「樹木の素質」 河井醉茗
どんなに巨大に成長する樹木も、必要とするのは光と水、それに、空気とミネラルだけだそうだ。道端の小さな種も、屋久杉も変わらないということになる。ふと心に浮かんだことなので、深入りはしない、また、できるほどの知識はない。
そういえば、串田孫一さんが編んだ詩集があったな、そして、その中には「樹」編があったはずと思い、紐解いてみた。上記はそこから選んだ詩である。原文に太字はないが、太字部分だけにしようと思ったが全文を書き写すことにした。
樹木の話のようでも、希いのこもった「人類」の話のようでもある。「ゆづり葉」という作品で、河井さんは「ひとりでにいのちは延びる。鳥のやうにうたひ、花のやうに笑つてゐる間に気が附いてきます」と子供達へ向けて語っている。
山に行くと「巨木」に目が行く。そして、根元から空を見上げる。陽に向かい、両手を広げるように、枝を伸ばしている。元はといえば種だったのだ。その種は大きな夢を見ていたのだ。傍で、小さな樹木が風もないのに葉を揺らせている。