた。
目の前がアラートで真っ赤になる。
爆炎の中から出てきたのは全身ピンク色のネコ型兵器だ。
危険度は最高ランクの8、
大隊総出で狩るようなテロ兵器だ。
何で、そんなやつがこんなところに!
「我々は同胞をやらたのだ、報復する。」女性の澄んだ声が響き渡り、
奴らが反射、発する 音、光すべてが武器になる。 意識が薄れ始め、
殺戮兵器特有の機械の手が上から落ちてくる、頭に触れる、そこで意識が途切れた。

ピーピーピー
断続的な機械の音が聞こえる。
僕はあの後、死んだ。
圧倒的な力の差があった。
「うっ。」
全身が痛む、僕は生きてるのか?
「眼が覚めたか。 隊長に報告せねば。」
そう言って僕より一回り大きい、黒髪の男がベッドの縁から立ち上がる。
誰なんだ、あいつは、僕は囚われたのか? なぜ?
とにかく、状況を確かめないと、手が脚が動かない。
そーっと腕と脚に眼を向けると、本当にない。
何が起きてるんだ、意識を失う前まで手と脚はあった。
幻覚でも見てるのか? 逃げられない。 立つことすら....
「誰だ、俺の手足を切ったのは! お前か! お前なのか!」
近くにいる、FR関係者らしき女医に叫ぶが相手は透明な壁の向こう側で聞こえてない、
叫びが部屋にこだまして自分の鼓膜に入ってきた。
もう終わりだ。
こうして僕は四肢を失った。

「おう、戻ったぜ、元気がいいのは何よりだが、落ち着いて聞け。
俺たちのボスがお越しだ。」
金髪長身の女性が僕の正面のイスに深く腰掛け。
「ふっ、そう固くならなくても良い、まぁ固くなる四肢もないがな。」
「お前がやったのか! お前 っ~~!」
黒髪の男に口に異物を入れられ声がでなくなる。
さらにベッドから拘束具が飛び出し全身を縛る。
「これで落ち着いて話ができよう。 まず単刀直入に言おう、我が軍門に下るか?」
ぎっを睨み返すとふっと苦笑してうなずきやがった。絶対にミンチにしてやる。
「それでは次の質問だ。お主は今の社会の規範が足りていると考えているか?」
こいつは異常者だ、話を聞く必要なんてない。俺は睨みを続けた。
「ふっ、まぁ良い、それでは最後、貴様はこんな絵が文化に値すると思うか?」
僕は唐突にポルノ雑誌を見せつけられ思考が硬直する。
「こんなものは我々の文明にあってはならぬもの。汚らわしきものよ。
私達はこういった汚れたものを消しさるために戦っている。」
僕は耳を貸さまいと脳内でここからの脱出路を模索しようとするが、
どこの施設かも分からないので詰まる。
「話は終わりだ、それではな、四肢をもがれた、汚れし戦士よ。」
それから僕は目隠しと耳栓、口にあの異物を入れられ、もと居た街の広場のゴミ箱に落とされた。
それからしばらくして、街の女性がアイスクリームの紙を捨てようとして僕の存在に気づき、通報、
僕は無事軍の医療移設に搬送された。

そうして療養すること5日後、政府高官から面談が入れられ、
根堀葉掘り聞かれると同時に、ある資料を渡された。
表紙には汚い印鑑で”極秘”とだけ書かれていた。
「これを君が開ければ、君は優れた四肢を取り戻せるが、
その代わりに全てを失うだろう。」と告げ、部屋を出ていった。
そう言われても、僕はもう軍を失業になるし、
失業になっても軍でも特殊な部隊であるため職歴にかけない。
もう26を過ぎようかという僕が8年もプータローをしていたというのは
現在の評価経済社会において無職に等しい。
もう失い物なんてない、そう思い、封を千切った。そして中の分厚い資料には
1,極秘プロジェクト ”A HtS”
2,過去の成功例
3,今後のFR及びIRの動向について
と目次が載ってあった。

僕はさっそく1から読み始めた。
映画で見てきたスーパーヒーローが実在していて、
それは体に強制的に遺伝子異常を起こしたか、自然に起こったかのどちらかで
その適合率が高かったため人間の形を保てた。
その裏には数え切れない失敗例があり、それらは全て政府によって廃棄されてきた。
A HtSは Artificailly lead Human to Superman すなわち人工的なスーパーマンを作るという
馬鹿げた計画であるらしい。
こんなふざけたSF設定があってたまるものか!
そう思って書類を投げた。
がそれは入り口にいた ーーーまだ返っていなかった政府高官に当たった。
「分かったかね?」
「こんな現実離れしたことがあってたまるか!
四肢を失ったとはいえ、頭までなくなったわけじゃないんだ!」
「それでは着いてきたまえ、もう既に封筒は開けられた。君にはもう隠す必要がない。」
こうして僕はまた目隠しとその他の装備をはめられ、連行されることになった。
今度は政府のお偉方に。

数時間の快適な五感を遮断されたドライブの後。
「着いたよ、ここだ。」
そう言って目隠しを外されると、そこには緑の培養液 
ーーーいつも軍が使っているのは薄い赤色だ リングの奴が処女の生血とかほざいていた。
が円筒形の装置に満たされたものが延々と続いていた。
「ここでは、評価経済社会になった我が国で評価が低く、救えないものたちを収容し、
実験をススメていたのだよ。 だが凍結されてね、固定資産税もバカにならないし、どうしたものかとね...。...」
まるで自分の持った物件の話をするかのようなノリで、計画の歴史について語られる。
歴史に残った英傑が実は遺伝子異常のスーパーヒーローであったという学説、
歴史の小ネタなんかも披露してきやがった。
そしてスーパーヒーローの遺伝子異常は一代限りで子供は必ず普通の人間になるとか。
「と、ここまで長く話こんでしまったが、君にはそこの培養液に入って3日間だけ眠っいて貰いたい。」
そう言うと背後から音もなく黒スーツの男二人が現れ、僕の服を全て脱がした。
その後二人がかりで培養液に放り込まれた、またあの時のように意識が遠くなる....。

2日後
ペチペチ誰かが僕の頬を叩く音が聞こえた。
「誰?」僕はそーっと眼を開くと、そこには長い黒髪の女性が立っていた。
「あんまりにも長く寝すぎているものだから、起こした、それだけ。」とそっけない返答をされ、
僕も返答に困り下を向く。 そして激しい動機に襲われた。
手足が生えてる。 いや、まるではじめからあったかのように存在している。
だが指を動かしてみると、指を軽く振っただけでものすごい風が部屋に吹いた。
「まだ動かしちゃだめ、神経の抑制が効いてない、抑制剤の追加投与まで45秒だから待って。」
僕はゆっくるうなずくと、全身からを脱力させる。
「僕は、遂に人間をやめたんだね。」「そう単純なものでもないの、っと説明は博士に任せるとして、
気分はどう?」「怖いけど、良いよ。」「そう。」
そう言って彼女は点滴を入れ替えると部屋から出ていった。

神経抑制が効いてきたのか体が凄くだるく感じる。
「ハロー!」やたらとハイテンションな声が聞こえた、声の方に向くと、そこには赤髪白衣の女性がウィンクしながら
こちらをニヤニヤ眺めていた。「あなたが僕の体を?」「まぁね、そこら辺は先代までの尊い犠牲のデータがあってこそかしら?」
「そうですが、それで僕はいつ原隊復帰出来るんですか?」「う~ん、今日ね。」「えっ」
何となく予想の斜め上の回答が来て、驚くが、早いにこしたことはない。
この数日間は体を動かせなかったから勘が鈍っていないか心配だ。
「というかここ、気づかなかった? あなたの元居た夜木基地よ?」
「え??」
そう言われてみると、軍病院の最上階に立ち入り禁止の場所があったらしが、そこなのか。
「立入禁止って書いてあった病院7階の奥の方なのよね~。」
やっぱり、じゃあ、僕は戻ってきたんだ。
「おっ、戻ってきたみたいだな。」リングの声が聞こえた。
だが姿が見えない。キョロキョロ辺りを見回すと、入り口にぼんやりしている人形のもやがあった。
「お帰り 相棒!」そう声が聞こえると同時にリング ーーー何かデカくなってる? の姿が急に現れた。
「ああ、ただいま、悪友!」

こうして僕は新しい体を手に入れ、相棒と再び同じ戦場に向かうことになる。
しかしそれは次のお話。

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物語100連発 改

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